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KAISEN
鬼とミノロア
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――――にしても、夜である。
改めて辺りを見渡すと、もう大分暗い。
クリスマスマーケットの準備にしても殆ど布をかけてあって今日は店仕舞い状態だったので、光っているのはツリーや、いくつかある建物くらい。
人通りもまばらだし、あんまり長居しない方がいいかもしれない。
どうする、部屋に戻る?
という話になったとき、まつりと夏々都が言った。
「その前に。ミノロアの動きが気になる」
物凄く久しぶりに聞いた単語で、一瞬何の話か分からなかった。
色が「彼らを知ってるの?」と訊ねると、まつりが頷いた。
「ちょっとね。知り合いが居たから」
「そうか。気になるって?」
色が続きを促すと、まつりと夏々都は顔を見合わせる。仲の良い二人だ。
夏々都が間から言う。
「皆さんが出掛けた後も、ぼくたちはその場で着物の人達、装束の人達をそれぞれ観察していました。いろいろ会話があって、その後改めて彼らは並んで大樹の前に立ったんです。そのときでした」
「彼らはみんな、一斉に頭に同じツノを付けたんだ」
まつりがすぐ横から口を挟んだ。
「地元の人にも話を聞いていたら、鬼の格好なんだって」
「潰し屋も、ミノロアも、同じように鬼の格好を始めたんだね?」
色が緊張した面持ちで確認する。
「うん」
まつりが言うと、色はやっぱりそうかと納得していた。
そう聞くと『鬼』が石の大樹の前に現れるというのは、途端に不気味さを帯びて来る。
「普段、母さんたちの居るところは日本的な印象があったし
ツノを持ってる話は聞いたことなかったけど……確かに、昔から引っかかる点があった。目的が同じなら分かりやすい」
「たぶん、伝承にあった、戦った古代の一族のもう片方なんだと思う」
まつりが言い、色も同意した。
「かもね。ミノロアが、古代そのものの意思を受け継いで残った海外母体の団体で、潰し屋が、日本に居る表向きの活動団体なのかもしれない。
どちらも鬼としての対抗意識は同じ」
「感心してる場合じゃないじゃない」
橋引が少し強めに言った。
「色ちゃんの力を否定することに拘ってた人達って事よね!?」
確かに、そうだ。
未来を認めたがらず、何度も何度も一人の尊厳を否定し続けた、
あれが『鬼』のしてきた事。
鬼様を上げる為に、他を破壊する事を厭わない人達。
色は、自分だけの未来を守る為に家を出たのだ。
「ぼくたちは元々、皆さんとの儀式を見届ける為に此処までついて行くことになりましたが、『鬼』たちからはそれを妨害しようという意思を感じる気がするんです」
夏々都が言う。
「……それが、こんなとこまでついて来て居るとすれば、何をしでかすかわかったものじゃない、か」
俺にも状況が飲み込めて来た。
まつりはちらっとこっちを見た。
「それに」
それに?
2026年1月15日2時02分
改めて辺りを見渡すと、もう大分暗い。
クリスマスマーケットの準備にしても殆ど布をかけてあって今日は店仕舞い状態だったので、光っているのはツリーや、いくつかある建物くらい。
人通りもまばらだし、あんまり長居しない方がいいかもしれない。
どうする、部屋に戻る?
という話になったとき、まつりと夏々都が言った。
「その前に。ミノロアの動きが気になる」
物凄く久しぶりに聞いた単語で、一瞬何の話か分からなかった。
色が「彼らを知ってるの?」と訊ねると、まつりが頷いた。
「ちょっとね。知り合いが居たから」
「そうか。気になるって?」
色が続きを促すと、まつりと夏々都は顔を見合わせる。仲の良い二人だ。
夏々都が間から言う。
「皆さんが出掛けた後も、ぼくたちはその場で着物の人達、装束の人達をそれぞれ観察していました。いろいろ会話があって、その後改めて彼らは並んで大樹の前に立ったんです。そのときでした」
「彼らはみんな、一斉に頭に同じツノを付けたんだ」
まつりがすぐ横から口を挟んだ。
「地元の人にも話を聞いていたら、鬼の格好なんだって」
「潰し屋も、ミノロアも、同じように鬼の格好を始めたんだね?」
色が緊張した面持ちで確認する。
「うん」
まつりが言うと、色はやっぱりそうかと納得していた。
そう聞くと『鬼』が石の大樹の前に現れるというのは、途端に不気味さを帯びて来る。
「普段、母さんたちの居るところは日本的な印象があったし
ツノを持ってる話は聞いたことなかったけど……確かに、昔から引っかかる点があった。目的が同じなら分かりやすい」
「たぶん、伝承にあった、戦った古代の一族のもう片方なんだと思う」
まつりが言い、色も同意した。
「かもね。ミノロアが、古代そのものの意思を受け継いで残った海外母体の団体で、潰し屋が、日本に居る表向きの活動団体なのかもしれない。
どちらも鬼としての対抗意識は同じ」
「感心してる場合じゃないじゃない」
橋引が少し強めに言った。
「色ちゃんの力を否定することに拘ってた人達って事よね!?」
確かに、そうだ。
未来を認めたがらず、何度も何度も一人の尊厳を否定し続けた、
あれが『鬼』のしてきた事。
鬼様を上げる為に、他を破壊する事を厭わない人達。
色は、自分だけの未来を守る為に家を出たのだ。
「ぼくたちは元々、皆さんとの儀式を見届ける為に此処までついて行くことになりましたが、『鬼』たちからはそれを妨害しようという意思を感じる気がするんです」
夏々都が言う。
「……それが、こんなとこまでついて来て居るとすれば、何をしでかすかわかったものじゃない、か」
俺にも状況が飲み込めて来た。
まつりはちらっとこっちを見た。
「それに」
それに?
2026年1月15日2時02分
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