列車居酒屋異聞 〜旅が好き〜

夢彩姐

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2.野崎 颯 居酒屋ランチタイム

2.野崎 颯 居酒屋ランチタイム⑤

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 大きな木の幹みたいな太い柱っぽい場所に近づいてみた。
 近くに行くと中まで見えるようになってたけど見る角度によっては木の幹にしか見えない。
「お母さん、ここ何?」
「ん~…何かなぁ?」
 お母さんはその柱の周りに沿って歩いて行く。
 ボク達も一緒に歩いていたら入口っぽい所を見つけた。 
 高い所に何か書いてある。なんだろ?
「あ、『喫煙所』って書いてあるわ」
 お母さんが読んでくれた。
「『キツエンジョ』って何?」
優香が聞く。
「タバコを吸う場所よ」

 ふ~ん……。
 中を覗いてみたけど誰もいなかった。

「電車の中とか駅の中とかタバコ吸っちゃダメだからね。吸いたい人はここで吸うのよ」
「でも誰もいないよ」
「外で寒いからかな?」
 なんて話していたら男の人がスーっとやって来て中に入っていった。
「吸う人いるんだねぇ…」
 美味しいのかな?
 ボクにはわかんない。

 「さぁ今度こそ外へ出ましょ。ランドセル買うんでしょ」
 お母さんが急かす。
 ちょっと名残り惜しい気がしたけどボク達は出口へ向かった。

「あっ!」
「どうしたの?」
「お土産屋さんだ!」

 出口の側にはお土産屋さんまで有った。
 電車のキーホルダーとかミニタオルとかいろいろ売ってる。
「お母さん、お土産欲しい!」
「はぁ? お土産って…。ここ、観光地じゃないのに…」
「でも海も山もあるじゃん! お土産欲しい!」
 お願い! お母さん!
 おねだりポーズでうるうるお目々で訴える。
 優香と二人で訴える!

 お母さんは深々とため息をついて
「しょうがないわねぇ…。高いのはダメよ」
と、言った。

 やったぜ!

 その売店には漬物だの箱に入ったお菓子だのも売っていた。
 でもボクには関係ないもんねー。
 やっぱりランドセルに付けられるキーホルダーっぽいのが欲しいな…。
 じっくり選ばなきゃ!

 キーホルダーもいろんなのが売ってる。
 主に電車関係のキーホルダーで特急電車やら駅の看板やらが有った。
 よくわかんない電車の部品(?)ぽいものやら和菓子っぽいものやらが組み合わさっていたりしてるものもある。

 う~ん……
 どれにしよう……

「お母さん、私コレにする!」
 優香はもう決めたみたいだ。
 チラッと見てみたら電車と何かのキャラクターの絵が描いてあるミニタオルだった。

 ふ~ん……
 ボクは違うのにしよ。

 ボクは悩みに悩んで電車と駅名が組み合わさっているキーホルダーにした。

 駅名は【アンドロメダ】って書いてある。
 カタカナだけだったからボクにも読めた。
 なんとなくカッコイイ駅名だなって思ったんだ!

「お母さん! これにする!」

 値段を見たお母さんが変な顔をした。
「はぁ…高いわねぇ……」
 ダ…ダメかな……
 ドキドキ……ドキドキ……

 ため息吐きつつだったけどお母さんは買ってくれた。

 やった!
 このキーホルダーが着けられるランドセル選ばなきゃ!

 すぐ側で優香も買ったばかりのミニタオルをニコニコしながら見ていた。

「さぁ! 今度こそランドセル買いに行くわよ!」
 お母さんがズンズンと改札口へ歩いていく。


 店の外に出ると冷たい風が吹いてきた。
 もうすぐクリスマスだ!
 サンタさんから何もらえるかな?

 でも! 今日はランドセルだ!

 ボクはウキウキしながら優香と手を繋いで歩く。
 コートのポケットの中にはさっき買ったキーホルダーが入ってる。

「さっきのお店、面白かったね」
 優香がニコニコしながら言った。
「うん! 面白かった! お母さんまた食べに行こう! 今度はお父さんも一緒に!」
 そうボクが言うと先に歩いていたお母さんは振り向きながら

「そうね…でも、いろいろ高かったのよ。あのお店……」
 アレ…? お母さんの顔がいつもより困った顔になっている?
 そんなに高いお店なのかな?

 ボクはちょっと悲しくなった。
 そんなボクの顔を見たお母さんは

「でも気分だけは旅行に行ったみたいだったから楽しかったね。また行けたら行きましょう」
と、言い直してくれた。
「うん!」
 ボクは嬉しくて優香と繋いだ手をブンブン揺らす。
 デパートはもうすぐだ!




追記

 ボクは真っ黒なカッコいいランドセルを買ってもらってさっそくキーホルダーを着けた。

 あぁ…早く4月にならないかなあ……。

 春になったら一年生!
 4月になったら一年生!

 楽しみ!

 楽しみ!



2.野崎 颯 居酒屋ランチタイム 了
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