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星に願いを
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大人になったら見えなくなった。
何歳までだったか、小さい頃の僕には確かに見えた暖かくて大きな存在。
それは、どんな時も傍にいて、僕を支えてくれて、導いてくれた。
大人になったら見えなくなるなんて想像もしてなかったし、考えもしなかった。
見えなくなった事すらも気付かないで大人になっていた。寂しい時や辛い時にふいに表れては僕を慰め、励まし、導いて。そして居なくなって。
怖い時、寂しい時はそれに縋る思いで生きていた。
なんで今それを思い出す事が出来たんだろう。
社会人になり5年目。
高校を卒業してからやりたい事もなく、やりたい仕事でもない会社に就職して。
なんの刺激も変わりもない毎日。
先月いきなり同期のやつからこんな事を言われた。
「俺会社辞めるわ」
何かを悟ったかの様にスッキリした顔で俺に語りかけるように言ってきた。
「辞めてどうすんだよ」
「んー。わかんないねぇー。」
「は?分からないって、、生活出来るのか?」
「それだよ」
「ん?それ?」
「そう、、それ…」
ため息混じりでそう言った後に、ゆっくりと語り始めた。
「俺さ、小さい頃から野球選手になりたかったんだ。
毎日野球してさ、泥だらけになって帰って親に怒られて。でもさぁ、怒られても、嫌な事があっても明日が待ち遠しくて、楽しくてさ。野球選手になる!ってただその気持ちを追い求めて…毎日楽しかったんだ。」
そう言って少しの間が出来た。
少し空気が重くなった感じがして、無意識に何か言わなければと思い口にした言葉に自分でも驚いた。
「夢!諦めんなよ!今からまた新しい夢見つけてさ、毎日楽しく生きていけばいいじゃん!」
その言葉は同期に向けて放たれた瞬間に、自分にも跳ね返ってきた。
世界が一瞬で明るくなったかの様に、何かの催眠から覚めたかの様に、自分が生まれ変わった瞬間だった。
「そう…それだよ」
同期の言葉。
生活が出来ない。生活の為に…その一心で働き回り、やりたい事も夢も目標もないまま、
不特定多数の人間に混ざり生きていた日々は…輝きなど無かった。
子供の頃は明日が楽しみで、将来の夢を明るく語り合い、
何も考えずに自分のやりたい事に突き進んだ。
昔、僕の前に現れていた そいつ の正体にやっと気づけた。
夢。目標。楽しみ。
いつも目の前にあり、それにしがみついて辛い事を乗り切り、願った。
そして、また再び。
僕の中に大きな輝きが生まれた。
何歳までだったか、小さい頃の僕には確かに見えた暖かくて大きな存在。
それは、どんな時も傍にいて、僕を支えてくれて、導いてくれた。
大人になったら見えなくなるなんて想像もしてなかったし、考えもしなかった。
見えなくなった事すらも気付かないで大人になっていた。寂しい時や辛い時にふいに表れては僕を慰め、励まし、導いて。そして居なくなって。
怖い時、寂しい時はそれに縋る思いで生きていた。
なんで今それを思い出す事が出来たんだろう。
社会人になり5年目。
高校を卒業してからやりたい事もなく、やりたい仕事でもない会社に就職して。
なんの刺激も変わりもない毎日。
先月いきなり同期のやつからこんな事を言われた。
「俺会社辞めるわ」
何かを悟ったかの様にスッキリした顔で俺に語りかけるように言ってきた。
「辞めてどうすんだよ」
「んー。わかんないねぇー。」
「は?分からないって、、生活出来るのか?」
「それだよ」
「ん?それ?」
「そう、、それ…」
ため息混じりでそう言った後に、ゆっくりと語り始めた。
「俺さ、小さい頃から野球選手になりたかったんだ。
毎日野球してさ、泥だらけになって帰って親に怒られて。でもさぁ、怒られても、嫌な事があっても明日が待ち遠しくて、楽しくてさ。野球選手になる!ってただその気持ちを追い求めて…毎日楽しかったんだ。」
そう言って少しの間が出来た。
少し空気が重くなった感じがして、無意識に何か言わなければと思い口にした言葉に自分でも驚いた。
「夢!諦めんなよ!今からまた新しい夢見つけてさ、毎日楽しく生きていけばいいじゃん!」
その言葉は同期に向けて放たれた瞬間に、自分にも跳ね返ってきた。
世界が一瞬で明るくなったかの様に、何かの催眠から覚めたかの様に、自分が生まれ変わった瞬間だった。
「そう…それだよ」
同期の言葉。
生活が出来ない。生活の為に…その一心で働き回り、やりたい事も夢も目標もないまま、
不特定多数の人間に混ざり生きていた日々は…輝きなど無かった。
子供の頃は明日が楽しみで、将来の夢を明るく語り合い、
何も考えずに自分のやりたい事に突き進んだ。
昔、僕の前に現れていた そいつ の正体にやっと気づけた。
夢。目標。楽しみ。
いつも目の前にあり、それにしがみついて辛い事を乗り切り、願った。
そして、また再び。
僕の中に大きな輝きが生まれた。
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