8 / 98
第8話 飛ぶ机
しおりを挟む「痛て……サクラさん、ちょっと激しくないですか?」
「何がだ!?」
「俺へのツッコミが」
もう、ほんとコイツを窓から投げ飛ばしたい。
旧校舎に向かいながら、サクラはそう思った。犬みたいに後をついてくる篠宮はけろっとして話しかけてくる。
「それにしても思ってた教室と違いましたねー」
「そうだな。一般的な学校の教室ではないだろうな」
六ツ子の少女達は、広い教室に大きな白い机を持ち込んでいて、それぞれにデスクトップ型の端末が置いてあった。
篠宮は大学の研究室を思い出す。修士課程や博士課程に在籍していた先輩達が、個人の研究机を持っていたのだ。
「今から向かう旧校舎は昔ながらの教室だぞ」
「映像とかで見るやつですよねぇ。机も木造だったりして」
ははは、と笑った篠宮はサクラの冷ややかな目線に気づき、笑いを途切れさせた。
「え? ほんとに?」
「まあ、何というか……元々たくさん置いてあったからな。壊れても補充が効く。全て壊したら新しいやつが来るだろう」
何百人も通えそうな校舎二つ分の机を全て壊すって、どういう事だ?
なんだか嫌な予感——。
と、思いながら渡り廊下を通って旧校舎へ行く。そこへ轟音と共に噂の学校用机が飛んで来た。
篠宮の顔ををかすめながら、机は飛んで行き、背後の新校舎の壁に激突した。
血の気の引いた顔で篠宮が振り向くと、机は粉々になり、鉄製のパイプ部分がひしゃげて地面に転がっていた。
「ひ……」
サクラはと見ると、何事もなかったかの様に涼しい顔をしている。さらりと長い髪をかきあげて、机が飛んで来た方を眺めている。
篠宮がつられてそちらを見ると、木造校舎の壁に大きな穴が開いていて、どうやらそこから机が飛んで来たらしかった。
「い、一体何が?」
「ん、いや別に」
「『別に』じゃないでしょおおお⁈」
女性に平手打ちをくらおうとも、踏み付けにされようとも、出席簿で叩かれようとも気にもしない篠宮であるが、理由のない物理的な痛みは全く持って受け付けない。大抵の人がそうであるが。
「行くぞ」
「えっ? やだ」
「『嫌だ』じゃない。生徒が待っているぞ」
あう。
机を飛ばして来る様な生徒の先生になりに来たんじゃない。
そんな事を言えるわけもなく、黙って逃げようとした篠宮は、サクラに襟首を掴まれて引きずられながら、その壁に開いた穴に向かって行く。
「やだやだやだー!」
「子どもか!」
サクラは篠宮を引きずったまま、そこから中へ入った。
「邪魔するぞ」
つづく
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる