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第98話 知らないからね!
しおりを挟む『リリ! ありがとうー!』
華麗に泳ぎながら、エメロードはリリに向かって手を振る。
「僕が連れてきたわけじゃない。君の泳ぐ綺麗な姿を見にきたんだ」
リリは備え付けの監視台に陣取って、エメロードの泳ぎを眺める事にしたらしい。相変わらずしっかりとUV対策をとって、日傘をさしている。
「綺麗だね~♪」
エメロードの鱗は陽の光に当たって、様々な色を生んでいる。エメラルド色、パライバブルー、トルマリン……時には白虹の様な光の輪を放ち、プールにいる誰よりも早く泳いで行く。
「兄貴でも勝てないな」
人型に戻ったウォルフは頭を重そうに振りながら、篠宮の隣に来た。ちなみにシュトルムはエメロードに五十メートル勝負を挑んで既に負けている。
「やっぱりな。エメたんは本気出したら早いんだろうな」
「うんうん」
二人の会話を耳にしたのか、監視台の上からリリが注意する。
「そこ! エメロードを見るな!」
「ええー? 見るくらいいいじゃん」
「ダメだ!」
「じゃあ、一緒に泳いで来ようっと」
篠宮はとぷんとプールに入る。
「あっ、ズルいぞ!」
「リリちゃんもおいでよー」
「うぬぬ……嫌だ! っていうか入れないんだぞ!」
それを聞いたウォルフがそばで腕組みして嘲笑った。
「わはは……! 性格悪いとそうなるんだ」
「体質だ!」
「性格だって。……今度さっきみたいな事してみろ、絶対許さねえからな」
ウォルフは共鳴操音声をかけられた事が悔しかったらしく、半ば怒りを込めてリリに警告する。しかし彼女は鼻で笑い飛ばした。
「はん! 僕がいなきゃ大変な事になるぞ」
「何が?」
「エメロードがさ」
「エメロードちゃん、ボールで遊ばない?」
篠宮とカグラが誘うと、エメロードはキラキラとした笑顔で喜んだ。
『ええ、良いですよー……』
「?」
『……ちょっと待って……下さいね。暑くて……水着取りますね』
は?
今なんて?
耳を疑う篠宮とカグラ。そして何故聞こえたのか分からないが、離れたところにいた、ウォルフ、鬼丸、シュトルムもこちらを見た。
ちょっと待って、いや待たない方が良いのか? いや一応教師だし。待てよ注意するならβクラスの担任の鬼丸君が言うべきではないのか?
と、篠宮が逡巡しているうちに、エメロードはラッシュガードの水着を外した。彼女は人魚なので、もともとセパレートタイプの上着しか付けていない。
「……」
男子全員が無言で見つめる。
緩いウェーブのかかった長い金髪で、肝心の部分は見えないが——まさしく、美しき人魚姫。
生のままの姿は——よく見えないが——見えないなホント——とても綺麗で、その場にいた全員の目が釘付けになった。
「ん?」
ゾワゾワ。
そんな音が聞こえてくるかの様に、エメロードの肌に鈍色の鱗が生えてきた。それはあっという間にエメロードの首元までを覆い、男子の見たかった場所を隠してしまう。
「くっそ! そういうオチかよ!」
ウォルフがさぞ残念そうに悪態をついた。
つづく
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