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31『俺は口走ってしまった』
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泣いてもω(オメガ) 笑ってもΣ(シグマ)
31『俺は口走ってしまった』
アキバと言うと牛丼とメイド喫茶の@ホームだ。
「なんで牛丼なんですか?」
吊革の付属品みたいに揺れながらシグマが聞く。
「南のオバサンだよ」
「南のオバサン?」
「アハハ、そ、南のオバサン」
一度しか会ったことが無いシグマは「?」で、馴染みのノリスケは「アハハ」だ。
電気街口から出て駅前広場に。
公立高校は今日が終業式なので高校生の姿が目立つ。たいていのやつは中央通りのアキバメジャーや東側のヨドバシカメラに向かい、二クラス分くらいの高校生は広場でたむろしている。
俺たちは、それに逆らって北へ。総武本線のガードを潜ってすぐの牛丼屋に向かう。
アキバ慣れしているシグマだけど、こちら側は初めてのようで少し緊張しているように見える。
こういう時に好奇心むき出しになる子もいいんだけど、程よく緊張しているシグマもいいと思う。
不愛想なΣ口がニュートラルよりも尖がっている。愚妹小菊もたいがい尖がった口をしているが全然違う。小菊のは蔑みと不満の現れなんだけど、シグマは16歳の少女らしいナーバスさの表れだ。
「あ、学食のオバサンだ!」
カウンターにお茶を運んできた南さんに気づいて、シグマは小さく叫んだ。
緊張がほぐれて、目は親しみの色なっている。
ナーバスだけど反射がいい。Σ口も心なし弛んでシグマらしい愛嬌になっている。
「あら、いつかの彼女じゃない」
南さんは記憶力がいい。
「学食のスペメン美味しかったです!」
「アハハ、アキバでも見かけたわよ。自衛隊の音楽隊が来た日、妻鹿君といっしょだったわね」
「あ、あれはたまたま」
「たまたまを十回早口で言ってみて」
「たまたなたまたまたまたまたまたま……またまたまた」
「ほら、またまただ」
「え、あ、いや(;'∀')」
うろたえたシグマにニコニコしながら南さんはオーダーをとっていった。
「なんで、学食のおばさんが?」
「短縮授業の間は食堂閉まってるだろ」
「その間にフードコーディネーターとしての勘が鈍らないように働いてるんだ」
「そ、そうなんだ」
「アハハ、働いてないとすぐに太っちゃうんでね、はい、牛丼並三つ! 男子は汁だくね」
並にしたのはワケがある。
「「「「お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様」」」」
そ、俺たちは牛丼の後@ホームに向かったのだ。
むろんアキバのメジャーなところに興味も用事もあるんだけど、今日は@ホームだ。
「お嬢様、先日はどうもありがとうございました」
店長がテーブルまでやってきて挨拶する。
「こ、こちらこそ!」
シグマがシャッチョコバって俺が笑って、ノリスケの頭は(???)でいっぱいになる。
「……と、こういうわけだ!」
新メニューのフライドチキンを頬張りながらノリスケに種明かしをしてやる。
「すごいじゃん、シグマもお祖母ちゃんも! ね、写真とかあったら見せてよ!」
「え、あ、はい……これです」
頬を染めたまま、シグマはスマホを取り出した。
「お! おお! インスタ栄え! いかしたお祖母ちゃんじゃん!」
ノリスケは、こいいうところが人物で、ことさらお祖母ちゃんが外人であることやシグマがクォーターであることにアクセントを置かない。
「思い立ったらすぐの人で……」
藤棚の下では触れなかったお祖母ちゃんの武勇伝をとつとつとシグマは語った。
お祖母ちゃんの話に笑い転げ、新メニューのフライドチキンを味わううちにシグマも解れてきた。
「だぁから、エロゲは芸術なんですってば!」
もう三十回ほどもエロゲを連発しているシグマ(^_^;)。
店内のメイドさんもお客もチラチラ注目したりクスクス笑ったりしている。ちょっと藪蛇になってきた。
「きららルートぐらいで感動してちゃダメですよ! 先輩はいい人だからみすずルートにたどり着かないんですよ! みすずルートはね、他の女の子に情けを掛けちゃダメなんです! きららが情死しようがあいこが輪姦されようが、はまりが時空の狭間に消えようがゆうきが触手地獄に堕ちようが、ひたすら、ひったすら、みすずに構うんです! むろん裏技を使わない限りみすずルートにはたどり着けませんけどね、だからこそのみすずルートなんです!『君の名を』はエロゲ界の神曲なんです、全ての処女のインフェルノを甘受しなければ真のベアトリーチェには出会えないんですよヽ(#`Д´#)ノ!」
こういうのを地雷を踏んだとかストッパーが外れたとかいうんだろう、ノリスケは笑い死に寸前だし、おれは真っ赤になって俯いてしまった。
「わあった! だから、俺がサブカル研に入ってやっから!」
俺は口走ってしまった(;゚Д゚)。
☆彡 主な登場人物
妻鹿雄一 (オメガ) 高校二年
百地美子 (シグマ) 高校一年
妻鹿小菊 中三 オメガの妹
妻鹿由紀夫 父
鈴木典亮 (ノリスケ) 高校二年 雄一の数少ない友だち
柊木小松(ひいらぎこまつ) 大学生 オメガの一歳上の従姉
ヨッチャン(田島芳子) 雄一の担任
31『俺は口走ってしまった』
アキバと言うと牛丼とメイド喫茶の@ホームだ。
「なんで牛丼なんですか?」
吊革の付属品みたいに揺れながらシグマが聞く。
「南のオバサンだよ」
「南のオバサン?」
「アハハ、そ、南のオバサン」
一度しか会ったことが無いシグマは「?」で、馴染みのノリスケは「アハハ」だ。
電気街口から出て駅前広場に。
公立高校は今日が終業式なので高校生の姿が目立つ。たいていのやつは中央通りのアキバメジャーや東側のヨドバシカメラに向かい、二クラス分くらいの高校生は広場でたむろしている。
俺たちは、それに逆らって北へ。総武本線のガードを潜ってすぐの牛丼屋に向かう。
アキバ慣れしているシグマだけど、こちら側は初めてのようで少し緊張しているように見える。
こういう時に好奇心むき出しになる子もいいんだけど、程よく緊張しているシグマもいいと思う。
不愛想なΣ口がニュートラルよりも尖がっている。愚妹小菊もたいがい尖がった口をしているが全然違う。小菊のは蔑みと不満の現れなんだけど、シグマは16歳の少女らしいナーバスさの表れだ。
「あ、学食のオバサンだ!」
カウンターにお茶を運んできた南さんに気づいて、シグマは小さく叫んだ。
緊張がほぐれて、目は親しみの色なっている。
ナーバスだけど反射がいい。Σ口も心なし弛んでシグマらしい愛嬌になっている。
「あら、いつかの彼女じゃない」
南さんは記憶力がいい。
「学食のスペメン美味しかったです!」
「アハハ、アキバでも見かけたわよ。自衛隊の音楽隊が来た日、妻鹿君といっしょだったわね」
「あ、あれはたまたま」
「たまたまを十回早口で言ってみて」
「たまたなたまたまたまたまたまたま……またまたまた」
「ほら、またまただ」
「え、あ、いや(;'∀')」
うろたえたシグマにニコニコしながら南さんはオーダーをとっていった。
「なんで、学食のおばさんが?」
「短縮授業の間は食堂閉まってるだろ」
「その間にフードコーディネーターとしての勘が鈍らないように働いてるんだ」
「そ、そうなんだ」
「アハハ、働いてないとすぐに太っちゃうんでね、はい、牛丼並三つ! 男子は汁だくね」
並にしたのはワケがある。
「「「「お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様」」」」
そ、俺たちは牛丼の後@ホームに向かったのだ。
むろんアキバのメジャーなところに興味も用事もあるんだけど、今日は@ホームだ。
「お嬢様、先日はどうもありがとうございました」
店長がテーブルまでやってきて挨拶する。
「こ、こちらこそ!」
シグマがシャッチョコバって俺が笑って、ノリスケの頭は(???)でいっぱいになる。
「……と、こういうわけだ!」
新メニューのフライドチキンを頬張りながらノリスケに種明かしをしてやる。
「すごいじゃん、シグマもお祖母ちゃんも! ね、写真とかあったら見せてよ!」
「え、あ、はい……これです」
頬を染めたまま、シグマはスマホを取り出した。
「お! おお! インスタ栄え! いかしたお祖母ちゃんじゃん!」
ノリスケは、こいいうところが人物で、ことさらお祖母ちゃんが外人であることやシグマがクォーターであることにアクセントを置かない。
「思い立ったらすぐの人で……」
藤棚の下では触れなかったお祖母ちゃんの武勇伝をとつとつとシグマは語った。
お祖母ちゃんの話に笑い転げ、新メニューのフライドチキンを味わううちにシグマも解れてきた。
「だぁから、エロゲは芸術なんですってば!」
もう三十回ほどもエロゲを連発しているシグマ(^_^;)。
店内のメイドさんもお客もチラチラ注目したりクスクス笑ったりしている。ちょっと藪蛇になってきた。
「きららルートぐらいで感動してちゃダメですよ! 先輩はいい人だからみすずルートにたどり着かないんですよ! みすずルートはね、他の女の子に情けを掛けちゃダメなんです! きららが情死しようがあいこが輪姦されようが、はまりが時空の狭間に消えようがゆうきが触手地獄に堕ちようが、ひたすら、ひったすら、みすずに構うんです! むろん裏技を使わない限りみすずルートにはたどり着けませんけどね、だからこそのみすずルートなんです!『君の名を』はエロゲ界の神曲なんです、全ての処女のインフェルノを甘受しなければ真のベアトリーチェには出会えないんですよヽ(#`Д´#)ノ!」
こういうのを地雷を踏んだとかストッパーが外れたとかいうんだろう、ノリスケは笑い死に寸前だし、おれは真っ赤になって俯いてしまった。
「わあった! だから、俺がサブカル研に入ってやっから!」
俺は口走ってしまった(;゚Д゚)。
☆彡 主な登場人物
妻鹿雄一 (オメガ) 高校二年
百地美子 (シグマ) 高校一年
妻鹿小菊 中三 オメガの妹
妻鹿由紀夫 父
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