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69『御籠りの五日間・3・御神渡り』
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泣いてもω(オメガ) 笑ってもΣ(シグマ)
69『御籠りの五日間・3・御神渡り』オメガ
一口にエロゲと言ってもいろいろだ。
とにかくエッチをしまくるシミュレーションもの。
ストーリーもへったくれもなくて、徹頭徹尾エッチ! 主人公以外の男が死に絶えた世界とか、時間が停まってたりとか、試合して勝っても負けてもエッチな展開しかねえとか、自分以外に男が居ないクラブを経営するとか。中には男女のキャラやらアバターやらも一からカスタマイズして声や性格まで決めていたすもの。シグマが「こんなのもあります」とVRになってんの見せてくれたが、うちのサブカル研ではやらない。
その対極にあるのがシナリオゲー。
ほとんどノベルと同じで、ストーリーが命。たいていフルボイスになっていて、画面に出てくるキャラが喋ってくれる。当然声優さんたちが演じてくれているんだけど、その熱のこもり方、表現の豊かさに、最初はびっくりしたものだ。
途中に様々な分岐があり、どの分岐を選ぶかによって付き合えるパートナーが変わってくる。
物によっては分岐が百以上もあって、エンディングが分岐の組み合わせで無数と言っていいほど別れるものもある。
俺たちサブカル研がやっているのは、主にこのシナリオゲーで、まだ初心者の俺はシグマの勧めで数本やっただけだけど、正直目から鱗の毎日だ。
モノにもよるけども、最後の方にならなければエッチフラグが立たないものが結構ある。エッチに至らなければ、普通のノベルゲームと変わらない。
「これも、元々はエロゲだったんですよ」
シグマが開いたフォルダにはプレイステーションなどの、俺だってタイトルぐらいは知っている普通のゲームが並んでいた。いわゆるコンシューマー版てやつだ。
「ここにこういうイベントが入っているんです」
「オ……オーーーー!」
プレイステーションでは手を握ったり、ハグしたり、せいぜいキスするだけなのが、男女の距離に寄って様々なエッチの展開になる。
「……この方が断然ナチュラルってか、展開として自然に広がっていくよなあ」「もう、ほとんで文学じゃんよ」
「じつはですね……」
シグマの講釈が始まる。意外な名作アニメやドラマの原作が、こういうゲームだったり、監督がエロゲ畑出身だったりする。
「『冬のコナタ』の元ネタは……というエロゲで、『君のわな』の監督はエロゲで力をつけてきた人で、こういうところの表現が……秀逸で、この○○のダイナミックさは……」
シグマの解説に聞きいってしまう(^_^;)
エロゲの感動が無ければ、学食の前で堂本に弄られているのを助けただけで、それ以後のシグマとの付き合いは無かっただろう。
座卓の上のエロゲは、そう言うのばかりだったから、ノリスケの横で見ているだけの増田さんにも抵抗はない。
「『蒼空に翼広げて』は、もうじきフラグが立つぞ」
ノリスケがやっているのは、先月コンプリートしたやつだったので湯船の中で忠告を与える。
「いや、つばさルートを先にやったんで、夕方には初エッチになってしまった」
「え、そーなのか!?」
「おまえ『まにてつ』に熱中してたから気づかなかったんだろ」
「増田さんは?」
「ビックリしたようだけど、なんか、コクコク頷いてたぞ」
もう三日目になるんで、それぞれのゲームも最初の佳境に入っているようだ。あれこれゲームの感想を言い合っていると、のぼせそうになって来た。
「そろそろ出ないと、女子の時間だぞ」
「あ、今日は女子があとだったな」
御神楽大神神社の豊楽殿はよくできているが、旅館ではないので、風呂は時間を決めて男女交代で入っている。
風呂そのものはゆったりとしたL字型になっていて、Lの横棒の所がガラスになっていて眺めがいい。横棒と縦棒の角の所は大きな岩がドデンとあって、入り口からは目隠しになっている。
ジャブジャブと岩の角を曲がるのと湯気に曇ったガラス戸が開くのが同時だった。
エ……ア…………
無防備に湯船から立ち上がった俺たちの前には、前も隠さないシグマと増田さんが立っているではないか!
ゴメン! キャ!
謝るのと叫ぶのが同時で、ノリスケと二人速攻で風呂を飛び出した。
今日は神社の都合で時間がズレていたのを女子は気づていなかったんだと思う。
気まずいんで確認はしなかったけどな。
「御神渡りがありますので、豊楽殿の半分を閉めます」
「おみわたり?」
巫女さんの言葉にポカンとするばかりだ。
「えとね……」
風信子が補足してくれる。
「神さまがお通りになる道が今夜から豊楽殿に掛かるの、掛かる部分は使えなくなるから、座敷の半分に結界を張ることになるのよ」
座敷に戻ると、半分の所に結界を示すしめ縄が張られていた。
それまで几帳を挟んで座敷の両端に敷いていた男女の寝床が接するほどに近くなってしまった。
衣擦れの音だけでもドキドキしたのに、今夜は几帳の向こうからオメガと増田さんの気配が距離の二乗倍で濃厚になる。
風呂で一瞬見てしまった二人の無防備な姿が、どんどん脳みその中で際立ってくる、ああ、やんぬるかな!
☆彡 主な登場人物
妻鹿雄一 (オメガ) 高校三年
百地美子 (シグマ) 高校二年
妻鹿小菊 高校一年 オメガの妹
妻鹿幸一 祖父
妻鹿由紀夫 父
鈴木典亮 (ノリスケ) 高校三年 雄一の数少ない友だち
風信子 高校三年 幼なじみの神社(神楽坂鈿女神社)の娘
柊木小松(ひいらぎこまつ) 大学生 オメガの一歳上の従姉 松ねえ
ミリー・ニノミヤ シグマの祖母
ヨッチャン(田島芳子) 雄一の担任
木田さん 二年の時のクラスメート(副委員長)
増田汐(しほ) 小菊のクラスメート
69『御籠りの五日間・3・御神渡り』オメガ
一口にエロゲと言ってもいろいろだ。
とにかくエッチをしまくるシミュレーションもの。
ストーリーもへったくれもなくて、徹頭徹尾エッチ! 主人公以外の男が死に絶えた世界とか、時間が停まってたりとか、試合して勝っても負けてもエッチな展開しかねえとか、自分以外に男が居ないクラブを経営するとか。中には男女のキャラやらアバターやらも一からカスタマイズして声や性格まで決めていたすもの。シグマが「こんなのもあります」とVRになってんの見せてくれたが、うちのサブカル研ではやらない。
その対極にあるのがシナリオゲー。
ほとんどノベルと同じで、ストーリーが命。たいていフルボイスになっていて、画面に出てくるキャラが喋ってくれる。当然声優さんたちが演じてくれているんだけど、その熱のこもり方、表現の豊かさに、最初はびっくりしたものだ。
途中に様々な分岐があり、どの分岐を選ぶかによって付き合えるパートナーが変わってくる。
物によっては分岐が百以上もあって、エンディングが分岐の組み合わせで無数と言っていいほど別れるものもある。
俺たちサブカル研がやっているのは、主にこのシナリオゲーで、まだ初心者の俺はシグマの勧めで数本やっただけだけど、正直目から鱗の毎日だ。
モノにもよるけども、最後の方にならなければエッチフラグが立たないものが結構ある。エッチに至らなければ、普通のノベルゲームと変わらない。
「これも、元々はエロゲだったんですよ」
シグマが開いたフォルダにはプレイステーションなどの、俺だってタイトルぐらいは知っている普通のゲームが並んでいた。いわゆるコンシューマー版てやつだ。
「ここにこういうイベントが入っているんです」
「オ……オーーーー!」
プレイステーションでは手を握ったり、ハグしたり、せいぜいキスするだけなのが、男女の距離に寄って様々なエッチの展開になる。
「……この方が断然ナチュラルってか、展開として自然に広がっていくよなあ」「もう、ほとんで文学じゃんよ」
「じつはですね……」
シグマの講釈が始まる。意外な名作アニメやドラマの原作が、こういうゲームだったり、監督がエロゲ畑出身だったりする。
「『冬のコナタ』の元ネタは……というエロゲで、『君のわな』の監督はエロゲで力をつけてきた人で、こういうところの表現が……秀逸で、この○○のダイナミックさは……」
シグマの解説に聞きいってしまう(^_^;)
エロゲの感動が無ければ、学食の前で堂本に弄られているのを助けただけで、それ以後のシグマとの付き合いは無かっただろう。
座卓の上のエロゲは、そう言うのばかりだったから、ノリスケの横で見ているだけの増田さんにも抵抗はない。
「『蒼空に翼広げて』は、もうじきフラグが立つぞ」
ノリスケがやっているのは、先月コンプリートしたやつだったので湯船の中で忠告を与える。
「いや、つばさルートを先にやったんで、夕方には初エッチになってしまった」
「え、そーなのか!?」
「おまえ『まにてつ』に熱中してたから気づかなかったんだろ」
「増田さんは?」
「ビックリしたようだけど、なんか、コクコク頷いてたぞ」
もう三日目になるんで、それぞれのゲームも最初の佳境に入っているようだ。あれこれゲームの感想を言い合っていると、のぼせそうになって来た。
「そろそろ出ないと、女子の時間だぞ」
「あ、今日は女子があとだったな」
御神楽大神神社の豊楽殿はよくできているが、旅館ではないので、風呂は時間を決めて男女交代で入っている。
風呂そのものはゆったりとしたL字型になっていて、Lの横棒の所がガラスになっていて眺めがいい。横棒と縦棒の角の所は大きな岩がドデンとあって、入り口からは目隠しになっている。
ジャブジャブと岩の角を曲がるのと湯気に曇ったガラス戸が開くのが同時だった。
エ……ア…………
無防備に湯船から立ち上がった俺たちの前には、前も隠さないシグマと増田さんが立っているではないか!
ゴメン! キャ!
謝るのと叫ぶのが同時で、ノリスケと二人速攻で風呂を飛び出した。
今日は神社の都合で時間がズレていたのを女子は気づていなかったんだと思う。
気まずいんで確認はしなかったけどな。
「御神渡りがありますので、豊楽殿の半分を閉めます」
「おみわたり?」
巫女さんの言葉にポカンとするばかりだ。
「えとね……」
風信子が補足してくれる。
「神さまがお通りになる道が今夜から豊楽殿に掛かるの、掛かる部分は使えなくなるから、座敷の半分に結界を張ることになるのよ」
座敷に戻ると、半分の所に結界を示すしめ縄が張られていた。
それまで几帳を挟んで座敷の両端に敷いていた男女の寝床が接するほどに近くなってしまった。
衣擦れの音だけでもドキドキしたのに、今夜は几帳の向こうからオメガと増田さんの気配が距離の二乗倍で濃厚になる。
風呂で一瞬見てしまった二人の無防備な姿が、どんどん脳みその中で際立ってくる、ああ、やんぬるかな!
☆彡 主な登場人物
妻鹿雄一 (オメガ) 高校三年
百地美子 (シグマ) 高校二年
妻鹿小菊 高校一年 オメガの妹
妻鹿幸一 祖父
妻鹿由紀夫 父
鈴木典亮 (ノリスケ) 高校三年 雄一の数少ない友だち
風信子 高校三年 幼なじみの神社(神楽坂鈿女神社)の娘
柊木小松(ひいらぎこまつ) 大学生 オメガの一歳上の従姉 松ねえ
ミリー・ニノミヤ シグマの祖母
ヨッチャン(田島芳子) 雄一の担任
木田さん 二年の時のクラスメート(副委員長)
増田汐(しほ) 小菊のクラスメート
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