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178『トラコン・2』
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銀河太平記
178『トラコン・2』須磨宮心子内親王
お疲れさまでした ごくろうさまです
警察らしくない挨拶を交わすと『北町奉行』とロゴを変えてパトカーは行ってしまった。
トラコンは北町奉行所と南町奉行所の共同警備地区になっている。
トラコン二丁目のバザールは車が乗り入れられない。
めちゃくちゃ人出が多いので昼間の車両の乗り入れは禁止。むろん緊急車両は例外なんだけど、一応トラコンの規則に倣って、バザールの入り口で南北奉行所の同心が入れ替わる。
パトカーの北町は、グルッとトラコンを周って奉行所に帰っていく。その間、南町は徒歩でバザールを巡回。そうすることで、トラコンにはパトカーと徒歩の警察官が巡回していることになり、不測の事態が起こっても柔軟に対応できるようになっている。
「お、5000人超えてる」
ヒコくんが掲示板を指さす。バザールの東西南北には掲示板があってバザールの込み具合を示している。バザールは観光スポットでもあるので観光客も多い。それで、混み具合を数字とドットで表示して、なるべく混雑を回避できるように誘導している。
「やっぱり人気高~い」
「南の1番2番が特に混んでるわね」
「行きますか!」
「はい!」
掲示板はハンベにも連動していて、警察用のハンベにはドットごとの国籍も分かる。
『ちょっと、いいかげんにしなさいよ!』『そっちのほうこそ!』
不穏な声が聞こえて、二人で急行する。
「どうかしましたか?」
「あ、お巡りさん!」「ちょっと聞いてよ南町!」「まあ、二人とも落ち着いて」「そうよ、頭冷やして」
隣り合った出店同士で揉めて、周囲の出店やお客たちがなだめている。
「境界線守らないのよ、この小間物屋!」
「そっちこそ前に出過ぎだろ、アウトレット!」
どうやら、店の境界で揉めている。
バザールは設置された時からきちんと区画されている。しゃくし定規に取り締まっているわけじゃないけど、時どきもめる。
シャーー
アナログのメジャーを出して調べる。
「あ、小間物屋のおばさん、15センチ出てる(^_^;)」
バザール内の道路幅は6mで、店の前1mまでの張り出しは認められている。15センチは、ちょっと出過ぎ。
「だって、アウトレットが寄せてくるから、前に出さなきゃやってらんないわよ!」
「なにさ、うちの方が前から店構えてんだ。後から店出してガタガタ言うんじゃないわよ!」
「後先なんて、関係ないだろ、決まりはみんな守らなきゃだめだろーがぁ!」
「なんだとぉ!」
「「「「「まあまあ」」」」」
周囲の人といっしょに二人を止める。
「仲良くやってくださいよ」
「可愛い婦警さんだけど、これは譲れないわよ」
「いっそ、奉行所の方で裁定してやったら、どうだね」
ケバブ屋さんが、こっちに振って来る。
「裁定しちゃうと、取りあえず二軒とも厳格に見なきゃならないから」
「いいわよ!」「厳格に見てよ!」
「う~ん、でも、お二人は先月も揉めてるから、今度は裁定出るまで、お店閉めなきゃならなくなりますよ(`•︵•´) 」
最後のところだけキッパリ言い切るヒコ同心。
「あ、ああ……」「それは……」
二人とも語尾はゴニョゴニョ。
とにかくもケリをつけて先にいく。
それから、バザールで三件もめ事を仲裁、一丁目でゴミの収集について指導、一丁目公園ではバレーボルと野球のイリーガル違反を注意。ペットのミニブタが逃げ出したのを捜索。
最後のミニブタは、三丁目で食べられてしまっていて、ちょっと仲裁するのが大変だった(^_^;)。
夕方、北町から引き継いだパトカーに乗って、やっと一息。
「バザール、変だとは思わなかった?」
「え、境界線のこと?」
「いや、掲示板の数字よりも微妙に人が多いような気がした……」
「え、それって?」
「あ、いや、気のせいかもしれない……」
「…………」
珍しく表情の読めないヒコくんだった。
☆彡この章の主な登場人物
大石 一 (おおいし いち) 扶桑第三高校二年、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ) 扶桑第三高校二年、 扶桑政府若年寄穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく) 扶桑第三高校二年、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる) 扶桑第三高校二年、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
加藤 恵 天狗党のメンバー 緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ) 扶桑第三高校の教師、四人の担任
扶桑 道隆 扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ) 将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶 小姓頭
児玉元帥(児玉隆三) 地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人) 児玉元帥の友人
森ノ宮茂仁親王 心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ 児玉元帥の副官
マーク ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン 太陽系一の賞金首
氷室(氷室 睦仁) 西ノ島 氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
村長(マヌエリト) 西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷) 西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平 西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん) 今上陛下の妹宮の娘
劉 宏 漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官
王 春華 漢明国大統領付き通訳兼秘書
※ 事項
扶桑政府 火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ 扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略 百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信 修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島 硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱 23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社 シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス 月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
178『トラコン・2』須磨宮心子内親王
お疲れさまでした ごくろうさまです
警察らしくない挨拶を交わすと『北町奉行』とロゴを変えてパトカーは行ってしまった。
トラコンは北町奉行所と南町奉行所の共同警備地区になっている。
トラコン二丁目のバザールは車が乗り入れられない。
めちゃくちゃ人出が多いので昼間の車両の乗り入れは禁止。むろん緊急車両は例外なんだけど、一応トラコンの規則に倣って、バザールの入り口で南北奉行所の同心が入れ替わる。
パトカーの北町は、グルッとトラコンを周って奉行所に帰っていく。その間、南町は徒歩でバザールを巡回。そうすることで、トラコンにはパトカーと徒歩の警察官が巡回していることになり、不測の事態が起こっても柔軟に対応できるようになっている。
「お、5000人超えてる」
ヒコくんが掲示板を指さす。バザールの東西南北には掲示板があってバザールの込み具合を示している。バザールは観光スポットでもあるので観光客も多い。それで、混み具合を数字とドットで表示して、なるべく混雑を回避できるように誘導している。
「やっぱり人気高~い」
「南の1番2番が特に混んでるわね」
「行きますか!」
「はい!」
掲示板はハンベにも連動していて、警察用のハンベにはドットごとの国籍も分かる。
『ちょっと、いいかげんにしなさいよ!』『そっちのほうこそ!』
不穏な声が聞こえて、二人で急行する。
「どうかしましたか?」
「あ、お巡りさん!」「ちょっと聞いてよ南町!」「まあ、二人とも落ち着いて」「そうよ、頭冷やして」
隣り合った出店同士で揉めて、周囲の出店やお客たちがなだめている。
「境界線守らないのよ、この小間物屋!」
「そっちこそ前に出過ぎだろ、アウトレット!」
どうやら、店の境界で揉めている。
バザールは設置された時からきちんと区画されている。しゃくし定規に取り締まっているわけじゃないけど、時どきもめる。
シャーー
アナログのメジャーを出して調べる。
「あ、小間物屋のおばさん、15センチ出てる(^_^;)」
バザール内の道路幅は6mで、店の前1mまでの張り出しは認められている。15センチは、ちょっと出過ぎ。
「だって、アウトレットが寄せてくるから、前に出さなきゃやってらんないわよ!」
「なにさ、うちの方が前から店構えてんだ。後から店出してガタガタ言うんじゃないわよ!」
「後先なんて、関係ないだろ、決まりはみんな守らなきゃだめだろーがぁ!」
「なんだとぉ!」
「「「「「まあまあ」」」」」
周囲の人といっしょに二人を止める。
「仲良くやってくださいよ」
「可愛い婦警さんだけど、これは譲れないわよ」
「いっそ、奉行所の方で裁定してやったら、どうだね」
ケバブ屋さんが、こっちに振って来る。
「裁定しちゃうと、取りあえず二軒とも厳格に見なきゃならないから」
「いいわよ!」「厳格に見てよ!」
「う~ん、でも、お二人は先月も揉めてるから、今度は裁定出るまで、お店閉めなきゃならなくなりますよ(`•︵•´) 」
最後のところだけキッパリ言い切るヒコ同心。
「あ、ああ……」「それは……」
二人とも語尾はゴニョゴニョ。
とにかくもケリをつけて先にいく。
それから、バザールで三件もめ事を仲裁、一丁目でゴミの収集について指導、一丁目公園ではバレーボルと野球のイリーガル違反を注意。ペットのミニブタが逃げ出したのを捜索。
最後のミニブタは、三丁目で食べられてしまっていて、ちょっと仲裁するのが大変だった(^_^;)。
夕方、北町から引き継いだパトカーに乗って、やっと一息。
「バザール、変だとは思わなかった?」
「え、境界線のこと?」
「いや、掲示板の数字よりも微妙に人が多いような気がした……」
「え、それって?」
「あ、いや、気のせいかもしれない……」
「…………」
珍しく表情の読めないヒコくんだった。
☆彡この章の主な登場人物
大石 一 (おおいし いち) 扶桑第三高校二年、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ) 扶桑第三高校二年、 扶桑政府若年寄穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく) 扶桑第三高校二年、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる) 扶桑第三高校二年、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
加藤 恵 天狗党のメンバー 緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ) 扶桑第三高校の教師、四人の担任
扶桑 道隆 扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ) 将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶 小姓頭
児玉元帥(児玉隆三) 地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人) 児玉元帥の友人
森ノ宮茂仁親王 心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ 児玉元帥の副官
マーク ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン 太陽系一の賞金首
氷室(氷室 睦仁) 西ノ島 氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
村長(マヌエリト) 西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷) 西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平 西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん) 今上陛下の妹宮の娘
劉 宏 漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官
王 春華 漢明国大統領付き通訳兼秘書
※ 事項
扶桑政府 火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ 扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略 百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信 修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島 硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱 23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社 シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
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