かいせん(line)

たくひあい@あい生成

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Commentary

麻倉会と光福

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 そこでは晶が、机たちからやや離れた壁際、隅っこにある冷蔵庫を開けていて――――アルミホイルに包まれた納豆ご飯を手にしていた。

「此処来るまであんま飯食って無かったからさ、腹減ってしゃーねぇ」

横転。
「それにしたって、なんだこの異臭! お前、何入れたんだ」

「なにって、別に普通だろ、なんとかのタレとか、そういう」
晶は、近くの事務椅子に腰かけて、わずらわしそうに俺を見上げている。

「晶」
色が近付いて彼に問いかけた。
「光福に居たの?」

晶は、少し色を見た後、おにぎりにかぶりつきながら言う。
「んにゃ、俺は山口さんや、キムと作戦に参加していたんだ」
「山口さん?」
「あー……」
晶が言葉を濁す。

「晶。山口さんって、麻倉会の人でしょ? なんで、光福のキムといるの?」
「うー……」
「えっ、まって、誰」
俺は慌てて色の肩を掴む。
しかし、色は晶を見つめたままだった。

「それは、木部さんが、だな――」
「晶!!」
色がいつになく怒っているように見える。

「いつから、麻倉会と光福が繋がって居たんだ」


「……」
晶はご飯を飲み下し、数秒、間を置いてから言う。

「俺だって、その辺はよく知らない。ロシア辺りに居たときに会ったんだ。
脱北者が中国に逃げて中国人として生活しているってのは聞いた事があるけど、そういう関わりなんじゃねぇの。結局のところ辞めちまえばそんなの関係ねぇんだから」
 


 要は山口さんと、キムの所属していたどちらも同じくらい警戒しなければならなくて……本質としてはこれも宗教以前に軍事的戦略とかそういうのに該当しそうってことか。

言われてみれば確かに、自主的に辞めるか、出来なくともテロ事件のゴタゴタなんかで捜査されるより先にあちこちに散ってしまえば、宗派や教義がどうのじゃないという気もするように思う。
(キムって誰なんだ)


晶が嫌そうに言いながら立ち上がった。

「テロの起きる前、武器と鎮痛剤を運び出していた―――と、木部さんは言っていたけど、恐らくその時点で暴力団と交流があったんじゃないか」

蛇口で手を洗っている。水の音がする。

「俺はそのとき、別に、普通について行っただけだ。麻倉会と光福の信者がどう繋がって居たって知った事じゃ無い」

「他の被害者の話は!」
色はその後ろで強めに問いかけた。
余裕のない声。

「めぐみさんの事を考えるように仕向けたのか。拉致された場所が違うはずだ!」

晶は何も答えず、デスクのポットの方に向かうとお茶を入れた。
静かに飲み始める。
――――場の空気が静まる。



 確かに、暴力団やマフィアの取引という体で宗教とは別につながりを持つという手もあるのか。
あそこは日本転覆計画なんて立てていた程だから、そういう関わりがあってもおかしくはない。


「色ちゃん……」
橋引が泣きそうな声で彼を呼ぶ。
「落ち着いてよ、この人に聞いたって、たぶんそこまでは知らされて―――――」


「なんで、知りもしないで、勝手な事を言ったんだよ!!」


 色が取り乱すのは、最近は殆ど無い事だった。
久しぶりに見た。
晶は不思議そうに、なんでそんなに怒っているのかと色を見上げた。

「はぁ? この程度、講演で適当に安心させる与太話じゃないか」

「真実を探している人だって居るんだ!この程度ってなんだよ、何故邪魔になるってわからない!」



――――俺は、色の事を知らない。
知っている事もあるけれど、普段何を考えて来たのか、殆ど知らない。
色が言いたかったこと、思って来た事。

だから、あのときも、引き留めるような言葉が浮かばなかった。

2025年6月16日1時23分
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