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新月の運命
邂逅・1
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「ねえ、ナギサ!聞いたよー!変な男に付き纏われてるんだって!?大丈夫だよ!俺が守るから!」
「……あんたが言える義理じゃないでしょ」
ナギサは鬱陶しそうに男を見、盛大に溜め息を吐いた。
事の発端は数時間前、ナギサは冥殿で魔王――ルシフに遭遇した。
「おや?ナギサ。聞いたよ。花祭り大変だったんだって?」
ルシフはそう問うが、既に冥王――リキから一部始終を聞いているので、ただの確認でしかない。
ナギサもそれを理解していたから、多くは語らなかった。
「それで?ナギサはそんな状況なのに、なんで冥界にいるのかな?」
突然声のトーンを下げたルシフに、ナギサは「え?」と顔を見るが、目が笑ってないルシフに、ナギサはすーっと背筋を凍らせた。
「あ、いや……冥王に、進捗を聞きに……」
「へえ?連絡取ればいいのに?」
「えっと……気晴らし?」
ナギサはひたすら目を泳がせながら言うが、ルシフはニコニコと追い詰めていく。
そのうち、ナギサは思いっきり走った。
「私っ!私のパフェが待ってるのー!」
そう叫びながら去るナギサに、ルシフは「はあ?」と声を上げた。
「パフェって何を言って……っ、まさか!」
ルシフはハッとして、ナギサを止めようとするが、凄い速さで行ってしまい、ぽつんと立ち尽くした。
スイーツ大好きなナギサのことだ。たぶん、またカフェでパフェを頬張るつもりなのだろう。
そして、ここは冥殿で、わざわざそれを言うということは、冥界の一般居住区のカフェに行くつもりなのだ。先日、キールと遭遇したとわかったばかりなのに。
ルシフは頭を抱え、大きな溜め息を吐いた。
「念のため、リキに伝えておくか。問題は……あいつだな。何もやらかすなよ、レイガ」
そう呟きながら、リキの元へと急いだ。
ナギサはカフェに向かって歩いていた。
「魔王は心配しすぎなのよ。子供じゃないんだし、ある程度のことは一人でできるわ」
ナギサはそうぶつぶつ言いながら歩いていると、「ナギサ?」と声を掛けられた。
驚いたナギサが振り向くと、そこには会いたくないイケメンが立っていた。
「……なんでいるのよ?」
ナギサが嫌そうな顔を隠しもせず問うと、レイガは満面の笑みで近寄って来た。
「冥王に用があったんだけど……抜け出してきた!それよりさ、聞いたよ!変な男に付き纏われてるんだって!?大丈夫だよ!俺が守るから!」
「……あんたが言える義理じゃないでしょ」
ナギサが悪態をついても、レイガは気にせずへらへらと笑う。
「で、これからどこ行くの?俺もついて行っていい?」
「いや。ぜっっったいにいや!!」
「やだぁ。ナギサってば、天邪鬼なんだからー」
レイガは眉尻を下げ、一人でうっとりしている。
ナギサは鳥肌を立たせながら、頭を抱えた。
「……私の言葉聞こえてる?ってか、理解できてる?」
「うんうん、わかってるよ。ナギサが恥ずかしがり屋って話でしょ?」
「一言もそんなこと言ってないわ」
うんざりした顔で言うナギサだが、レイガはきょとんとした。
「あ!話さないけど、理解して、ってこと?ごめんね。俺の理解が足りなかったみたい。俺、ナギサの考えてること全て理解できるように頑張るから」
レイガの言葉に、ナギサは「話が通じない」と頭を抱えた。このまま続けても平行線のままだと理解し、ナギサはくるんと向きを変えると、無視して歩き始めた。
「ナギサ!どこ行くの?俺も行くから」
「来なくていい。ってか、ついて来ないで」
ずんずん歩くナギサの後ろを、レイガがひょこひょことついて来る。
「ねえねえ、ナギサ」
レイガが声をかけるが、ナギサは無視を決め込んでいる。というか、早足で歩いている。
しかし、その速さにしっかりついてくるレイガ。
「一人じゃ危ないだろ?俺がついていれば、もう大丈夫だからさ」
レイガは一人でずっと喋っている。全く同じ速度で。
ついに、ナギサは駆け出した。
「ついてこないでよ!!」
「なんで!?なんで逃げるの?ねえ、一緒にお茶しようよー」
「だからっ、ついてこないでー!!」
全速力で駆け抜けながら、路地裏を曲がり曲がりで進み、撒こうと必死のナギサ。
レイガの声が遠くなったところで、ナギサは立ち止まった。
「はあ……はあ……何とか撒けたかしら」
と、周囲を見て眉を顰めた。
ぐるぐる走ったせいで、完全に迷子になったのだ。
「あー!もうっ!あの変態のせいだわ!」
そう悪態を吐きながら、歩き始める。
レイガはずっとナギサを探していた。
「どこ行っちゃったんだろう。変な男に付き纏われてるって言うし、心配だから側にいてあげないと!」
が、撒かれた以上、探しようがなく、レイガはうーんと考えた。
「ナギサのことだから、どこかのカフェにいると思うんだけどなー。さすがに店多すぎるし……。あ、そうだ!」
レイガは路地裏に入ると、足元を見た。
そのまま、靴でコンコンと地面を打つ。ざわりと影が揺らぐ。
「ナギサの……月界の第二王女を探して」
ぽつりと呟けば、揺らいだ影はそのままざわざわと遠くへと動いて行った。
レイガは、王位継承権を失くしたとはいえ、魔界の第一王子であることは変わりがない。そして、魔界の守護神である“闇の神”と契約をできなかったとはいえ、力を借りているのは事実で、ましてや兄妹の中では一番魔力の保有量が高いため、闇属性の魔法が使えない訳ではないのだ。
この場にガイトがいれば、「そんなことで闇魔法を使用するな!」と怒るだろうが、そのストッパーであるガイトはここにいないのだ。
少しして、再びレイガの足元の影がざわりと動くと、にゅっと動きだし、気付くとそこに真っ黒の豆鹿が現れた。レイガの使い魔でもあるその鹿はちらりとレイガを見ると歩きだし、レイガはその後を追った。
ナギサはやっと目的のカフェに着いた。
「やっと着いたわ。はあ。あの変態が邪魔して来なければ、もっと早く着いたのにな」
そう文句を言いながら、カフェの扉を開ける。
中は落ち着いた空間で、ナギサは奥の席に腰をかける。
店員に特大パフェを頼み、ナギサは店内を見回した。店内は混みあってなく、静かな時間が流れている。他の客たちものんびりお茶をしていたり、お茶をしながら読書をしていたりと、各々が自分時間を満喫しているようだった。
「お待たせ致しました」とテーブルに、大きなパフェと、紅茶の入ったポットとカップが置かれる。
ナギサは「ありがとう」と軽く言うと、目の前の大きなパフェに目をキラキラさせた。
たくさん乗ったフルーツにカラメルソースが絡み合う。パフェの途中にはプリンやムースも入っており、ナギサは期待いっぱいで食べ始めた。
キールは目深にフードを被り、冥界を歩いていた。
先日の一件で、冥界でも正体がバレていることを見据えていたが、それどころではないと言わんばかりに、ずんずんと歩いている。
やっと目的地に着き、キールはちらりと見た。そこには、特大パフェのチラシが貼ってある。
最近、仕事を詰め込みすぎたことを自覚していたが、さすがに糖分を入れないと死にそうだった。
カフェの扉を開け、何となく店内を見回す。
「え?」
キールは思わず声を上げた。
店内の奥の席で、ナギサが特大パフェを頬張っていたのだから。
今までの糖分を欲していた気持ちはどこへやら、キールは一気に楽しそうに笑みを浮かべると、ナギサの元へと向かった。
「……あんたが言える義理じゃないでしょ」
ナギサは鬱陶しそうに男を見、盛大に溜め息を吐いた。
事の発端は数時間前、ナギサは冥殿で魔王――ルシフに遭遇した。
「おや?ナギサ。聞いたよ。花祭り大変だったんだって?」
ルシフはそう問うが、既に冥王――リキから一部始終を聞いているので、ただの確認でしかない。
ナギサもそれを理解していたから、多くは語らなかった。
「それで?ナギサはそんな状況なのに、なんで冥界にいるのかな?」
突然声のトーンを下げたルシフに、ナギサは「え?」と顔を見るが、目が笑ってないルシフに、ナギサはすーっと背筋を凍らせた。
「あ、いや……冥王に、進捗を聞きに……」
「へえ?連絡取ればいいのに?」
「えっと……気晴らし?」
ナギサはひたすら目を泳がせながら言うが、ルシフはニコニコと追い詰めていく。
そのうち、ナギサは思いっきり走った。
「私っ!私のパフェが待ってるのー!」
そう叫びながら去るナギサに、ルシフは「はあ?」と声を上げた。
「パフェって何を言って……っ、まさか!」
ルシフはハッとして、ナギサを止めようとするが、凄い速さで行ってしまい、ぽつんと立ち尽くした。
スイーツ大好きなナギサのことだ。たぶん、またカフェでパフェを頬張るつもりなのだろう。
そして、ここは冥殿で、わざわざそれを言うということは、冥界の一般居住区のカフェに行くつもりなのだ。先日、キールと遭遇したとわかったばかりなのに。
ルシフは頭を抱え、大きな溜め息を吐いた。
「念のため、リキに伝えておくか。問題は……あいつだな。何もやらかすなよ、レイガ」
そう呟きながら、リキの元へと急いだ。
ナギサはカフェに向かって歩いていた。
「魔王は心配しすぎなのよ。子供じゃないんだし、ある程度のことは一人でできるわ」
ナギサはそうぶつぶつ言いながら歩いていると、「ナギサ?」と声を掛けられた。
驚いたナギサが振り向くと、そこには会いたくないイケメンが立っていた。
「……なんでいるのよ?」
ナギサが嫌そうな顔を隠しもせず問うと、レイガは満面の笑みで近寄って来た。
「冥王に用があったんだけど……抜け出してきた!それよりさ、聞いたよ!変な男に付き纏われてるんだって!?大丈夫だよ!俺が守るから!」
「……あんたが言える義理じゃないでしょ」
ナギサが悪態をついても、レイガは気にせずへらへらと笑う。
「で、これからどこ行くの?俺もついて行っていい?」
「いや。ぜっっったいにいや!!」
「やだぁ。ナギサってば、天邪鬼なんだからー」
レイガは眉尻を下げ、一人でうっとりしている。
ナギサは鳥肌を立たせながら、頭を抱えた。
「……私の言葉聞こえてる?ってか、理解できてる?」
「うんうん、わかってるよ。ナギサが恥ずかしがり屋って話でしょ?」
「一言もそんなこと言ってないわ」
うんざりした顔で言うナギサだが、レイガはきょとんとした。
「あ!話さないけど、理解して、ってこと?ごめんね。俺の理解が足りなかったみたい。俺、ナギサの考えてること全て理解できるように頑張るから」
レイガの言葉に、ナギサは「話が通じない」と頭を抱えた。このまま続けても平行線のままだと理解し、ナギサはくるんと向きを変えると、無視して歩き始めた。
「ナギサ!どこ行くの?俺も行くから」
「来なくていい。ってか、ついて来ないで」
ずんずん歩くナギサの後ろを、レイガがひょこひょことついて来る。
「ねえねえ、ナギサ」
レイガが声をかけるが、ナギサは無視を決め込んでいる。というか、早足で歩いている。
しかし、その速さにしっかりついてくるレイガ。
「一人じゃ危ないだろ?俺がついていれば、もう大丈夫だからさ」
レイガは一人でずっと喋っている。全く同じ速度で。
ついに、ナギサは駆け出した。
「ついてこないでよ!!」
「なんで!?なんで逃げるの?ねえ、一緒にお茶しようよー」
「だからっ、ついてこないでー!!」
全速力で駆け抜けながら、路地裏を曲がり曲がりで進み、撒こうと必死のナギサ。
レイガの声が遠くなったところで、ナギサは立ち止まった。
「はあ……はあ……何とか撒けたかしら」
と、周囲を見て眉を顰めた。
ぐるぐる走ったせいで、完全に迷子になったのだ。
「あー!もうっ!あの変態のせいだわ!」
そう悪態を吐きながら、歩き始める。
レイガはずっとナギサを探していた。
「どこ行っちゃったんだろう。変な男に付き纏われてるって言うし、心配だから側にいてあげないと!」
が、撒かれた以上、探しようがなく、レイガはうーんと考えた。
「ナギサのことだから、どこかのカフェにいると思うんだけどなー。さすがに店多すぎるし……。あ、そうだ!」
レイガは路地裏に入ると、足元を見た。
そのまま、靴でコンコンと地面を打つ。ざわりと影が揺らぐ。
「ナギサの……月界の第二王女を探して」
ぽつりと呟けば、揺らいだ影はそのままざわざわと遠くへと動いて行った。
レイガは、王位継承権を失くしたとはいえ、魔界の第一王子であることは変わりがない。そして、魔界の守護神である“闇の神”と契約をできなかったとはいえ、力を借りているのは事実で、ましてや兄妹の中では一番魔力の保有量が高いため、闇属性の魔法が使えない訳ではないのだ。
この場にガイトがいれば、「そんなことで闇魔法を使用するな!」と怒るだろうが、そのストッパーであるガイトはここにいないのだ。
少しして、再びレイガの足元の影がざわりと動くと、にゅっと動きだし、気付くとそこに真っ黒の豆鹿が現れた。レイガの使い魔でもあるその鹿はちらりとレイガを見ると歩きだし、レイガはその後を追った。
ナギサはやっと目的のカフェに着いた。
「やっと着いたわ。はあ。あの変態が邪魔して来なければ、もっと早く着いたのにな」
そう文句を言いながら、カフェの扉を開ける。
中は落ち着いた空間で、ナギサは奥の席に腰をかける。
店員に特大パフェを頼み、ナギサは店内を見回した。店内は混みあってなく、静かな時間が流れている。他の客たちものんびりお茶をしていたり、お茶をしながら読書をしていたりと、各々が自分時間を満喫しているようだった。
「お待たせ致しました」とテーブルに、大きなパフェと、紅茶の入ったポットとカップが置かれる。
ナギサは「ありがとう」と軽く言うと、目の前の大きなパフェに目をキラキラさせた。
たくさん乗ったフルーツにカラメルソースが絡み合う。パフェの途中にはプリンやムースも入っており、ナギサは期待いっぱいで食べ始めた。
キールは目深にフードを被り、冥界を歩いていた。
先日の一件で、冥界でも正体がバレていることを見据えていたが、それどころではないと言わんばかりに、ずんずんと歩いている。
やっと目的地に着き、キールはちらりと見た。そこには、特大パフェのチラシが貼ってある。
最近、仕事を詰め込みすぎたことを自覚していたが、さすがに糖分を入れないと死にそうだった。
カフェの扉を開け、何となく店内を見回す。
「え?」
キールは思わず声を上げた。
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