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新月の運命
邂逅・2
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ナギサは突然、男が向かい合って座ったことに、驚いた。
一瞬、レイガかと身構えたが、見知らぬ男でナギサは固まった。
が、ナギサはその目深にフードを被った男をじっと見、すっと目を細めた。
「あなた……」
ナギサの言葉に、男は口角を上げると、フードを取った。
そこから現れる藤色の髪と、藤色の瞳に、ナギサは思わず持っていたスプーンをガシャンと置いた。
「おや?プリンセスにしては、随分とマナーが乱暴だな」
そう嫌味を言う男を気にすることなく、ナギサはギリッと奥歯を噛んだ。
「キール……サファイア……」
「ああ。お見知りおきいただけて光栄ですね。ナギサ王女」
にやにや笑いながら言うキールに、ナギサはぐっと耐えると、すぐにしゃきっと背筋を伸ばした。
「ええ。随分と人の庭を荒らしているものね。……何が目的かしら?」
キールを見据えて言うナギサに、キールは益々笑みを深くした。
十六歳という未成年でありながら、王女としてのプライドが強く、物怖じしないナギサに、キールの興味は惹かれる一方だった。
「単刀直入に言おうか。私の妻になる気はないか?」
キールの言葉に、ナギサはぐっと顔を顰めた。が、すぐにふっと息を一つ吐くと、冷静に口を開いた。
「……やっぱり、あなたの狙いは私との……いえ、王家との婚姻が目的なのね」
「ほう?そこまで理解していただけていると?」
キールは楽しそうに、テーブルに両肘をつき、笑みを浮かべる。
その傲慢な態度に、ナギサは蔑んだ目でキールを見た。
「ええ。あなたが欲しいのは、王家の血筋でしょう?確かに私は、月王家の正統な継承者だわ。……でも、ごめんなさいね。私、性格の悪い人嫌いなの」
そうバッサリ切り捨て、ナギサはテーブルに置かれた紅茶を飲んだ。
「それは、残念だな。私としては、別に私の子供さえ産んでくれたら、好きにしていいし、貴様が望むものは差し出すつもりでいるのだが」
残念ぶっている様子も見せず、キールはただただ笑っているだけで、ナギサは思わず「最っ低」と溢してしまった。
その嫌悪感を示すナギサを見て、更に笑みを増していく。
「大体あなた、自分の年齢考えた?一応、私は未成年なのよ。犯罪になると思うけど」
「まあ、今すぐとは言わないし、それに現在の正統な血筋の王女は未成年しかいないのでは?……ああ、貴様の姉であるフウ王女は先日、成人したのか」
「……どうであれ、年齢差が大きすぎるわね。出直してきてちょうだい」
ナギサが睨みながら言うが、キールはニヤニヤしたままで退く気はないようだった。
「しかし、貴様も王族ならわかっていると思うが、血筋を守るためなら年齢差などあまり関係ないだろう?たまたま、貴様の婚約者が同年代だったという訳で、そんなにすんなりいくものではないことは、理解しているのでは?」
「ええ、そうね。でも、それは血筋を守るためでしょう?私とあなたでは血族ですらないもの。あなたと婚姻を結んだとして、あなたは大きなメリットがあるでしょうが、私には何もないじゃない」
ナギサの正論に、キールは考える素振りを見せた。
「……では、戦でもして、敗戦国の人質としてうちに来るか?」
「っ!!!」
とんでもないことを言うキールに、ナギサはカッとなり、思わずテーブルにあった紅茶をキールの顔面にかけた。
ガシャン、と派手な音を立て、ナギサはティーカップをソーサーに置く。
店内にあまり客がいないとは言え、全員がナギサとキールの方を向き、騒然となる。
店員が「大丈夫ですか?」と駆け付けるが、ナギサは「……騒がせてしまって申し訳ないわね。これ、おつりはいいわ」とテーブルの上に紙幣を置くと、店から出て行った。
ナギサがイライラしながら歩いていると、向こうからイケメンがすっ飛んできた。
こちらはこちらで別のイライラの原因でもあるので、ナギサはげんなりする。
「ナギサー!やっと見つけたよー!」
レイガが満面の笑みでナギサに抱きつこうとして、ナギサはひょいっと避ける。
勢いで、横の壁に突っ込むレイガだが、レイガはこんなことでめげない。
「えー?なになに?すっごいご機嫌斜めじゃん。何かあった?変な奴に何かされた!?」
「……それはある意味あってるわね」
思わず返答したナギサに、レイガはぎょっとした。
「え!?俺が守るよ!大丈夫!」
レイガはそう叫びながら、ナギサの手を握ろうとしたが、ナギサに「あんたも変態枠だから安心しなさいな」と言われ、きょとんとした。
が、そこへ後ろから声をかけられた。
「おや?これはこれは……本当にナギサ王女は、変人を唆す才能でもおありかな?」
ナギサを追ってきたキールに声をかけられ、ナギサは「あー!もう!」と頭を抱えた。
目の前にはレイガ、後ろにはキールと、完全に挟み撃ちされる形になり、ナギサは苛立った。
レイガはキールを見るなり、ビシッと指を差した。
「お前が、ナギサに付き纏ってる変な男か!」
「その言葉、そのまま貴様に返すが?」
キールがさらりと返すが、レイガの耳には入っていないようで、レイガはキールに掴みかかろうとする。が、それよりも先に、ナギサがレイガを掴んだ。
「ちょっと!落ち着きなさいよ!あなた、こいつが誰かわかった上で、喧嘩売ろうとしてる?」
「え?ナギサのストーカーだろ?」
レイガがきょとんとしながら言えば、「ストーカーで済むなら、あんたも同レベルよ」と悪態を吐きそうになったナギサはぐっと我慢した。
「キールよ!冥王から話がいってるでしょう!?」
思わず声を荒げたナギサに、レイガはぽかんとした。
「……え?」
レイガは先日、メサイアとガルラと戦っており、彼らの強さも理解している。
固まるレイガを見て、キールは面白くなさそうな顔をした。
「なんだ。貴様にまで私の話がいってるのか。……はあ。魔界の第三王子なら兎も角、貴様には用がないのだがな」
「なっ!?」
レイガは絶句した。
ただでさえ、レイガとダークの間には確執がある。異母兄弟であること、王位継承権争いをしていたこと、いろいろ重なって、現在の二人はお互い「兄弟だと思ってない」と言い切るぐらいの仲の悪さだった。
キールの嫌味だとわかるはずなのに、レイガはぎりっと奥歯を噛んだ。
「うっせーよ!お前だって、はるか昔に国が滅んだくせに、王族だと騙ってるじゃねーか!」
「……はるか昔だとしても、末裔であることは事実だからな。王位継承権を剥奪された第一王子とは、いろんな意味で次元が違うのだがな」
キールがわざと言えば、レイガはあからさまに怒るが、そのレイガの腕をナギサが思いっきり掴んでいる。
ナギサは、キールの挑発だと理解していたし、挑発だとわかっていてもプライドを傷つけられたレイガがその煽りに乗ることもわかっていた。
しかし、キールの強さも知っており、ナギサはこの場で戦うことは賢明ではないと判断していた。
「レイガ!」
ナギサが思わず声を荒げれば、レイガはぴたりと動きを止めたが、不服そうにナギサを見る。
が、その様子をキールはニヤニヤしながら見ていた。
「くっ。王女に止められるとは情けないな。挑発にのるあたりを見ると、魔王も貴様の王位継承権をなくしておいて正解だったろうな」
「っ!!」
結局、煽るキールに、レイガの堪忍袋の緒は吹っ飛んだ。
「ぜってぇあいつのことぶん殴る!!ナギサ!!放せ!!」
「いい加減にしなさいよ!どう考えても煽りじゃない!そんなのにのらないでよ!」
ナギサは力いっぱいレイガを押さえつける。
が、やはりレイガの方が力を強く、ナギサは次第に抑え込めなくなっていた。
一瞬、レイガかと身構えたが、見知らぬ男でナギサは固まった。
が、ナギサはその目深にフードを被った男をじっと見、すっと目を細めた。
「あなた……」
ナギサの言葉に、男は口角を上げると、フードを取った。
そこから現れる藤色の髪と、藤色の瞳に、ナギサは思わず持っていたスプーンをガシャンと置いた。
「おや?プリンセスにしては、随分とマナーが乱暴だな」
そう嫌味を言う男を気にすることなく、ナギサはギリッと奥歯を噛んだ。
「キール……サファイア……」
「ああ。お見知りおきいただけて光栄ですね。ナギサ王女」
にやにや笑いながら言うキールに、ナギサはぐっと耐えると、すぐにしゃきっと背筋を伸ばした。
「ええ。随分と人の庭を荒らしているものね。……何が目的かしら?」
キールを見据えて言うナギサに、キールは益々笑みを深くした。
十六歳という未成年でありながら、王女としてのプライドが強く、物怖じしないナギサに、キールの興味は惹かれる一方だった。
「単刀直入に言おうか。私の妻になる気はないか?」
キールの言葉に、ナギサはぐっと顔を顰めた。が、すぐにふっと息を一つ吐くと、冷静に口を開いた。
「……やっぱり、あなたの狙いは私との……いえ、王家との婚姻が目的なのね」
「ほう?そこまで理解していただけていると?」
キールは楽しそうに、テーブルに両肘をつき、笑みを浮かべる。
その傲慢な態度に、ナギサは蔑んだ目でキールを見た。
「ええ。あなたが欲しいのは、王家の血筋でしょう?確かに私は、月王家の正統な継承者だわ。……でも、ごめんなさいね。私、性格の悪い人嫌いなの」
そうバッサリ切り捨て、ナギサはテーブルに置かれた紅茶を飲んだ。
「それは、残念だな。私としては、別に私の子供さえ産んでくれたら、好きにしていいし、貴様が望むものは差し出すつもりでいるのだが」
残念ぶっている様子も見せず、キールはただただ笑っているだけで、ナギサは思わず「最っ低」と溢してしまった。
その嫌悪感を示すナギサを見て、更に笑みを増していく。
「大体あなた、自分の年齢考えた?一応、私は未成年なのよ。犯罪になると思うけど」
「まあ、今すぐとは言わないし、それに現在の正統な血筋の王女は未成年しかいないのでは?……ああ、貴様の姉であるフウ王女は先日、成人したのか」
「……どうであれ、年齢差が大きすぎるわね。出直してきてちょうだい」
ナギサが睨みながら言うが、キールはニヤニヤしたままで退く気はないようだった。
「しかし、貴様も王族ならわかっていると思うが、血筋を守るためなら年齢差などあまり関係ないだろう?たまたま、貴様の婚約者が同年代だったという訳で、そんなにすんなりいくものではないことは、理解しているのでは?」
「ええ、そうね。でも、それは血筋を守るためでしょう?私とあなたでは血族ですらないもの。あなたと婚姻を結んだとして、あなたは大きなメリットがあるでしょうが、私には何もないじゃない」
ナギサの正論に、キールは考える素振りを見せた。
「……では、戦でもして、敗戦国の人質としてうちに来るか?」
「っ!!!」
とんでもないことを言うキールに、ナギサはカッとなり、思わずテーブルにあった紅茶をキールの顔面にかけた。
ガシャン、と派手な音を立て、ナギサはティーカップをソーサーに置く。
店内にあまり客がいないとは言え、全員がナギサとキールの方を向き、騒然となる。
店員が「大丈夫ですか?」と駆け付けるが、ナギサは「……騒がせてしまって申し訳ないわね。これ、おつりはいいわ」とテーブルの上に紙幣を置くと、店から出て行った。
ナギサがイライラしながら歩いていると、向こうからイケメンがすっ飛んできた。
こちらはこちらで別のイライラの原因でもあるので、ナギサはげんなりする。
「ナギサー!やっと見つけたよー!」
レイガが満面の笑みでナギサに抱きつこうとして、ナギサはひょいっと避ける。
勢いで、横の壁に突っ込むレイガだが、レイガはこんなことでめげない。
「えー?なになに?すっごいご機嫌斜めじゃん。何かあった?変な奴に何かされた!?」
「……それはある意味あってるわね」
思わず返答したナギサに、レイガはぎょっとした。
「え!?俺が守るよ!大丈夫!」
レイガはそう叫びながら、ナギサの手を握ろうとしたが、ナギサに「あんたも変態枠だから安心しなさいな」と言われ、きょとんとした。
が、そこへ後ろから声をかけられた。
「おや?これはこれは……本当にナギサ王女は、変人を唆す才能でもおありかな?」
ナギサを追ってきたキールに声をかけられ、ナギサは「あー!もう!」と頭を抱えた。
目の前にはレイガ、後ろにはキールと、完全に挟み撃ちされる形になり、ナギサは苛立った。
レイガはキールを見るなり、ビシッと指を差した。
「お前が、ナギサに付き纏ってる変な男か!」
「その言葉、そのまま貴様に返すが?」
キールがさらりと返すが、レイガの耳には入っていないようで、レイガはキールに掴みかかろうとする。が、それよりも先に、ナギサがレイガを掴んだ。
「ちょっと!落ち着きなさいよ!あなた、こいつが誰かわかった上で、喧嘩売ろうとしてる?」
「え?ナギサのストーカーだろ?」
レイガがきょとんとしながら言えば、「ストーカーで済むなら、あんたも同レベルよ」と悪態を吐きそうになったナギサはぐっと我慢した。
「キールよ!冥王から話がいってるでしょう!?」
思わず声を荒げたナギサに、レイガはぽかんとした。
「……え?」
レイガは先日、メサイアとガルラと戦っており、彼らの強さも理解している。
固まるレイガを見て、キールは面白くなさそうな顔をした。
「なんだ。貴様にまで私の話がいってるのか。……はあ。魔界の第三王子なら兎も角、貴様には用がないのだがな」
「なっ!?」
レイガは絶句した。
ただでさえ、レイガとダークの間には確執がある。異母兄弟であること、王位継承権争いをしていたこと、いろいろ重なって、現在の二人はお互い「兄弟だと思ってない」と言い切るぐらいの仲の悪さだった。
キールの嫌味だとわかるはずなのに、レイガはぎりっと奥歯を噛んだ。
「うっせーよ!お前だって、はるか昔に国が滅んだくせに、王族だと騙ってるじゃねーか!」
「……はるか昔だとしても、末裔であることは事実だからな。王位継承権を剥奪された第一王子とは、いろんな意味で次元が違うのだがな」
キールがわざと言えば、レイガはあからさまに怒るが、そのレイガの腕をナギサが思いっきり掴んでいる。
ナギサは、キールの挑発だと理解していたし、挑発だとわかっていてもプライドを傷つけられたレイガがその煽りに乗ることもわかっていた。
しかし、キールの強さも知っており、ナギサはこの場で戦うことは賢明ではないと判断していた。
「レイガ!」
ナギサが思わず声を荒げれば、レイガはぴたりと動きを止めたが、不服そうにナギサを見る。
が、その様子をキールはニヤニヤしながら見ていた。
「くっ。王女に止められるとは情けないな。挑発にのるあたりを見ると、魔王も貴様の王位継承権をなくしておいて正解だったろうな」
「っ!!」
結局、煽るキールに、レイガの堪忍袋の緒は吹っ飛んだ。
「ぜってぇあいつのことぶん殴る!!ナギサ!!放せ!!」
「いい加減にしなさいよ!どう考えても煽りじゃない!そんなのにのらないでよ!」
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