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236『西へ』
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銀河太平記
236『西へ』孫大人
「ん、なんで西に進むアルか?」
山海関を出て奉天に戻る道を走るのかと思ったら、筋斗雲はそのまま西に向かって走っている。
「なに言ってんの、自分でも西が危ないって思ってるくせに」
「一度、奉天に戻ってからと思たアル」
「カルチェタランなら大丈夫、老婆婆と鈴麗が居る。あの二人の方が店と街に関しては悟兵よりも分かってる」
「そうアルな。とりあえず満洲里アル」
満洲里とはハルピンの西方400キロ、モンゴルの東に位置する街で、モンゴルの街でありながら「満州」ではなく「満洲」とキチンと表記する由緒正しい街アル。たぶん、大昔は満州の勢力がこのあたりまであった名残りアル。
「了解」
「なんで、西が危ない思うアルか?」
「そりゃあ、さっきのミサイルはフェイント、あるいは観測気球。力技でぶつかりあったら、すぐに本格的なパルス兵器同士のぶつかり合いになるでしょ。本格的な世界大戦は両国とも避けたい、21世紀の大失敗も有ったことだし。両国ともモンゴルを挟んで通常兵器の密度が高いし、平原ばかりだし通常兵器でドンパチやるにはうってつけだし」
「フフフ……」
「なによ、気持ち悪い」
「東鈴、世界で最初の共産国はどこアルか?」
「え、ソ連でしょ、100年もたなかったけど」
「では、二番目はどこアルか?」
「モンゴル」
「なんでモンゴルアルか?」
「ソ連に隣接してるし、影響受けやすかったからでしょ」
「フフ……理解が浅いアル」
「なんかムカつく(^_^;)」
「モンゴルは中国から逃げたかったアル。歴史的にいじめられてばかりだったアルから、ソ連の親類になるのが手っ取り早かったアル」
「あ、でも、モンゴルの南半分は長いこと中国に入って自治区になってたでしょ。いま向かってる満洲里とかそうだし」
「逃げ遅れて中国に掴まったアル」
「そうなんだ……そうか、その記憶を刺激すれば、わりと簡単に自分の勢力圏に取り込めるとロシアは思うわけか」
「ちょっと高度をとって欲しいアル」
「え、飛んだら目立つよ」
「そこをうまくやって欲しいアルよ、飛んだ方が距離稼げるアルし」
「へいへい」
東鈴は器用に高度10メートルほどを維持して飛んでくれるアル。
「少し落としてくれアル」
「気づいた?」
「ああ……これは……」
木の間隠れに手入れの行き届いたAP機が見える。
「でも、あんな旧式機、役に立たないでしょ」
「いや、そうでもないアル」
AP機とはアンチパルス波動機。つまり、パルス機関やパルス兵器を無効化する防衛兵器アル。
モンゴルは豊かな国ではないので最新のAP機ないアル。漢明や先進国のパルス機器や兵器を無効化することは難しいアルが、それをピカピカに整備していることの意味は大きいアル。
モンゴルはパルス機器は大嫌い! 使う奴も大嫌い!
という意思表示にはなるアル。
つまり、このモンゴルで事を起こそうとしたら、児玉元帥言うところの元亀天正の戦争をやるしかない。
あの『北京蒼天』の絵を思わせるマンチュリアの空の下で繰り広げられた満州戦争のことが思い起こされたアルよ。
☆彡この章の主な登場人物
大石 一 (おおいし いち) 扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ) 扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく) ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる) 扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
加藤 恵 天狗党のメンバー 緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ) 扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆 扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ) 将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶 小姓頭
児玉元帥(児玉隆三) 地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人) 児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー
森ノ宮茂仁親王 心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ 児玉元帥の副官
マーク ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン 太陽系一の賞金首
氷室(氷室 睦仁) 西ノ島 氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
村長(マヌエリト) 西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷) 西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平 西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん) 今上陛下の妹宮の娘
劉 宏 漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華 漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉 胡盛徳大佐の養女
朱 元尚 大佐 ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
※ 事項
扶桑政府 火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ 扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略 百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信 修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島 硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱 23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社 シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス 月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院 扶桑城啓林の奥にある祖廟
236『西へ』孫大人
「ん、なんで西に進むアルか?」
山海関を出て奉天に戻る道を走るのかと思ったら、筋斗雲はそのまま西に向かって走っている。
「なに言ってんの、自分でも西が危ないって思ってるくせに」
「一度、奉天に戻ってからと思たアル」
「カルチェタランなら大丈夫、老婆婆と鈴麗が居る。あの二人の方が店と街に関しては悟兵よりも分かってる」
「そうアルな。とりあえず満洲里アル」
満洲里とはハルピンの西方400キロ、モンゴルの東に位置する街で、モンゴルの街でありながら「満州」ではなく「満洲」とキチンと表記する由緒正しい街アル。たぶん、大昔は満州の勢力がこのあたりまであった名残りアル。
「了解」
「なんで、西が危ない思うアルか?」
「そりゃあ、さっきのミサイルはフェイント、あるいは観測気球。力技でぶつかりあったら、すぐに本格的なパルス兵器同士のぶつかり合いになるでしょ。本格的な世界大戦は両国とも避けたい、21世紀の大失敗も有ったことだし。両国ともモンゴルを挟んで通常兵器の密度が高いし、平原ばかりだし通常兵器でドンパチやるにはうってつけだし」
「フフフ……」
「なによ、気持ち悪い」
「東鈴、世界で最初の共産国はどこアルか?」
「え、ソ連でしょ、100年もたなかったけど」
「では、二番目はどこアルか?」
「モンゴル」
「なんでモンゴルアルか?」
「ソ連に隣接してるし、影響受けやすかったからでしょ」
「フフ……理解が浅いアル」
「なんかムカつく(^_^;)」
「モンゴルは中国から逃げたかったアル。歴史的にいじめられてばかりだったアルから、ソ連の親類になるのが手っ取り早かったアル」
「あ、でも、モンゴルの南半分は長いこと中国に入って自治区になってたでしょ。いま向かってる満洲里とかそうだし」
「逃げ遅れて中国に掴まったアル」
「そうなんだ……そうか、その記憶を刺激すれば、わりと簡単に自分の勢力圏に取り込めるとロシアは思うわけか」
「ちょっと高度をとって欲しいアル」
「え、飛んだら目立つよ」
「そこをうまくやって欲しいアルよ、飛んだ方が距離稼げるアルし」
「へいへい」
東鈴は器用に高度10メートルほどを維持して飛んでくれるアル。
「少し落としてくれアル」
「気づいた?」
「ああ……これは……」
木の間隠れに手入れの行き届いたAP機が見える。
「でも、あんな旧式機、役に立たないでしょ」
「いや、そうでもないアル」
AP機とはアンチパルス波動機。つまり、パルス機関やパルス兵器を無効化する防衛兵器アル。
モンゴルは豊かな国ではないので最新のAP機ないアル。漢明や先進国のパルス機器や兵器を無効化することは難しいアルが、それをピカピカに整備していることの意味は大きいアル。
モンゴルはパルス機器は大嫌い! 使う奴も大嫌い!
という意思表示にはなるアル。
つまり、このモンゴルで事を起こそうとしたら、児玉元帥言うところの元亀天正の戦争をやるしかない。
あの『北京蒼天』の絵を思わせるマンチュリアの空の下で繰り広げられた満州戦争のことが思い起こされたアルよ。
☆彡この章の主な登場人物
大石 一 (おおいし いち) 扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ) 扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく) ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる) 扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
加藤 恵 天狗党のメンバー 緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ) 扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆 扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ) 将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶 小姓頭
児玉元帥(児玉隆三) 地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人) 児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー
森ノ宮茂仁親王 心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ 児玉元帥の副官
マーク ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン 太陽系一の賞金首
氷室(氷室 睦仁) 西ノ島 氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
村長(マヌエリト) 西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷) 西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平 西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん) 今上陛下の妹宮の娘
劉 宏 漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華 漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉 胡盛徳大佐の養女
朱 元尚 大佐 ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
※ 事項
扶桑政府 火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ 扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略 百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信 修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島 硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱 23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社 シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス 月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院 扶桑城啓林の奥にある祖廟
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