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出会いと雪解け
孤高の華・1
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早朝、ナギサ、ダーク、キョウノの三人は、冥王の執務室にいた。
三人が並んで立っている向かいには、机に肘をつき、椅子に体を沈めたリキ。その横には冥王補佐官であるカイが立っていた。
ナギサは配られた資料に目を通していたが、眉を顰める。
「今日は戦闘訓練じゃなかったの?」
バサリと資料を置きながら言うナギサに、リキは口角を上げた。
「実戦訓練とは言ったけど、戦闘メインとは言ってないよ。今回の任務は、戦闘そのものじゃない。ただ、場所が場所だからな」
頬杖をつきながら楽しそうに答えるリキだったが、ちらりと横目でカイを見た。カイはその視線で察したのか、話を続けるため、三人の前へと進み出た。
「資料にある通り、お三方には“封印の神”に会いに行っていただきます」
「“封印の神”って、冥界の守護神よね?」
ナギサの問いに、カイは「ええ」と頷いた。
「ここから少し行ったところに、深い森があるのは知っていますね?」
通称、“死の森”。
ナギサはそこまで考え、ふと思い出した。ダークと再会した場所であり、助けられた場所だと。
思わず眉を寄せるが、それに気付いたキョウノは一人楽しそうに笑みを零し、口を開いた。
「あそこは獣が多く蔓延ってるから、人は近付かない。それを利用して、犯罪者も多く住んでいるんだ。治安は最悪だよ。まあ、ナギサも知ってると思うけど」
キョウノが含んだように言うと、ナギサはキッと睨んだ。それを笑顔で返すキョウノだが、その隣にいたダークは涼しげな顔をしつつ、「本当に性格悪いな、こいつ」とキョウノに対して思っていた。
そんなダークの心の内など露知らず、ナギサは苛々した様子で聞いた。
「そんなところに守護神がいるの?」
「森を入って少し行ったところに池があるのですが、そこが神域になっております」
カイは答えつつ、ナギサが手にしている資料の地図から場所を指差した。
「つまり、封印の神のところまでおつかいってことね。ただ、治安が悪いから戦闘の可能性もあるってことでいいのかしら?」
ナギサがそう聞くと、カイは「ナギサ様は理解が早くて助かります」と笑みを浮かべた。
「それで、おつかいの内容ですが……先日起きた脱走事件の様子を、“封印の神”に聞いてきていただきたいのです」
カイはそう言うが、ナギサは言っている意味がわからず、首を傾げる。しかし、キョウノとダークはどこか納得したようで、「ああ」と返事をした。
それにはナギサも驚いたようで、キョウノを見た。
「どういうこと?」
「あ、そっか。ナギサが帰ってくる前の話だったっけ?」
ナギサの問いに、キョウノが思い出したように言う。
その様子を見ていたリキが、頬杖をついたまま口を開いた。
「封印の神は、冥界の守護神として、光と闇を調和する力を持っているが、その名前の通り、悪しきを“封印”する目的も担っている。そのため、罪人を封印して、半永久的に意識の中に閉じ込め、彷徨わせることで、死ぬこともできない自由を奪う、というのが極刑になってるんだ。数年前、複数の殺人を犯した凶悪犯を二名封印したんだけど、そのうち一名が脱獄して、現在も逃走中なんだ」
リキの説明に、ナギサはぎょっとした。
「それって一大事じゃない!そんなに警備が薄かったの?」
「馬鹿言え。確かに、我々は警備をしていなかったのは認めるが、“封印の神”本人がいる神域内だし、その“封印の神”本人が封印している堅牢な場所だぞ。今までこんなことなかったわけだし」
リキがそこまで言うと、カイが引き継ぐように話を続けた。
「第三者の介入が無ければ、あの場所からの脱獄は不可なのは確かです。しかも、相当な術士でないと、神を欺くというのは無理でしょう。だからこそ、あの日何があったのかを封印の神本人に伺いたく、今回の任務にさせていただきました」
カイが軽く頭を下げながら言うが、資料を捲っていたダークが訝しげな表情を浮かべた。
「それは構わないが、神域って俺たちが軽々しく行けるものなのか?」
「それにつきましては、神域の入り方も、神殿の行き方も、キョウノ様が把握しております」
カイが恭しく答えると、ダークとナギサは驚いたようにキョウノを見た。
「んー、まあ、封印の神と契約を結んでるからね。何度か足を運んでるから、その辺は大丈夫」
苦笑いを浮かべながら返事をするキョウノだったが、カイはそのまま話を続けた。
「なので、戦闘も含め、実践的な任務を行うには問題ない程度かと思います。リキ様」
カイはそこまで言うと、リキに話を振った。
その言葉に、リキはやっと立ち上がると、三人を見て、満面の笑みを零した。
「よーしっ!三大王代理人の初任務だ!頑張って来いよー!」
鬱蒼とした森を進みながら、ダークはちらりと前を見た。前方には、ずんずんと躊躇いもなく進むナギサの姿がある。
あまりにも勇ましく進むナギサを見ながら、「女性の、ましてや王族という高貴な身分であれば、こんな鬱蒼とした森を歩くのすら嫌がるのにな」とダークがぼんやりと考えていると、キョウノがこっそりとダークに耳打ちした。
「ナギサ、張り切ってるね」
ナギサには聞こえていない声量で言うキョウノを、ダークはちらりと横目で見る。
「あいつは、実戦はまだなんだろ?緊張でもしてるんじゃないか?」
「いや、あれは緊張というより……意気込みすぎだろ」
「空回りしないといいけどな」
ダークがあっさり答えると、キョウノは楽しそうに笑みを浮かべた。
「そこは、ダークが颯爽と助ければいいんだよ」
そうアドバイスをするキョウノだが、ダークに冷めた目で見られただけだった。
そんな男性二人を横目に、ナギサは変わらず進んでいたが、突然足を止めた。その様子に、ダークとキョウノも歩みを止める。
「来るわよ!」
ナギサがそう叫ぶと、慌てて後方へとステップを踏んだ。同時に、ナギサが今までいたところに巨体が突進してくる。
「あー、ベアウルフか。面倒だな」
キョウノが頭を掻きながらぼやく。
その、巨大な熊型の魔獣はかなり凶暴で、知性はあまりないもののとんでもないパワーで突っ込んでくる、という厄介なものだった。
避けたナギサが腰から下げた剣を抜く間に、ダークが銃の引き金を引く。派手は発砲音を聞きながら、キョウノは「ナギサ、大丈夫ー?」と平然と問う。
「問題ないわ!」
そう力強く返事をし、地面を蹴って駆け出すナギサ。
その様子を見て、後方にいたダークはぐっと眉を顰めた。
「っ……ナギサが邪魔だな」
そう呟くダークの声は、隣にいるキョウノにしか聞こえておらず、キョウノは苦笑いをした。
「仕方ないだろ。ナギサは剣術っていう、接近戦メインなんだから。そこは上手く、ダークがフォローしてあげないと」
キョウノに難しい要望を出され、ダークの眉間の皺は一層深くなった。
その間にも、ナギサとベアウルフの攻防は続いていた。接近戦に持ち込もうとするナギサと、怒りに任せてひたすらナギサに何度も腕を振り下ろすベアウルフ。
全く近付けないことに苛立ったナギサは舌打ちをしながら、ダークとキョウノの方に目を向けるが、その場でお喋りしているのを見ると、「何なのよ、あいつら」と悪態が出そうになった。
自分しか信じられないと言わんばかりに立ち向かおうとしたナギサだったが、突然横から声が聞こえた。
「ナギサ、ダメだよ。それじゃあ勝てない」
気付けばすぐ横にキョウノがおり、ナギサに優しい視線を向けている。
驚くナギサだったが、それよりも早くキョウノは腰に掛けていた鞭を取り、乾いた音を立てながらベアウルフへと向けた。
「このままじゃ勝てないし、大怪我するから、下がってて」
「でもっ!!」
「ほら、早く!話はあとで!」
キョウノの有無を言わさないような声音に、ナギサはぐっと口を噤むと、渋々と後方へ下がった。
ナギサが下がったのを確認したキョウノは、再びパシリッと鞭を振るうと、楽しそうな表情でベアウルフに視線を向けた。
「じゃあ、悪い子にはお仕置きだねー」
「……おい、キョウノ。楽しんでないで、さっさとやるぞ」
キョウノの言葉を合図にしたように、ダークも後方から銃を構えると、すぐに発砲した。
弾丸がベアウルフの右目に命中し、その隙を見て、キョウノが逆の左目を鞭に打った。
激しい咆哮を上げ、突如視力を失ったベアウルフは手当り次第に腕を振るうが、キョウノは鞭をベアウルフの右足に巻きつかせ引っ張った。
急に引っ張られたベアウルフはバランスを失い、大きな体をよろめかせ、前に崩れそうになったところで、焦点を合わせて待っていたダークによって、そのまま眉間を撃ち抜かれ、大きな音を立てながら倒れた。
その様子を唖然と見つめるナギサだが、ダークとキョウノは倒したのを確認すると、ふうっと肩の力を抜いた。
「ナギサ、大丈夫か?怪我はない?」
キョウノが駆け寄り、心配そうにナギサに問う。しかし、ナギサはぐっと顔を顰めるだけで、返事をしない。
その様子に、キョウノはナギサが何を考えているのかを理解し、困ったように笑った。
「ほら、そんな顔しないで。ナギサはまだ、実戦経験がないんだから、仕方ないよ。俺だって、初めの頃はそんなもんだったって。それより、この死臭を嗅いで他の魔獣たちが集まって来るだろうから、ここを離れよう。歩きながら話そう」
キョウノはそう言うと、今にも泣きそうなナギサの手を引いて、「ダークも行くぞ」と声をかけながら、やや早歩きでその場を後にした。
三人が並んで立っている向かいには、机に肘をつき、椅子に体を沈めたリキ。その横には冥王補佐官であるカイが立っていた。
ナギサは配られた資料に目を通していたが、眉を顰める。
「今日は戦闘訓練じゃなかったの?」
バサリと資料を置きながら言うナギサに、リキは口角を上げた。
「実戦訓練とは言ったけど、戦闘メインとは言ってないよ。今回の任務は、戦闘そのものじゃない。ただ、場所が場所だからな」
頬杖をつきながら楽しそうに答えるリキだったが、ちらりと横目でカイを見た。カイはその視線で察したのか、話を続けるため、三人の前へと進み出た。
「資料にある通り、お三方には“封印の神”に会いに行っていただきます」
「“封印の神”って、冥界の守護神よね?」
ナギサの問いに、カイは「ええ」と頷いた。
「ここから少し行ったところに、深い森があるのは知っていますね?」
通称、“死の森”。
ナギサはそこまで考え、ふと思い出した。ダークと再会した場所であり、助けられた場所だと。
思わず眉を寄せるが、それに気付いたキョウノは一人楽しそうに笑みを零し、口を開いた。
「あそこは獣が多く蔓延ってるから、人は近付かない。それを利用して、犯罪者も多く住んでいるんだ。治安は最悪だよ。まあ、ナギサも知ってると思うけど」
キョウノが含んだように言うと、ナギサはキッと睨んだ。それを笑顔で返すキョウノだが、その隣にいたダークは涼しげな顔をしつつ、「本当に性格悪いな、こいつ」とキョウノに対して思っていた。
そんなダークの心の内など露知らず、ナギサは苛々した様子で聞いた。
「そんなところに守護神がいるの?」
「森を入って少し行ったところに池があるのですが、そこが神域になっております」
カイは答えつつ、ナギサが手にしている資料の地図から場所を指差した。
「つまり、封印の神のところまでおつかいってことね。ただ、治安が悪いから戦闘の可能性もあるってことでいいのかしら?」
ナギサがそう聞くと、カイは「ナギサ様は理解が早くて助かります」と笑みを浮かべた。
「それで、おつかいの内容ですが……先日起きた脱走事件の様子を、“封印の神”に聞いてきていただきたいのです」
カイはそう言うが、ナギサは言っている意味がわからず、首を傾げる。しかし、キョウノとダークはどこか納得したようで、「ああ」と返事をした。
それにはナギサも驚いたようで、キョウノを見た。
「どういうこと?」
「あ、そっか。ナギサが帰ってくる前の話だったっけ?」
ナギサの問いに、キョウノが思い出したように言う。
その様子を見ていたリキが、頬杖をついたまま口を開いた。
「封印の神は、冥界の守護神として、光と闇を調和する力を持っているが、その名前の通り、悪しきを“封印”する目的も担っている。そのため、罪人を封印して、半永久的に意識の中に閉じ込め、彷徨わせることで、死ぬこともできない自由を奪う、というのが極刑になってるんだ。数年前、複数の殺人を犯した凶悪犯を二名封印したんだけど、そのうち一名が脱獄して、現在も逃走中なんだ」
リキの説明に、ナギサはぎょっとした。
「それって一大事じゃない!そんなに警備が薄かったの?」
「馬鹿言え。確かに、我々は警備をしていなかったのは認めるが、“封印の神”本人がいる神域内だし、その“封印の神”本人が封印している堅牢な場所だぞ。今までこんなことなかったわけだし」
リキがそこまで言うと、カイが引き継ぐように話を続けた。
「第三者の介入が無ければ、あの場所からの脱獄は不可なのは確かです。しかも、相当な術士でないと、神を欺くというのは無理でしょう。だからこそ、あの日何があったのかを封印の神本人に伺いたく、今回の任務にさせていただきました」
カイが軽く頭を下げながら言うが、資料を捲っていたダークが訝しげな表情を浮かべた。
「それは構わないが、神域って俺たちが軽々しく行けるものなのか?」
「それにつきましては、神域の入り方も、神殿の行き方も、キョウノ様が把握しております」
カイが恭しく答えると、ダークとナギサは驚いたようにキョウノを見た。
「んー、まあ、封印の神と契約を結んでるからね。何度か足を運んでるから、その辺は大丈夫」
苦笑いを浮かべながら返事をするキョウノだったが、カイはそのまま話を続けた。
「なので、戦闘も含め、実践的な任務を行うには問題ない程度かと思います。リキ様」
カイはそこまで言うと、リキに話を振った。
その言葉に、リキはやっと立ち上がると、三人を見て、満面の笑みを零した。
「よーしっ!三大王代理人の初任務だ!頑張って来いよー!」
鬱蒼とした森を進みながら、ダークはちらりと前を見た。前方には、ずんずんと躊躇いもなく進むナギサの姿がある。
あまりにも勇ましく進むナギサを見ながら、「女性の、ましてや王族という高貴な身分であれば、こんな鬱蒼とした森を歩くのすら嫌がるのにな」とダークがぼんやりと考えていると、キョウノがこっそりとダークに耳打ちした。
「ナギサ、張り切ってるね」
ナギサには聞こえていない声量で言うキョウノを、ダークはちらりと横目で見る。
「あいつは、実戦はまだなんだろ?緊張でもしてるんじゃないか?」
「いや、あれは緊張というより……意気込みすぎだろ」
「空回りしないといいけどな」
ダークがあっさり答えると、キョウノは楽しそうに笑みを浮かべた。
「そこは、ダークが颯爽と助ければいいんだよ」
そうアドバイスをするキョウノだが、ダークに冷めた目で見られただけだった。
そんな男性二人を横目に、ナギサは変わらず進んでいたが、突然足を止めた。その様子に、ダークとキョウノも歩みを止める。
「来るわよ!」
ナギサがそう叫ぶと、慌てて後方へとステップを踏んだ。同時に、ナギサが今までいたところに巨体が突進してくる。
「あー、ベアウルフか。面倒だな」
キョウノが頭を掻きながらぼやく。
その、巨大な熊型の魔獣はかなり凶暴で、知性はあまりないもののとんでもないパワーで突っ込んでくる、という厄介なものだった。
避けたナギサが腰から下げた剣を抜く間に、ダークが銃の引き金を引く。派手は発砲音を聞きながら、キョウノは「ナギサ、大丈夫ー?」と平然と問う。
「問題ないわ!」
そう力強く返事をし、地面を蹴って駆け出すナギサ。
その様子を見て、後方にいたダークはぐっと眉を顰めた。
「っ……ナギサが邪魔だな」
そう呟くダークの声は、隣にいるキョウノにしか聞こえておらず、キョウノは苦笑いをした。
「仕方ないだろ。ナギサは剣術っていう、接近戦メインなんだから。そこは上手く、ダークがフォローしてあげないと」
キョウノに難しい要望を出され、ダークの眉間の皺は一層深くなった。
その間にも、ナギサとベアウルフの攻防は続いていた。接近戦に持ち込もうとするナギサと、怒りに任せてひたすらナギサに何度も腕を振り下ろすベアウルフ。
全く近付けないことに苛立ったナギサは舌打ちをしながら、ダークとキョウノの方に目を向けるが、その場でお喋りしているのを見ると、「何なのよ、あいつら」と悪態が出そうになった。
自分しか信じられないと言わんばかりに立ち向かおうとしたナギサだったが、突然横から声が聞こえた。
「ナギサ、ダメだよ。それじゃあ勝てない」
気付けばすぐ横にキョウノがおり、ナギサに優しい視線を向けている。
驚くナギサだったが、それよりも早くキョウノは腰に掛けていた鞭を取り、乾いた音を立てながらベアウルフへと向けた。
「このままじゃ勝てないし、大怪我するから、下がってて」
「でもっ!!」
「ほら、早く!話はあとで!」
キョウノの有無を言わさないような声音に、ナギサはぐっと口を噤むと、渋々と後方へ下がった。
ナギサが下がったのを確認したキョウノは、再びパシリッと鞭を振るうと、楽しそうな表情でベアウルフに視線を向けた。
「じゃあ、悪い子にはお仕置きだねー」
「……おい、キョウノ。楽しんでないで、さっさとやるぞ」
キョウノの言葉を合図にしたように、ダークも後方から銃を構えると、すぐに発砲した。
弾丸がベアウルフの右目に命中し、その隙を見て、キョウノが逆の左目を鞭に打った。
激しい咆哮を上げ、突如視力を失ったベアウルフは手当り次第に腕を振るうが、キョウノは鞭をベアウルフの右足に巻きつかせ引っ張った。
急に引っ張られたベアウルフはバランスを失い、大きな体をよろめかせ、前に崩れそうになったところで、焦点を合わせて待っていたダークによって、そのまま眉間を撃ち抜かれ、大きな音を立てながら倒れた。
その様子を唖然と見つめるナギサだが、ダークとキョウノは倒したのを確認すると、ふうっと肩の力を抜いた。
「ナギサ、大丈夫か?怪我はない?」
キョウノが駆け寄り、心配そうにナギサに問う。しかし、ナギサはぐっと顔を顰めるだけで、返事をしない。
その様子に、キョウノはナギサが何を考えているのかを理解し、困ったように笑った。
「ほら、そんな顔しないで。ナギサはまだ、実戦経験がないんだから、仕方ないよ。俺だって、初めの頃はそんなもんだったって。それより、この死臭を嗅いで他の魔獣たちが集まって来るだろうから、ここを離れよう。歩きながら話そう」
キョウノはそう言うと、今にも泣きそうなナギサの手を引いて、「ダークも行くぞ」と声をかけながら、やや早歩きでその場を後にした。
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