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第10話 友との別れ
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ユリアが遺した手紙。
そこに書かれた内容から、ドレイクはレウスの素性を知る。
「ドレイク?」
母の手紙からドレイクは何かを察したようだが、レウスには分からない。
「行けよ、魔王城へ。」
母の手紙にもあった文言を、ドレイクも告げる。
「いいのか?」
レウスは戸惑う。
ドレイクは一緒に村のために戦ってほしかったはず。
そんなドレイクが、魔王城へ行けと言う。
「ああ、こっちは何とかなりそうだ。」
村人と人間の兵士達との戦い。
最初は野蛮な人間達による一方的な虐殺だったが、数に劣る。
それに実力者のレギアスはいない。
目の前に居るのが、威勢だけの野蛮人と知った村人達も、反撃にでていた。
「ごめん、ドレイク。」
ドレイクの言葉に、レウスも意を決する。
だけど、ドレイクと一緒に村人達を救えない事に、後ろめたさもあった。
「何を謝る。謝るのは、俺たちの方だぜ。あんなヤツら相手に、ユリアさんを死なせちまった。俺だって、ユリアさん達が居なかったら、今もこうして、生きてはいないのに。」
ドレイクは自責の念から、表情を歪める。
村人達と人間の兵士どもとの戦いも、最早村人達が圧制している。
なぜあんな人間どもに、びびっていたのだろう。
ユリアさんひとりに押しつけなければ、最初から何とかなったかもしれない。
そう、ユリアさんを死なせる事も無かった。
レウスをひとりにする事も無かった。
とは言え、それはレギアスが居なければ、の話しである。
実際レギアスは、今の村の戦いの場には居ない。
レギアスはこれから起こる事を予測して、レウスが村を立ち去ると同時に、村から出ていた。
レギアスは勇者アバリスの養女として、例え相手が魔族だとしても、無抵抗な村人達を殺す事は、したくなかった。
「ドレイク、」
レウスにはドレイクの言葉の意味が分からない。
過去にこの村であった出来事。それをレウスは知らない。
母ユリアがこの村の救世主であった事も、皆が口をつぐむ今、忘れさられる事実だった。
ドレイクもレウスがはめる腕輪を見て、思い出したくらいだった。
「いいから、とっとと行けよ!」
まごつくレウスに、ドレイクはどなる。
「お、おまえが居ると、迷惑なんだよ。」
ドレイクは顔をそむける。
「に、人間どもは、ユリアさんが育てたおまえを、狙ってるんだよ。だから、早く行け。この村を、これ以上巻き込むな。」
ドレイクは声をしぼりだす。
ドレイクもレウスの素性を知った今、この場にレウスを留まらせる事の危険性を察知している。
しかし当のレウスは、一度は村人達を見殺したはずなのに、ドレイクが母を、村人達を心配するのを見て、迷いはじめている。
「そう、だな。」
ドレイクの言葉に、レウスはうつむく。
レウスはドレイクの言葉を、額面通りに受け取ってしまう。
いつものレウスなら、それがドレイクの本心では無い事くらい、見抜く。
だけど母ユリアを失ったショック、そして自分が母ユリアの子ではなかったショック。そして友であるドレイクの大切な人たちを見捨ててしまったショック。
今のレウスに、冷静な判断は出来なかった。
落ち込むレウスは、顔をあげる。
そして村の様子をいちべつ。
今なら、ドレイクだけで対処出来そうな事を確認する。いや、ドレイクがいなくても、何とかなりそうだ。
「わ、悪かったドレイク。みんなにも、謝っておいてくれ。」
レウスはドレイクにひと言告げると、この場を後にした。
「バカやろう。謝るのは、俺たちの方だぜ。」
ドレイクはレウスの背中を見送りながら、つぶやく。
「今度会う時は、謝らせてくれよ。」
ドレイクはまだ戦いの続く村へと向かう。
ドレイクには分かっていた。
今村に居る人間どもを追い払っても、すぐに新手の人間どもが襲ってくる事を。
その結果、もたらす物が何であるかも。
そう、これがレウスとの今生の別れになるかもしれない。
そこに書かれた内容から、ドレイクはレウスの素性を知る。
「ドレイク?」
母の手紙からドレイクは何かを察したようだが、レウスには分からない。
「行けよ、魔王城へ。」
母の手紙にもあった文言を、ドレイクも告げる。
「いいのか?」
レウスは戸惑う。
ドレイクは一緒に村のために戦ってほしかったはず。
そんなドレイクが、魔王城へ行けと言う。
「ああ、こっちは何とかなりそうだ。」
村人と人間の兵士達との戦い。
最初は野蛮な人間達による一方的な虐殺だったが、数に劣る。
それに実力者のレギアスはいない。
目の前に居るのが、威勢だけの野蛮人と知った村人達も、反撃にでていた。
「ごめん、ドレイク。」
ドレイクの言葉に、レウスも意を決する。
だけど、ドレイクと一緒に村人達を救えない事に、後ろめたさもあった。
「何を謝る。謝るのは、俺たちの方だぜ。あんなヤツら相手に、ユリアさんを死なせちまった。俺だって、ユリアさん達が居なかったら、今もこうして、生きてはいないのに。」
ドレイクは自責の念から、表情を歪める。
村人達と人間の兵士どもとの戦いも、最早村人達が圧制している。
なぜあんな人間どもに、びびっていたのだろう。
ユリアさんひとりに押しつけなければ、最初から何とかなったかもしれない。
そう、ユリアさんを死なせる事も無かった。
レウスをひとりにする事も無かった。
とは言え、それはレギアスが居なければ、の話しである。
実際レギアスは、今の村の戦いの場には居ない。
レギアスはこれから起こる事を予測して、レウスが村を立ち去ると同時に、村から出ていた。
レギアスは勇者アバリスの養女として、例え相手が魔族だとしても、無抵抗な村人達を殺す事は、したくなかった。
「ドレイク、」
レウスにはドレイクの言葉の意味が分からない。
過去にこの村であった出来事。それをレウスは知らない。
母ユリアがこの村の救世主であった事も、皆が口をつぐむ今、忘れさられる事実だった。
ドレイクもレウスがはめる腕輪を見て、思い出したくらいだった。
「いいから、とっとと行けよ!」
まごつくレウスに、ドレイクはどなる。
「お、おまえが居ると、迷惑なんだよ。」
ドレイクは顔をそむける。
「に、人間どもは、ユリアさんが育てたおまえを、狙ってるんだよ。だから、早く行け。この村を、これ以上巻き込むな。」
ドレイクは声をしぼりだす。
ドレイクもレウスの素性を知った今、この場にレウスを留まらせる事の危険性を察知している。
しかし当のレウスは、一度は村人達を見殺したはずなのに、ドレイクが母を、村人達を心配するのを見て、迷いはじめている。
「そう、だな。」
ドレイクの言葉に、レウスはうつむく。
レウスはドレイクの言葉を、額面通りに受け取ってしまう。
いつものレウスなら、それがドレイクの本心では無い事くらい、見抜く。
だけど母ユリアを失ったショック、そして自分が母ユリアの子ではなかったショック。そして友であるドレイクの大切な人たちを見捨ててしまったショック。
今のレウスに、冷静な判断は出来なかった。
落ち込むレウスは、顔をあげる。
そして村の様子をいちべつ。
今なら、ドレイクだけで対処出来そうな事を確認する。いや、ドレイクがいなくても、何とかなりそうだ。
「わ、悪かったドレイク。みんなにも、謝っておいてくれ。」
レウスはドレイクにひと言告げると、この場を後にした。
「バカやろう。謝るのは、俺たちの方だぜ。」
ドレイクはレウスの背中を見送りながら、つぶやく。
「今度会う時は、謝らせてくれよ。」
ドレイクはまだ戦いの続く村へと向かう。
ドレイクには分かっていた。
今村に居る人間どもを追い払っても、すぐに新手の人間どもが襲ってくる事を。
その結果、もたらす物が何であるかも。
そう、これがレウスとの今生の別れになるかもしれない。
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