2 / 2
後編
しおりを挟む
真っ暗闇の場所。上も下もわからないような空間。
そこにいるのは自分と、光り輝く天使の姿。
『やっと会えましたね、ニーレ』
「あなたは?」
『私は、大天使と呼ばれている者です』
ふわりと彼女は笑う。
『私はこの時を待っていました。神が私のことを愛してくださっていたことは知っていました。だから、ここでこんなことになってしまった時、彼のことを心配したのです。なんと不幸なことをしてしまったのか、と。そして、その願いはあなたを作り出しました』
「どういう、ことですか?」
『彼を助けたい。彼を悲しませたくない。その思いが強くて、私に似た存在が生まれたのです。……皮肉なことに、あの男の娘になってしまいましたが。あなたと神の出会いは必然だったのです』
天使はニーレに近付き、自分の手をニーレの手に重ねた。
『そんな顔をしないで。あなたは私の代わりかもしれない。けど、私ではない。私はもう、ここを抜け出すことは出来ない』
「あなたも……父の被害者なのですね。ごめんなさい」
思わず頭を下げるニーレに、天使は微笑む。
『あなたが謝る必要などないのですよ。あなたも被害者ではないですか。……あの男だけは止めなくては』
「でも、このままでは父の思う壺です。あなたは人間として蘇ることになる!そうなってしまっては……」
『そうはさせません。私はここで永遠に眠るつもりです。この、大好きな下界を見守るために。だけど、あなたはここを抜け出さなくてはなりません。再び神を悲しませるようなことはしたくありません。私があなたを救います』
そこまで言って、彼女は両手をそっと差し出すと、青い光を放った。
『さあ、あなたは戻りなさい。私の力を使って』
光に包まれたニーレは、ゆっくりと視界が霞むのを感じ取り、その暖かい光に身を委ねた。
気付いた時には、先ほどと同じ場所に立っていた。
ニーレがゆっくりと目を開けると、最初に映ったのは、神と父の驚いた姿。
そして、自分の背から生えた羽。
「ニーレ……?」
神は驚きのあまり、目を見開き、ぽつりと呟く。
「っ……俺の研究は無駄じゃなかった!彼女は蘇ったんだ!」
父が歓喜の声を上げるが、ニーレは冷たい視線で父を見つめた。
「それは違う。私は、ニーレ。ニーレ・アスカ本人」
ニーレの冷たい声に、父は歓喜から一転して、幻滅した表情を浮かべる。
「どういうことだっ!?」
「私は、彼女から力を譲り受けた」
そう言うと、ニーレは神に視線を向けた。
「神様。彼女は、あなたの言うことを聞かず、こうなってしまったことをとても悔いていました。不幸者で申し訳ない、と」
その言葉に、神はゆっくりと微笑んだ。
「そうか……。私は、一度も彼女を恨んだことはない」
「だから、自分はここで永遠に眠る。大好きな下界を見守るために、と。そして、もう天使の力は不要だから、と私にくださいました」
「うん。あの子らしい答えだ」
神はゆっくりと頷きながら答える。ニーレも微笑んだ。
「私は彼女に助けられました。だから、私は彼女の意志を継ぎたいと思うのです。それが、私が彼女に……あなたに対する、最大限の感謝だと思うから」
「……ニーレ、ありがとう。私は、君の幸せを尊重したい」
神はニーレの手をぐっと握り、微笑んだ。
ニーレはそれに微笑み返すと、ぐっと表情を硬くすると、父を見据えた。いや、父“だった”男のことを。
「私はもう人じゃない。あなたに育てられたという事実は消しようがないけれど、もうあなたは私の何にでもない。ただの、敵。天使を捕らえ、神に逆らう男。それ以上でもそれ以下でもないのだから」
ニーレの言葉に、父はぎりっと奥歯を噛んだ。
「今まで育ててやったのを、仇で返すのか!?」
「育てた?まともに育ててないでしょう。あなたにとっては、娘ではなく、ただの道具だったのでしょう?天使を捕らえるための道具」
二ーレがそう言うと、父親は口端を吊り上げた。
「ああ、そうだな。しかし、それさえも出来なかった、ただの出来損ないだった訳だ。価値すらない!」
「貴様っ!!」
父親の言葉に神は逆上したが、それを宥めるニーレ。
「神様、いいのですよ。実際、価値はなかったと思います。あなたにとっては。だから、私は私を必要としてくれる人の側に仕える。例え、あなたにとって私は無価値であったとしても、それはあなたの価値観でしかないのだから」
「言うようになったな。だが、俺だって引き下がる訳にはいかないんだ。今までの計画をぶち壊してくれたんだからな。死を持って償え!」
父は目を光らせ、殺気を纏わせる。ニーレはそれに対抗するように、睨み返す。
しかし、そこで神が二人の間に入るように立った。
「人間でありながら、神の意思に背くと言うのならば、あなたこそ死を持って償うべきだ。私の愛する娘を奪っただけでなく、第二の娘まで奪おうとするならば、それを阻止しなければならない」
「ふっ。神が自分の愛情のためだけに、天使を……人間を使役するのか?」
「何かを勘違いしているようだが……人間を使役できる存在だが?」
神の冷え切った声色に、さすがの父も固唾を呑みこんだ。
緊張感しかない間で、ニーレは力強く叫んだ。
「あなたが行った罪は重い!我らを守護する神に仇なし、この世の理に逆らったことは、死で償うには軽すぎる。二度と輪廻をせず、地獄の底を這いずりなさい!」
その怒声が示すように、父親だった男はずずっと地面に沈み始めた。
「なんだ!?やめろ!くそっ!育ててやった恩を忘れ、俺の愛しい天使を奪った存在にそこまで言われたくない!」
父は叫びながらもがくが、地面に引き摺りこまれるのに抗うことはできず、どんどん沈んで行く。
その様子をニーレは、冷たい視線を向けながら見た。
「あなたは罪を重ねすぎた。それに、私はあなたに恩など持っていない。私利私欲のために私を手元に置き、ひたすら暴力を振るわれ続けた。私が恩を返す存在は……」
そこまで言ってニーレは神を見た。彼はそれにゆっくりと微笑む。
ニーレ・アスカは大天使の座に就いた。
あの後、彼女の父は地獄へと落ちた。世界の理を覆そうとした罪は相当重く、彼は身を滅ぼされた。神ではなく、天使の力を継いだ彼の娘の手によって。
神がずっと探していた大天使は二度と封印が解けることがないだろう。彼女の全ての力がニーレに宿ったのだから。
神自身も、大天使の居場所を知ったことでやっと安心した。そして、ニーレが娘になる約束してくれたことに、改めて安らぎを覚えた。
下界に残された大天使は力がなくなったものの、代わりに神は一つだけ力を彼女に渡した。下界が平穏であるように。彼女が下界を守護できるように。
「おめでとうございます。ニーレ様」
「天使長様!」
大天使に就任し、祝賀会が行われていたが、ニーレは主役であるにも関わらず抜け出していた。そこに天使長が現れた。お咎めがあるのかと、ニーレは身を強張らせた。
「そんなに硬くならなくてもいいですよ。大天使様のことも解決し、神様は内心穏やかですね。それも、あなたのおかげです」
「そんな……私は何もしていないです」
ニーレが慌てたように首を横に振るが、天使長はふと微笑んだ。
「大天使様が戻らなかったとは言え、彼女はあなたに希望を託しました。そして、あなたはそれを受け入れた。たぶん、神様も嬉しかったと思います。あんなに嬉しそうに微笑んでいらっしゃるのは久しぶりですから」
そう言って彼女はその場を離れた。その場に残されたニーレは息をついた。
あんなに恨んでいた父を亡くす時、本当は辛かった。しかし、彼が重ねすぎた罪を許せる程、優しい人間でもなかった。
「全ては、必然だった……か」
思わずぽつりと呟いた。誰に言う訳でもない。最後に“彼女”が呟いた言葉。
“彼女”が封印されることも。私があの父を持ったことも。神と出会ったことも。大天使の力を譲り受けたことも。
ここにいることさえも。
「ニーレ。主役がいなくなってはつまらないだろう?」
ニーレがいないことに気付いた神が、彼女を見つけて歩み寄った。
「神様……。私は、彼女の遺志を継がなければなりません」
「急にどうしたんだい?……私は、無理に近付こうとしなくてもいいと思ってるよ。ニーレはニーレだろう?」
「はい。私だからこそ……彼女の意志を継ぎたいのです」
その言葉に神は驚いたような表情を取ったが、すぐに微笑んだ。
「ああ、そうだな。ニーレはそういう子だったね。では、決意が固まったところで行こうか。皆、君の歌を聞きたがっている。もちろん、聞かせてくれるだろう?」
「はい!」
そこにいるのは自分と、光り輝く天使の姿。
『やっと会えましたね、ニーレ』
「あなたは?」
『私は、大天使と呼ばれている者です』
ふわりと彼女は笑う。
『私はこの時を待っていました。神が私のことを愛してくださっていたことは知っていました。だから、ここでこんなことになってしまった時、彼のことを心配したのです。なんと不幸なことをしてしまったのか、と。そして、その願いはあなたを作り出しました』
「どういう、ことですか?」
『彼を助けたい。彼を悲しませたくない。その思いが強くて、私に似た存在が生まれたのです。……皮肉なことに、あの男の娘になってしまいましたが。あなたと神の出会いは必然だったのです』
天使はニーレに近付き、自分の手をニーレの手に重ねた。
『そんな顔をしないで。あなたは私の代わりかもしれない。けど、私ではない。私はもう、ここを抜け出すことは出来ない』
「あなたも……父の被害者なのですね。ごめんなさい」
思わず頭を下げるニーレに、天使は微笑む。
『あなたが謝る必要などないのですよ。あなたも被害者ではないですか。……あの男だけは止めなくては』
「でも、このままでは父の思う壺です。あなたは人間として蘇ることになる!そうなってしまっては……」
『そうはさせません。私はここで永遠に眠るつもりです。この、大好きな下界を見守るために。だけど、あなたはここを抜け出さなくてはなりません。再び神を悲しませるようなことはしたくありません。私があなたを救います』
そこまで言って、彼女は両手をそっと差し出すと、青い光を放った。
『さあ、あなたは戻りなさい。私の力を使って』
光に包まれたニーレは、ゆっくりと視界が霞むのを感じ取り、その暖かい光に身を委ねた。
気付いた時には、先ほどと同じ場所に立っていた。
ニーレがゆっくりと目を開けると、最初に映ったのは、神と父の驚いた姿。
そして、自分の背から生えた羽。
「ニーレ……?」
神は驚きのあまり、目を見開き、ぽつりと呟く。
「っ……俺の研究は無駄じゃなかった!彼女は蘇ったんだ!」
父が歓喜の声を上げるが、ニーレは冷たい視線で父を見つめた。
「それは違う。私は、ニーレ。ニーレ・アスカ本人」
ニーレの冷たい声に、父は歓喜から一転して、幻滅した表情を浮かべる。
「どういうことだっ!?」
「私は、彼女から力を譲り受けた」
そう言うと、ニーレは神に視線を向けた。
「神様。彼女は、あなたの言うことを聞かず、こうなってしまったことをとても悔いていました。不幸者で申し訳ない、と」
その言葉に、神はゆっくりと微笑んだ。
「そうか……。私は、一度も彼女を恨んだことはない」
「だから、自分はここで永遠に眠る。大好きな下界を見守るために、と。そして、もう天使の力は不要だから、と私にくださいました」
「うん。あの子らしい答えだ」
神はゆっくりと頷きながら答える。ニーレも微笑んだ。
「私は彼女に助けられました。だから、私は彼女の意志を継ぎたいと思うのです。それが、私が彼女に……あなたに対する、最大限の感謝だと思うから」
「……ニーレ、ありがとう。私は、君の幸せを尊重したい」
神はニーレの手をぐっと握り、微笑んだ。
ニーレはそれに微笑み返すと、ぐっと表情を硬くすると、父を見据えた。いや、父“だった”男のことを。
「私はもう人じゃない。あなたに育てられたという事実は消しようがないけれど、もうあなたは私の何にでもない。ただの、敵。天使を捕らえ、神に逆らう男。それ以上でもそれ以下でもないのだから」
ニーレの言葉に、父はぎりっと奥歯を噛んだ。
「今まで育ててやったのを、仇で返すのか!?」
「育てた?まともに育ててないでしょう。あなたにとっては、娘ではなく、ただの道具だったのでしょう?天使を捕らえるための道具」
二ーレがそう言うと、父親は口端を吊り上げた。
「ああ、そうだな。しかし、それさえも出来なかった、ただの出来損ないだった訳だ。価値すらない!」
「貴様っ!!」
父親の言葉に神は逆上したが、それを宥めるニーレ。
「神様、いいのですよ。実際、価値はなかったと思います。あなたにとっては。だから、私は私を必要としてくれる人の側に仕える。例え、あなたにとって私は無価値であったとしても、それはあなたの価値観でしかないのだから」
「言うようになったな。だが、俺だって引き下がる訳にはいかないんだ。今までの計画をぶち壊してくれたんだからな。死を持って償え!」
父は目を光らせ、殺気を纏わせる。ニーレはそれに対抗するように、睨み返す。
しかし、そこで神が二人の間に入るように立った。
「人間でありながら、神の意思に背くと言うのならば、あなたこそ死を持って償うべきだ。私の愛する娘を奪っただけでなく、第二の娘まで奪おうとするならば、それを阻止しなければならない」
「ふっ。神が自分の愛情のためだけに、天使を……人間を使役するのか?」
「何かを勘違いしているようだが……人間を使役できる存在だが?」
神の冷え切った声色に、さすがの父も固唾を呑みこんだ。
緊張感しかない間で、ニーレは力強く叫んだ。
「あなたが行った罪は重い!我らを守護する神に仇なし、この世の理に逆らったことは、死で償うには軽すぎる。二度と輪廻をせず、地獄の底を這いずりなさい!」
その怒声が示すように、父親だった男はずずっと地面に沈み始めた。
「なんだ!?やめろ!くそっ!育ててやった恩を忘れ、俺の愛しい天使を奪った存在にそこまで言われたくない!」
父は叫びながらもがくが、地面に引き摺りこまれるのに抗うことはできず、どんどん沈んで行く。
その様子をニーレは、冷たい視線を向けながら見た。
「あなたは罪を重ねすぎた。それに、私はあなたに恩など持っていない。私利私欲のために私を手元に置き、ひたすら暴力を振るわれ続けた。私が恩を返す存在は……」
そこまで言ってニーレは神を見た。彼はそれにゆっくりと微笑む。
ニーレ・アスカは大天使の座に就いた。
あの後、彼女の父は地獄へと落ちた。世界の理を覆そうとした罪は相当重く、彼は身を滅ぼされた。神ではなく、天使の力を継いだ彼の娘の手によって。
神がずっと探していた大天使は二度と封印が解けることがないだろう。彼女の全ての力がニーレに宿ったのだから。
神自身も、大天使の居場所を知ったことでやっと安心した。そして、ニーレが娘になる約束してくれたことに、改めて安らぎを覚えた。
下界に残された大天使は力がなくなったものの、代わりに神は一つだけ力を彼女に渡した。下界が平穏であるように。彼女が下界を守護できるように。
「おめでとうございます。ニーレ様」
「天使長様!」
大天使に就任し、祝賀会が行われていたが、ニーレは主役であるにも関わらず抜け出していた。そこに天使長が現れた。お咎めがあるのかと、ニーレは身を強張らせた。
「そんなに硬くならなくてもいいですよ。大天使様のことも解決し、神様は内心穏やかですね。それも、あなたのおかげです」
「そんな……私は何もしていないです」
ニーレが慌てたように首を横に振るが、天使長はふと微笑んだ。
「大天使様が戻らなかったとは言え、彼女はあなたに希望を託しました。そして、あなたはそれを受け入れた。たぶん、神様も嬉しかったと思います。あんなに嬉しそうに微笑んでいらっしゃるのは久しぶりですから」
そう言って彼女はその場を離れた。その場に残されたニーレは息をついた。
あんなに恨んでいた父を亡くす時、本当は辛かった。しかし、彼が重ねすぎた罪を許せる程、優しい人間でもなかった。
「全ては、必然だった……か」
思わずぽつりと呟いた。誰に言う訳でもない。最後に“彼女”が呟いた言葉。
“彼女”が封印されることも。私があの父を持ったことも。神と出会ったことも。大天使の力を譲り受けたことも。
ここにいることさえも。
「ニーレ。主役がいなくなってはつまらないだろう?」
ニーレがいないことに気付いた神が、彼女を見つけて歩み寄った。
「神様……。私は、彼女の遺志を継がなければなりません」
「急にどうしたんだい?……私は、無理に近付こうとしなくてもいいと思ってるよ。ニーレはニーレだろう?」
「はい。私だからこそ……彼女の意志を継ぎたいのです」
その言葉に神は驚いたような表情を取ったが、すぐに微笑んだ。
「ああ、そうだな。ニーレはそういう子だったね。では、決意が固まったところで行こうか。皆、君の歌を聞きたがっている。もちろん、聞かせてくれるだろう?」
「はい!」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
余命半年の僕は、君を英雄にするために「裏切り者」の汚名を着る
深渡 ケイ
ファンタジー
魔力を持たない少年アルトは、ある日、残酷な未来を知ってしまう。 最愛の幼馴染であり「勇者」であるレナが、半年後に味方の裏切りによって惨殺される未来を。
未来を変える代償として、半年で全身が石化して死ぬ呪いを受けたアルトは、残された命をかけた孤独な決断を下す。
「僕が最悪の裏切り者となって、彼女を救う礎になろう」
卓越した頭脳で、冷徹な「悪の参謀」を演じるアルト。彼の真意を知らないレナは、彼を軽蔑し、やがて憎悪の刃を向ける。 石化していく体に走る激痛と、愛する人に憎まれる絶望。それでも彼は、仮面の下で血の涙を流しながら、彼女を英雄にするための完璧なシナリオを紡ぎ続ける。
これは、誰よりも彼女の幸せを願った少年が、世界一の嫌われ者として死んでいく、至高の献身の物語。
勇者の様子がおかしい
しばたろう
ファンタジー
勇者は、少しおかしい。
そう思ったのは、王宮で出会ったその日からだった。
神に選ばれ、魔王討伐の旅に出た勇者マルク。
線の細い優男で、実力は確かだが、人と距離を取り、馴れ合いを嫌う奇妙な男。
だが、ある夜。
仲間のひとりは、決定的な違和感に気づいてしまう。
――勇者は、男ではなかった。
女であることを隠し、勇者として剣を振るうマルク。
そして、その秘密を知りながら「知らないふり」を選んだ仲間。
正体を隠す者と、真実を抱え込む者。
交わらぬはずの想いを抱えたまま、旅は続いていく。
これは、
「勇者であること」と
「自分であること」のあいだで揺れる物語。
新緑の光と約束~精霊の愛し子と守護者~
依羽
ファンタジー
「……うちに来るかい?」
森で拾われた赤ん坊は、ルカと名付けられ、家族に愛されて育った。
だが8歳のある日、重傷の兄を救うため、ルカから緑の光が――
「ルカは精霊の愛し子。お前は守護者だ」
それは、偶然の出会い、のはずだった。
だけど、結ばれていた"運命"。
精霊の愛し子である愛くるしい弟と、守護者であり弟を溺愛する兄の、温かな家族の物語。
他の投稿サイト様でも公開しています。
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる