戦国の鍛冶師

和蔵(わくら)

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第46話 係員と意趣返し

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それぞれの思惑が交差する部屋の中で、俺とオレークさんは各自から
何で参加したいか理由を訊いて行ったのだった。

アンジェとダーンは、安定した収入が欲しい前から話していたから、それで
今回の話に、アンジェが乗っかって来た事は、あきらかだったので、その事を
オレークさんに伝えたのだった。

「ケット・シー族の事を訊いていたが、そこまで酷い状況だとは知らなかった
 儂等で何か手伝える事があれば、手伝うことにするぞ」

ケット・シー族の現状を知ったオレークさんは、アンジェ達に同情的で無碍に
する事は、もうないであろう!そして残りの者達が問題である!

「儂はな、好成と狩りに行きたかっただけなんじゃ!」

匠の店主は、俺と一緒に狩りに行きたいと言っているが、実の所は何か思惑が
あると踏んでいる。本当の所を話して貰わねば、信用は出来ないし、話を進め
る事も出来ない。その事を店主に訊かせると、店主は渋々と言った感じで話だ
したのだった。

「儂の店は知っての通り、道具雑貨店じゃ!そこに優先してシーランド銃を卸し
 て貰いたくて、今回の事に口を出した次第じゃよ」

「このくそ爺、それは家《うち》が優先してシーランド銃を卸す事になってんじゃよ!」

《誰もそんな話をしてねぇ~からぁ!》

いや.....インガ婆様や.....寝言は寝て言ってください!
そんな話をした記憶すらないしな。

なるほどな、この2人はシーランド銃の御用商人になりたいと言う事か、
商売人は抜け目が無いし、油断も出来ないな、組合の御用商人になって
ぼろ儲けする腹なのだろ?

残りは青年2人組みだが、この2人の狙いは何なのかだ!

「私は両親の亡骸を回収したいのです。廃墟に亡骸が野晒し何ってできない」
「アントンの両親は、私に取っては叔父、叔母にあたる関係なんです。そして
 叔父や叔母を殺害した魔獣を野放しにしたとあっては、村の名折れでもあり
 断じて、これを放置する事は出来ないのです!どうか私達に敵討ちをさせて
 下さい。お願いします」

そうか、まだ亡骸も弔ってなかったのか、それならば協力せねばなるまいな!
来家の者は受けた恩に、報いるのが慣わしだ。この2人には、旅先で色々な事
で世話になっていた。その恩を返す!その事を2人に伝えると、2人は安心し
たのか、膝から崩れ落ちると、2人で抱き合って泣いていた。

これで、それぞれの思惑が解った事になる。オレークさんは、俺を連れ立って
ユニオンに向かおうとしていた。組合を早急に立ち上げ、そしてケット・シー
集落を一時だけだが、奪還するだけの準備を始めなければならなかったからだ。

「次の方、3番窓口までお越しください。」

俺とオレークさんは、ユニオンの窓口で、シーランド銃組合を立ち上げたいと
告げると、専門窓口に通されたのだった。

「初めまして、わたくしは組合を管理させて貰ってる者です。今回は組合を作り
 たいと話を伺っておりますが、どの様な組合なのでしょうか?」

話すより実物を見せた方が早いと、オレークさんはシーランド銃を係員に見せた
のだった。係りの者は、シーランド銃を只の筒と思ったのか、興味がなさそうに
対応しているのだ。

「失礼ですけど、只の筒で組合を作るつもりですか?組合登録費用は10.000ベルク
 も掛かるのですよ?良いのですか」

シーランド銃を室内で撃つ訳にも行かなかったので、ユニオンの中庭まで係りの者
を連れ出す事にしたのだ。

「中庭で、その筒の実演をするとの事ですが、草でも切るのですか?」

完全に馬鹿にした係りの者に、俺達はシーランド銃の威力を見せつけたのだった。
来式とオレーク式の2種類の銃の威力を示す為に、俺達はそれぞれの得意分野を
見せ付けたのだった。

オレーク式・近接戦闘も出来て、中距離の射程までの射撃が出来る銃である!
銃剣の装着により、長距離射撃は出来ないが、近距離での戦闘には定評がある。
来式より多少は、重くなっているが、成人男性ならば普通に扱える銃である!

中距離の位置に、鉄鎧を台に置き、それを係りの者の真横で、構えて撃ったのだ
った。横で撃ったのは、馬鹿にした仕返しの意味合いが強かっただけだ。

来式・望遠鏡を装着した事で、長距離射撃を可能にした銃である。銃剣は射撃
命中率を下げる為に、装着しておらず、その為に近接戦闘になると、銃から剣
に持ち替える必要があるが、銃の腕次第で、1発の弾で片付く事もある。
成人女性ならば、簡単に撃てる反動と重量になっている!(宣伝文句)

俺もオレークさんに習って、係りの者の真横で!盛大に長距離射撃をして見せた
のだった。此れには係りの者は腰を抜かして、上司を呼びに凄い勢いで消えて行
ったのだった。

「部下が大変失礼な物言いをしてしまい、申し訳ありませんでした。改めてお話
 を伺っても宜しいですかな?」

係りの者が連れてきた上司は、白髪交じりの初老の紳士的な男性を連れてきていた。
この者の名は、組合指導課・指導主任のエルランドと言う人物だそうだ。
物言いも落ち着いていて、話しやすいし身なりも立派な物を着ている。それなり
に地位の高い人物の様だ。

「儂等の作ったシーランド銃の組合をユニオンで作りたいんじゃがな!」

オレークさんは、エルランドさんに、合うなり早口で、用件だけを伝えたのだった。
そうして、中庭にでの実演射撃を始めた。

「これが先程の凄い音の正体ですか!なるほど、此れは大砲の時と同じにしないと
 行けませんね!ユニオン特殊組合に加入して頂きましょうか!」

「なっ......なんじゃと!」

オレークさんは、驚いた表情のまま固まってしまっている。そして俺には
ユニオン特殊組合と言う物の意味が、さっぱり解らないでいたのだ!

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