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1.黒田 誠 オープン記念キャンペーン
1.黒田 誠 オープン記念キャンペーン②
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「ここ、通勤経路なの。自宅はもう少し遠いんだけど……。ここに入ったのは今日で2回目。実は工事中の時から気にしてたお店なの」
会社では落ち着いたトーンで事務的な事しか話した事がなかったから余りのギャップに困ってしまう。
関口さんってこんな明るい話し方をする人だっけ? え? 別人???
「ねぇ良かったら一緒に飲まない? 一人で飲むのも味気ないなぁって思ってたの。席どこ?」
セリフいっぱいに笑顔があふれているような誘い言葉に俺は思わず頷くと素直に切符を見せる。
「『マウンテン号 2号車 7D 窓側』って書いてある」
「うわっ! 変な席取ったね。隣空いてるかな?」
ぶちぶち言いながら彼女は券売機へと向かった。
何が変な席なんだろ?
俺が首を傾げていると……
「取れたよ。隣の『マウンテン号 2号車 7C通路側』」
と、切符をヒラヒラさせて戻ってきた。
「行きましょ。そろそろ改札始まるから……」
彼女に促さられるまま俺は【待合室】とドアに書かれている部屋へ入る。
部屋はそこそこの広さが有り椅子が等間隔に並んでいた。
しかし空席は無く、どちらかと言えば混雑している。
立っているしかなかったから俺は彼女と並んで壁際に立った。
なんとなく部屋に居る人々を見回す。座っている人達はスマホの画面を眺めている人もいれば本を読んでいたり小声で雑談していたりと様々である。
しばらくすると放送が流れてきた。
『お待たせ致しました。列車はまもなくオリオン駅に到着致します。どなた様もお乗り遅れの無いよう、ご乗車下さい』
部屋の中の人々が椅子から立ち上がり、ぞろぞろと入ってきた時とは別のドアから出てゆく。
俺達も人々の流れに沿って部屋から出た。
無言で歩いていくと目の前に見えて来たのはどっからどう見ても駅の自動改札機…と駅のプラットホーム……???
辺りは見慣れたラッシュ時の駅の改札風景だ。
え? ここってどっかの駅? この後どうすりゃいいんだ?
関口さんは乗車券を取り出すと当たり前のように自動改札機の液晶部分にかざし奥へと進んでゆく。
俺も乗車券を取り出して自動改札機の液晶部分にかざし後に続いた。
そんなふうに店内に入ったものの…頭の中は『?』でいっぱいだ。
プラットホームの両脇には特急列車の客車が停車していてその先頭部分には本物の特急列車と同じ大きさの先頭部分写真が超特大パネルで設置されていた。
つまり【なんちゃって運転席先頭車両】。
レトロっぽく向かって左側の車両には『マウンテン号』右側の車両には『マリンパーク号』と書いてある。
ヤバイ……
仕事で疲れた脳みそがついにバグったか?
そんな困惑を俺が抱えているのに彼女は気がついているのかいないのか……。
「ほらっ! 惚けてないで。飲み物取りに行こ!」
と、腕を引かれた。
『いらっしゃいませ。こちらのトレイをお受け取り下さい』
という音声が流れている一角に誘導されプラスチック製のトレイを渡される。
飲み物が入るであろう穴が空いたトレイで調味料やカトラリーまでセットされていた。
そして自動的に飲み物がサーブされる機械の前に誘導される。
「とりあえずビールでいい?」
彼女の問いかけに俺は声も出せず無言で頷く。
彼女はさっさとビールをビールサーバーからグラスに注ぐと俺のトレイにセットし自分の分のビールも確保した。
「次はお通しを選ぶんだよ」 楽しそうに俺に告げ、小鉢が並べてある台へと歩きだす。
俺は親鳥の後をついて回る雛の気分で彼女の後に続く。
そしてお通しの小鉢を受け取ったがトレイと小鉢で両手が塞がった。
ちょっと運び辛くない?
そう悩んでいたら
「ふふふ…このトレイ、実は小鉢をジョイントできるの」
と、彼女が側にある大きな説明看板を指差した。
俺は(彼女に教わりながらだが)看板の絵を見てトレイに小鉢をジョイントさせる。
「えっと…『マウンテン号』はこっちで…2号車は…」
トレイを片手で支えながら切符を確認しつつ彼女はプラットフォームを移動する。
「あ、有った! こっちよ」
俺は彼女の後に続いて列車に乗り込んだ。
うん…どっからどう見ても特急列車の車内だ。
狭い通路を縫うように移動しなんとか席までたどり着く。
「あ、ここだね。奥だから先に座って」
彼女に促されるまま俺は奥の席へ向かう。
……なるほど、確かに変な席だ。
確保した席は窓と窓の間の席だった。
つまり窓際なのに窓ではなく壁になっていて上着とかバッグとかがかけられるようになっている。
故に外がほとんど見えない。
まぁ、別に景色を愛でるつもりは無いから気にしなくても良いと言えば良いのだか、気分は幾分削がれる。
とりあえずトレイを仮のつもりで座席に置き、せっかく有るから荷物掛けにカバンをかけようとした…ら……
「カバンは財布だけだして網棚に置いた方が良いんじゃない?」
と、彼女に提案された。
ハイハイ…先達の意見には従いましょう。
俺は言われた通り財布を出してカバンを網棚に乗せた。
ついでに彼女のバッグも網棚に乗せる。
「ありがとう」
素直な感謝の言葉に何だかくすぐったい気分になった。
俺は前の座席の網になっているポケットに財布を入れ座席に置いておいたトレイを退かせて座る。
財布を入れたポケットにはメニューらしき物が入っていた。
「恐れ入ります。乗車券を拝見致します」
わぁお!
車掌さん(姿の店員さん)まで回ってきた。
俺は上着のポケットにしまった乗車券を取り出して車掌さんへ渡す。
「ありがとうございました」
座席の番号を確認してもらい乗車券を返される。
細かい演出だなあ……。
会社では落ち着いたトーンで事務的な事しか話した事がなかったから余りのギャップに困ってしまう。
関口さんってこんな明るい話し方をする人だっけ? え? 別人???
「ねぇ良かったら一緒に飲まない? 一人で飲むのも味気ないなぁって思ってたの。席どこ?」
セリフいっぱいに笑顔があふれているような誘い言葉に俺は思わず頷くと素直に切符を見せる。
「『マウンテン号 2号車 7D 窓側』って書いてある」
「うわっ! 変な席取ったね。隣空いてるかな?」
ぶちぶち言いながら彼女は券売機へと向かった。
何が変な席なんだろ?
俺が首を傾げていると……
「取れたよ。隣の『マウンテン号 2号車 7C通路側』」
と、切符をヒラヒラさせて戻ってきた。
「行きましょ。そろそろ改札始まるから……」
彼女に促さられるまま俺は【待合室】とドアに書かれている部屋へ入る。
部屋はそこそこの広さが有り椅子が等間隔に並んでいた。
しかし空席は無く、どちらかと言えば混雑している。
立っているしかなかったから俺は彼女と並んで壁際に立った。
なんとなく部屋に居る人々を見回す。座っている人達はスマホの画面を眺めている人もいれば本を読んでいたり小声で雑談していたりと様々である。
しばらくすると放送が流れてきた。
『お待たせ致しました。列車はまもなくオリオン駅に到着致します。どなた様もお乗り遅れの無いよう、ご乗車下さい』
部屋の中の人々が椅子から立ち上がり、ぞろぞろと入ってきた時とは別のドアから出てゆく。
俺達も人々の流れに沿って部屋から出た。
無言で歩いていくと目の前に見えて来たのはどっからどう見ても駅の自動改札機…と駅のプラットホーム……???
辺りは見慣れたラッシュ時の駅の改札風景だ。
え? ここってどっかの駅? この後どうすりゃいいんだ?
関口さんは乗車券を取り出すと当たり前のように自動改札機の液晶部分にかざし奥へと進んでゆく。
俺も乗車券を取り出して自動改札機の液晶部分にかざし後に続いた。
そんなふうに店内に入ったものの…頭の中は『?』でいっぱいだ。
プラットホームの両脇には特急列車の客車が停車していてその先頭部分には本物の特急列車と同じ大きさの先頭部分写真が超特大パネルで設置されていた。
つまり【なんちゃって運転席先頭車両】。
レトロっぽく向かって左側の車両には『マウンテン号』右側の車両には『マリンパーク号』と書いてある。
ヤバイ……
仕事で疲れた脳みそがついにバグったか?
そんな困惑を俺が抱えているのに彼女は気がついているのかいないのか……。
「ほらっ! 惚けてないで。飲み物取りに行こ!」
と、腕を引かれた。
『いらっしゃいませ。こちらのトレイをお受け取り下さい』
という音声が流れている一角に誘導されプラスチック製のトレイを渡される。
飲み物が入るであろう穴が空いたトレイで調味料やカトラリーまでセットされていた。
そして自動的に飲み物がサーブされる機械の前に誘導される。
「とりあえずビールでいい?」
彼女の問いかけに俺は声も出せず無言で頷く。
彼女はさっさとビールをビールサーバーからグラスに注ぐと俺のトレイにセットし自分の分のビールも確保した。
「次はお通しを選ぶんだよ」 楽しそうに俺に告げ、小鉢が並べてある台へと歩きだす。
俺は親鳥の後をついて回る雛の気分で彼女の後に続く。
そしてお通しの小鉢を受け取ったがトレイと小鉢で両手が塞がった。
ちょっと運び辛くない?
そう悩んでいたら
「ふふふ…このトレイ、実は小鉢をジョイントできるの」
と、彼女が側にある大きな説明看板を指差した。
俺は(彼女に教わりながらだが)看板の絵を見てトレイに小鉢をジョイントさせる。
「えっと…『マウンテン号』はこっちで…2号車は…」
トレイを片手で支えながら切符を確認しつつ彼女はプラットフォームを移動する。
「あ、有った! こっちよ」
俺は彼女の後に続いて列車に乗り込んだ。
うん…どっからどう見ても特急列車の車内だ。
狭い通路を縫うように移動しなんとか席までたどり着く。
「あ、ここだね。奥だから先に座って」
彼女に促されるまま俺は奥の席へ向かう。
……なるほど、確かに変な席だ。
確保した席は窓と窓の間の席だった。
つまり窓際なのに窓ではなく壁になっていて上着とかバッグとかがかけられるようになっている。
故に外がほとんど見えない。
まぁ、別に景色を愛でるつもりは無いから気にしなくても良いと言えば良いのだか、気分は幾分削がれる。
とりあえずトレイを仮のつもりで座席に置き、せっかく有るから荷物掛けにカバンをかけようとした…ら……
「カバンは財布だけだして網棚に置いた方が良いんじゃない?」
と、彼女に提案された。
ハイハイ…先達の意見には従いましょう。
俺は言われた通り財布を出してカバンを網棚に乗せた。
ついでに彼女のバッグも網棚に乗せる。
「ありがとう」
素直な感謝の言葉に何だかくすぐったい気分になった。
俺は前の座席の網になっているポケットに財布を入れ座席に置いておいたトレイを退かせて座る。
財布を入れたポケットにはメニューらしき物が入っていた。
「恐れ入ります。乗車券を拝見致します」
わぁお!
車掌さん(姿の店員さん)まで回ってきた。
俺は上着のポケットにしまった乗車券を取り出して車掌さんへ渡す。
「ありがとうございました」
座席の番号を確認してもらい乗車券を返される。
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