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第73話 敵か味方か
しおりを挟む階段を駆け下りながら、篠宮は今のが「あさぎはかせ」なのかとサクラに聞いてみる。
「そうだ」
「なんで逃げるんですか?」
「あれは——私達を作った奴だ。普通ではない実験でな」
確かに、大きな試験管での胎児の育成など、見たこともない。
「つまり、自分の好奇心を満たすためなら、どんな実験もお構いなしな人物だ」
「危険人物ですね」
「我々にとってはな。お前ら人間にとっては救世主と呼ばれるかもしれないが」
篠宮は肩車している幼女・サクラの頭をぶつけないよう、身をかがめて階段を下りた。
「追ってきませんね」
「我々が何者か向こうが認識していないだけだ。未来から来たなんてわかれば、食い付いて離れんぞ」
「白髪でしたけど……」
「理由は知らん。昔からだが、若かったはずだ」
白髪の青年か。
しかも若い博士。
「あれ? その博士って、アオバヤマ町に居ましたか?」
「いない。計画の頓挫によって、ドイツへ旅立った——」
サクラは口を閉ざした。
幼いサクラが興味深げに二人の会話を聞いていたからだ。
「はかせ、どいつへいくの?」
「……お前、べらべらと喋るなよ?」
「おばさん、こわ~い」
「おばッ!?」
再びおばさんと呼ばれたサクラはブチ切れる。ブチ切れるが、怒るに怒れない。代わりにサクラは篠宮の無防備な顔に拳を向けた。
「うわ!」
さすがに篠宮も避ける。彼が避けた為に、そこにあった掲示板が吹き飛んだ。
「サクラさん!?」
「すまん、あまりにムカついたのでな」
つづく
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