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5[旅立ちの時・3]

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宇宙戦艦三笠

5[旅立ちの時・3]



 みかさんが消えると、オレたちは普段の服装に戻っていた。

 オレはジーパンに生成りのシャツ。樟葉はチュニックの下に厚手のタイツ。天音はチノパンにチェックのシャツ。トシは引きこもり定番のジャージ。

「フワ~、とりあえず寝ようか」

 いつもの生活時間では、もう寝る時間なので他の3人も異議が無かった。
 艦内の様子は頭に入っていた。さっきあれだけのチュートリアルをやったので、艦内のことが頭に入っているのはなんの不思議も感じなかった。

 どうやら、オレが艦長らしいのはチュートリアルで分かっていたので迷うことなく艦長室に。他の三人も船の幹部なので、それぞれの部屋に向かっていった。艦長室のクローゼットには、日ごろ俺が着る服がかかっていて、迷うことなくパジャマに着替えるとベッドに潜り込む。が、なかなか寝付けない。ようやくウトウトしかけたころに、みかさんの声がした。

「レム睡眠を利用して説明の続きをさせてもらうわね」

「え、睡眠中に?」

「うん、ただ眠っていてもロクな夢みないから。それに、睡眠中の方が冷静に理解ができる……見て、これが今の地球」

「……きれいだ」

「そして、これが100年後の地球」

「え……」

 それは、表面がほとんど真っ白になった雪の玉のようだった。これじゃ、どんな生物も生きてはいけないだろう。

「あれはUFO……?」

「そうよ。UFOに合わせて画面を切り替えるわね……」

 スライドショーになった。100以上のUFOが入れ替わり立ち代り見えた。

「タイプは様々だけど、グリンヘルドとシュトルハーヘンの探査船」

「マゼラン星雲の?」

 どうやら、宇宙の事もインストールされているっぽい。

「そう、地球が氷河で覆われ尽くしたら、移民するつもりで監視してるの」

「氷河の地球に?」

「彼らには部分的に氷河を溶かす技術がある。氷河の1/4も溶かせば、十分に20億人ぐらいは住めるわ」

「で、オレたちが目指すのは……?」

「ピレウス。マゼラン星雲の良心……ここで氷河防止装置を受け取るの……あなたたち4人の力で」

「それって……どこかで聞いたような……」


 そこで、オレはノンレム睡眠に落ちていった……。


 習慣と言うのは恐ろしいもので、朝、目が覚めると制服に着替えてしまう。で、朝食の7時になるとトシを除く3人が士官食堂に集まった。インストールされた情報によるものか、美味そうな朝飯の匂いに釣られたのかは分からない。

「ハハ、やだ、みんな制服着てる!」

 天音がケタケタ笑い、オレと樟葉はなんだか照れた。

「トシは?」

「あいつは、まだ寝てんだろ」

「ああ、引きこもりだものね」

 そして、朝飯を食べながら夕べ見た夢の話をした。三人とも同じ夢を見たようだ。話がたけなわになった時に、そっとドアが開いた。

 なんと、トシが制服を着てドアから半身を見せている。

「あ……入っていっすか?」

「ああ、入れよ。トシにしちゃ上出来の早起きじゃんか」

「ま、座れ」

「トシ君も、夢見たんでしょ?」

「はい、おそらく同じ夢……って、みかさんが言ってました」

「やっぱり、ピレウスに氷河防止装置をとりにいくとこまで?」

「ボク眠りが浅いんで、続きがあるんです……ちょっと怖い続きが」

「怖い続き……」

 三人の視線がトシに集中した……。


☆ 主な登場人物

 修一          横須賀国際高校二年 艦長
 樟葉          横須賀国際高校二年 航海長
 天音          横須賀国際高校二年 砲術長
 トシ          横須賀国際高校一年 機関長
 みかさん(神さま)   戦艦三笠の船霊
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