10 / 23
10
「12」時のチャイム
しおりを挟む
「腹減ったー!飯、飯!」
12時のチャイムが鳴ると同時に、
ケイタはそう言いながら、勢いよく席を立った。
その拍子にケイタの椅子が大きく動き、後ろの女子の席に激突する。
待ちに待った昼休み。
椅子をぶつけられた女子の怪訝そうな顔に気が付く様子もなく、
ケイタは廊下に向かって歩き始める。
そのまま食堂に一直線、と思いきや、
ふと立ち止まり、回れ右をして引き返し始めた。
自分の席を通り過ぎて、教室の窓際、一番後ろの席まで歩み寄る。
「飯、行こうぜ。」
自分のカバンをゴソゴソといじっていたシンジが驚いて顔を上げる。
初対面の人に突然話しかけられたような驚いた目をしている。
その目は、昨日のそれと同じように見えて、でも少し違っていた。
昨日よりは揺れが少なく、ケイタの目をじっと直視している。
「飯。一緒に食堂で食おうぜ。」
今日から放課後に勉強を教えてくれるシンジをいつもの仲間に混ぜて、
一緒に昼食を取りたかった。
何故そうしたいと思うのかは、ケイタ本人にも分からないのだけれど。
しかし、シンジは首を振って、小さな声で言った。
「これ、あるから。」
そう言って、シンジがカバンから取り出したのは、コンビニのビニール袋。
その中にコンビニでよく見かけるパンが二つ入っている。
「飯、それだけ?」
いつも食堂で山盛りの白飯と揚げ物の定食を食べるケイタには信じがたいほどの少量だ。
シンジは、うん、と頷く。
「それ、バイト先の?」
シンジは同じように、うん、と頷く。
「ケイタ!早く来いよ!」
廊下の方から呼ばれてケイタが顔を向けると、
いつも一緒に昼食を食べている仲間の一人、今田ヨシオが呼んでいた。
普段、誰とも会話をしないシンジにケイタが話しかけていることに気づき、
ひどく驚いた顔をしている。
「おぅ!今行く!」
ケイタはヨシオにそう言うと、シンジの方に向き直り、
「じゃあ、放課後。よろしくな。」
と言って、廊下の方に歩いていった。
その後ろ姿をシンジが無表情なままで見つめている。
「7と何話してたんだ?」
ヨシオが興味津々な眼差しでケイタに聞いてくる。
「うるせー!あー、腹減った。」
ケイタはヨシオの質問を無視して、食堂へと歩いて行く。
それから数歩進んだところでケイタが歩きながら振り返って見てみると、
シンジは顔を伏せて、モソモソとパンをかじっていた。
「なぁなぁ、何話してたんだよ!」
しつこく聞いてくるヨシオを肘で払いのけながら、
その姿が見えなくなるまで、ケイタはシンジの様子を振り返って見続けていた。
12時のチャイムが鳴ると同時に、
ケイタはそう言いながら、勢いよく席を立った。
その拍子にケイタの椅子が大きく動き、後ろの女子の席に激突する。
待ちに待った昼休み。
椅子をぶつけられた女子の怪訝そうな顔に気が付く様子もなく、
ケイタは廊下に向かって歩き始める。
そのまま食堂に一直線、と思いきや、
ふと立ち止まり、回れ右をして引き返し始めた。
自分の席を通り過ぎて、教室の窓際、一番後ろの席まで歩み寄る。
「飯、行こうぜ。」
自分のカバンをゴソゴソといじっていたシンジが驚いて顔を上げる。
初対面の人に突然話しかけられたような驚いた目をしている。
その目は、昨日のそれと同じように見えて、でも少し違っていた。
昨日よりは揺れが少なく、ケイタの目をじっと直視している。
「飯。一緒に食堂で食おうぜ。」
今日から放課後に勉強を教えてくれるシンジをいつもの仲間に混ぜて、
一緒に昼食を取りたかった。
何故そうしたいと思うのかは、ケイタ本人にも分からないのだけれど。
しかし、シンジは首を振って、小さな声で言った。
「これ、あるから。」
そう言って、シンジがカバンから取り出したのは、コンビニのビニール袋。
その中にコンビニでよく見かけるパンが二つ入っている。
「飯、それだけ?」
いつも食堂で山盛りの白飯と揚げ物の定食を食べるケイタには信じがたいほどの少量だ。
シンジは、うん、と頷く。
「それ、バイト先の?」
シンジは同じように、うん、と頷く。
「ケイタ!早く来いよ!」
廊下の方から呼ばれてケイタが顔を向けると、
いつも一緒に昼食を食べている仲間の一人、今田ヨシオが呼んでいた。
普段、誰とも会話をしないシンジにケイタが話しかけていることに気づき、
ひどく驚いた顔をしている。
「おぅ!今行く!」
ケイタはヨシオにそう言うと、シンジの方に向き直り、
「じゃあ、放課後。よろしくな。」
と言って、廊下の方に歩いていった。
その後ろ姿をシンジが無表情なままで見つめている。
「7と何話してたんだ?」
ヨシオが興味津々な眼差しでケイタに聞いてくる。
「うるせー!あー、腹減った。」
ケイタはヨシオの質問を無視して、食堂へと歩いて行く。
それから数歩進んだところでケイタが歩きながら振り返って見てみると、
シンジは顔を伏せて、モソモソとパンをかじっていた。
「なぁなぁ、何話してたんだよ!」
しつこく聞いてくるヨシオを肘で払いのけながら、
その姿が見えなくなるまで、ケイタはシンジの様子を振り返って見続けていた。
0
あなたにおすすめの小説
告白ごっこ
みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。
ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。
更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。
テンプレの罰ゲーム告白ものです。
表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました!
ムーンライトノベルズでも同時公開。
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
先輩たちの心の声に翻弄されています!
七瀬
BL
人と関わるのが少し苦手な高校1年生・綾瀬遙真(あやせとうま)。
ある日、食堂へ向かう人混みの中で先輩にぶつかった瞬間──彼は「触れた相手の心の声」が聞こえるようになった。
最初に声を拾ってしまったのは、対照的な二人の先輩。
乱暴そうな俺様ヤンキー・不破春樹(ふわはるき)と、爽やかで優しい王子様・橘司(たちばなつかさ)。
見せる顔と心の声の落差に戸惑う遙真。けれど、彼らはなぜか遙真に強い関心を示しはじめる。
****
三作目の投稿になります。三角関係の学園BLですが、なるべくみんなを幸せにして終わりますのでご安心ください。
ご感想・ご指摘など気軽にコメントいただけると嬉しいです‼️
従順な俺を壊して 【颯斗編】
川崎葵
BL
腕っ節の強い不良達が集まる鷹山高校でトップを張る、最強の男と謳われる火神颯斗。
無敗を貫き通す中、刺激のない毎日に嫌気がさしていた。
退屈な日常を捨て去りたい葛藤を抱えていた時、不思議と気になってしまう相手と出会う。
喧嘩が強い訳でもなく、真面目なその相手との接点はまるでない。
それでも存在が気になり、素性を知りたくなる。
初めて抱く感情に戸惑いつつ、喧嘩以外の初めての刺激に次第に心動かされ……
最強の不良×警視総監の息子
初めての恋心に戸惑い、止まらなくなる不良の恋愛譚。
本編【従順な俺を壊して】の颯斗(攻)視点になります。
本編の裏側になるので、本編を知らなくても話は分かるように書いているつもりですが、話が交差する部分は省略したりしてます。
本編を知っていた方が楽しめるとは思いますので、長編に抵抗がない方は是非本編も……
【完結】ハーレムラブコメの主人公が最後に選んだのは友人キャラのオレだった。
或波夏
BL
ハーレムラブコメが大好きな男子高校生、有真 瑛。
自分は、主人公の背中を押す友人キャラになって、特等席で恋模様を見たい!
そんな瑛には、様々なラブコメテンプレ展開に巻き込まれている酒神 昴という友人がいる。
瑛は昴に《友人》として、自分を取り巻く恋愛事情について相談を持ちかけられる。
圧倒的主人公感を持つ昴からの提案に、『友人キャラになれるチャンス』を見出した瑛は、二つ返事で承諾するが、昴には別の思惑があって……
̶ラ̶ブ̶コ̶メ̶の̶主̶人̶公̶×̶友̶人̶キ̶ャ̶ラ̶
【一途な不器用オタク×ラブコメ大好き陽キャ】が織り成す勘違いすれ違いラブ
番外編、牛歩更新です🙇♀️
※物語の特性上、女性キャラクターが数人出てきますが、主CPに挟まることはありません。
少しですが百合要素があります。
☆第1回 青春BLカップ30位、応援ありがとうございました!
第13回BL大賞にエントリーさせていただいています!もし良ければ投票していただけると大変嬉しいです!
嘘をついたのは……
hamapito
BL
――これから俺は、人生最大の嘘をつく。
幼馴染の浩輔に彼女ができたと知り、ショックを受ける悠太。
それでも想いを隠したまま、幼馴染として接する。
そんな悠太に浩輔はある「お願い」を言ってきて……。
誰がどんな嘘をついているのか。
嘘の先にあるものとはーー?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる