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6[話の続きとスタンウォーク]
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宇宙戦艦三笠
6[話の続きとスタンウォーク]
「で、なんだよ、怖い話って?」
みんなが、朝食のテーブルから、突っ立ったままのトシに顔を向けた。
「それが……ピレウスを目指しているのはボクらの三笠だけじゃないみたいなんです」
「え、ほんとかよ?」
「世界には、三笠以外に保存されている戦艦は20隻ちかくあって。そのほとんどが三笠と同時にピレウスを目指しているようなんです」
「え、他にも残っているのなんてあるの?」
「そういや、ミズーリがハワイで残ってたな……」
「アメリカは、ミズーリを入れて8隻が記念艦で残ってます。中国はレプリカだけど定遠が。それに、戦艦じゃないけど遼寧が出てきています」
リョウネイ?
どうも、樟葉も天音も、こういうことには疎いようだ。オレは説明を加えた。
「ウクライナから買った航空母艦だよ。でも、どうして空母が?」
「現代の戦艦にあたる海軍勢力は空母だって理屈らしいっす」
「そう言いながら、ハリボテの定遠までかよ。なんか矛盾してんな」
「テイエンって?」
「100年以上前の日清戦争で、日本が沈めたドイツ製の中国の戦艦だよ。他にもとんでもないのがありそうだな」
「はい、韓国が独島を、イギリスがヴィクトリーを……」
「ヴィクトリーって、ネルソンが乗ってた帆船か!?」
「一応は、動態保存で、軍籍にも残ってますから。今でも艦長は現役の海軍士官が任命されてます」
「ほかには?」
「なぜだか、ドイツのビスマルクも……?」
「ビスマルク? あれは沈んでるはずだぞ」
「艦体は、わりにしっかりしているようで、海底で原形をとどめていて、船霊がまだ憑りついているんだそうです」
「でも、それだけの船が出てるんなら、心強いじゃないの」
「そうなんですけど……先にピレウスに着いた船の国が、その……新しい地球のヘゲモニーを握りそうなんです」
「え、じゃあ、中国なんかにとられたらたいへんじゃないか」
「で、どうしても三笠が一番にピレウスに着かなきゃならないんです」
「う~ん……そうだ!」
みんなの視線がオレに集まった。
「とにかく朝飯を食おう。腹が減ってちゃいい考えも浮かばないよ」
ようやく、本格的に朝食になった。
朝食は、各自のテーブルの上に、各自の好みに合わせたものが載っていた。おれがガッツリ味噌汁、ごはん、目玉焼きに納豆。樟葉と天音はイングリッシュマフィンとトーストの違いはあったが、パンとスクランブルエッグ、ヨーグルトのセットだった。
「もう一つ夢を見たんですけど……」
オレが納豆飯をかっ込んでいるときに、トシが小さな声で話し出した。
「なんだ、いい夢か、悪い夢か?」
「……それが、よく覚えていないんです」
「どういうことよ?」
天音がオッサンみたくシーハーしながら聞いた。
「なんか、とても緊張して……でも楽しい夢でした」
「トシの楽しいは、なんだかマニアックな感じがするな」
「そんなことないっすよ。ごく一般的に緊張して、楽しいことだったです」
まあ、雲をつかむような話なんで、それっきりになった。
朝食をすますと、取り立ててやることがない。
「なあ、ここは司令長官室だろ?」
天音が指を立てた。悪戯とかを思いついた時の癖で、俺たちも連動したオートマタみたいに首を向けてしまう。
「ああ、三笠で一番のスィートルームだ」
「なら、そこのドアを開けたところはスタンウォークなんじゃないか?」
「「「ああ」」」
「長官専用の展望デッキ、出られるのかなあ」
スタンウォークは帆船時代の名残で、艦尾のいちばん偉い人の部屋の外に付けられたベランダみたいなデッキのことだ。
「立ち入り禁止じゃないの?」
真面目な樟葉が注意する。
「それは、記念艦三笠だろ、これは宇宙戦艦三笠だ」
「でも、そこ開けたら宇宙空間なんじゃ……」
トシも普通にビビってる。
カチャ
「お、開くぞ」
「あ」「ちょ」「え」
言葉を継ごうとしたら、もう、天音は開けてしまった!
「「「「うわああ」」」」
ドアの外は、スタンウォークの手すりがあって、その向こうには広大な海が広がって、長官室は潮の香りでいっぱいになった。
「みんな、来てみろよ!」
さっさと出てしまった天音が感動の声をあげた。
なんで、海が見えるんだ?
出てみると、理屈は分からないけど、見た目には分かった。スタンウォークの艦尾方向120度あまりが大海原で、ボンヤリした境目の外は宇宙空間なんだ。
「CGの一種なんですかねえ?」
「トシは、こういうスペースファンタジー系のゲームが好きだったな」
「はい、『スターパシフィック・6』が出てなかったら、学校に来れてたです!」
トシの不登校はゲームのせいなんかじゃないんだけどな、そう言って気が楽になるなら構わない。
「お、インタフェイスが出てきた」
天音の前に異世界系アニメに出てきそうな仮想インタフェイスが現れた。
「いろいろ設定が変えられるみたいだな」
画面にはロケーション設定があって、宇宙空間、大海原、夜景、富士山頂、シアターとかまで選択肢がいっぱい。
「あ、リアルがある。いい?」
スクロールした末にリアルを発見した樟葉が断りを入れてからタッチした。
シュラララ~ン
切り替わると、正面に地球、その斜め向こうに月が見える。
「やっぱり地球は青いな……」
「微妙に小さくなっていく……」
「だんだん離れていくのね……」
「先輩、泣いてるんすか?」
「うっせえ、そういうトシだって」
「あははは……」
「さ、もう中に入ろうか」
「ああ」
出た時とは逆に俺が先頭で長官室に戻る。
カチャ
ドアを開けてビックリした!
四人の猫耳メイドさんが、朝食の後片付けと掃除をやっていた!
キャ!
ビックリしたのはメイドさんたちもいっしょで、目をまん丸にしている。
その可愛らしさに俺の萌ゲージの針は振りきれてしまいそうになった(#´∀`#)!
☆ 主な登場人物
修一 横須賀国際高校二年 艦長
樟葉 横須賀国際高校二年 航海長
天音 横須賀国際高校二年 砲術長
トシ 横須賀国際高校一年 機関長
みかさん(神さま) 戦艦三笠の船霊
6[話の続きとスタンウォーク]
「で、なんだよ、怖い話って?」
みんなが、朝食のテーブルから、突っ立ったままのトシに顔を向けた。
「それが……ピレウスを目指しているのはボクらの三笠だけじゃないみたいなんです」
「え、ほんとかよ?」
「世界には、三笠以外に保存されている戦艦は20隻ちかくあって。そのほとんどが三笠と同時にピレウスを目指しているようなんです」
「え、他にも残っているのなんてあるの?」
「そういや、ミズーリがハワイで残ってたな……」
「アメリカは、ミズーリを入れて8隻が記念艦で残ってます。中国はレプリカだけど定遠が。それに、戦艦じゃないけど遼寧が出てきています」
リョウネイ?
どうも、樟葉も天音も、こういうことには疎いようだ。オレは説明を加えた。
「ウクライナから買った航空母艦だよ。でも、どうして空母が?」
「現代の戦艦にあたる海軍勢力は空母だって理屈らしいっす」
「そう言いながら、ハリボテの定遠までかよ。なんか矛盾してんな」
「テイエンって?」
「100年以上前の日清戦争で、日本が沈めたドイツ製の中国の戦艦だよ。他にもとんでもないのがありそうだな」
「はい、韓国が独島を、イギリスがヴィクトリーを……」
「ヴィクトリーって、ネルソンが乗ってた帆船か!?」
「一応は、動態保存で、軍籍にも残ってますから。今でも艦長は現役の海軍士官が任命されてます」
「ほかには?」
「なぜだか、ドイツのビスマルクも……?」
「ビスマルク? あれは沈んでるはずだぞ」
「艦体は、わりにしっかりしているようで、海底で原形をとどめていて、船霊がまだ憑りついているんだそうです」
「でも、それだけの船が出てるんなら、心強いじゃないの」
「そうなんですけど……先にピレウスに着いた船の国が、その……新しい地球のヘゲモニーを握りそうなんです」
「え、じゃあ、中国なんかにとられたらたいへんじゃないか」
「で、どうしても三笠が一番にピレウスに着かなきゃならないんです」
「う~ん……そうだ!」
みんなの視線がオレに集まった。
「とにかく朝飯を食おう。腹が減ってちゃいい考えも浮かばないよ」
ようやく、本格的に朝食になった。
朝食は、各自のテーブルの上に、各自の好みに合わせたものが載っていた。おれがガッツリ味噌汁、ごはん、目玉焼きに納豆。樟葉と天音はイングリッシュマフィンとトーストの違いはあったが、パンとスクランブルエッグ、ヨーグルトのセットだった。
「もう一つ夢を見たんですけど……」
オレが納豆飯をかっ込んでいるときに、トシが小さな声で話し出した。
「なんだ、いい夢か、悪い夢か?」
「……それが、よく覚えていないんです」
「どういうことよ?」
天音がオッサンみたくシーハーしながら聞いた。
「なんか、とても緊張して……でも楽しい夢でした」
「トシの楽しいは、なんだかマニアックな感じがするな」
「そんなことないっすよ。ごく一般的に緊張して、楽しいことだったです」
まあ、雲をつかむような話なんで、それっきりになった。
朝食をすますと、取り立ててやることがない。
「なあ、ここは司令長官室だろ?」
天音が指を立てた。悪戯とかを思いついた時の癖で、俺たちも連動したオートマタみたいに首を向けてしまう。
「ああ、三笠で一番のスィートルームだ」
「なら、そこのドアを開けたところはスタンウォークなんじゃないか?」
「「「ああ」」」
「長官専用の展望デッキ、出られるのかなあ」
スタンウォークは帆船時代の名残で、艦尾のいちばん偉い人の部屋の外に付けられたベランダみたいなデッキのことだ。
「立ち入り禁止じゃないの?」
真面目な樟葉が注意する。
「それは、記念艦三笠だろ、これは宇宙戦艦三笠だ」
「でも、そこ開けたら宇宙空間なんじゃ……」
トシも普通にビビってる。
カチャ
「お、開くぞ」
「あ」「ちょ」「え」
言葉を継ごうとしたら、もう、天音は開けてしまった!
「「「「うわああ」」」」
ドアの外は、スタンウォークの手すりがあって、その向こうには広大な海が広がって、長官室は潮の香りでいっぱいになった。
「みんな、来てみろよ!」
さっさと出てしまった天音が感動の声をあげた。
なんで、海が見えるんだ?
出てみると、理屈は分からないけど、見た目には分かった。スタンウォークの艦尾方向120度あまりが大海原で、ボンヤリした境目の外は宇宙空間なんだ。
「CGの一種なんですかねえ?」
「トシは、こういうスペースファンタジー系のゲームが好きだったな」
「はい、『スターパシフィック・6』が出てなかったら、学校に来れてたです!」
トシの不登校はゲームのせいなんかじゃないんだけどな、そう言って気が楽になるなら構わない。
「お、インタフェイスが出てきた」
天音の前に異世界系アニメに出てきそうな仮想インタフェイスが現れた。
「いろいろ設定が変えられるみたいだな」
画面にはロケーション設定があって、宇宙空間、大海原、夜景、富士山頂、シアターとかまで選択肢がいっぱい。
「あ、リアルがある。いい?」
スクロールした末にリアルを発見した樟葉が断りを入れてからタッチした。
シュラララ~ン
切り替わると、正面に地球、その斜め向こうに月が見える。
「やっぱり地球は青いな……」
「微妙に小さくなっていく……」
「だんだん離れていくのね……」
「先輩、泣いてるんすか?」
「うっせえ、そういうトシだって」
「あははは……」
「さ、もう中に入ろうか」
「ああ」
出た時とは逆に俺が先頭で長官室に戻る。
カチャ
ドアを開けてビックリした!
四人の猫耳メイドさんが、朝食の後片付けと掃除をやっていた!
キャ!
ビックリしたのはメイドさんたちもいっしょで、目をまん丸にしている。
その可愛らしさに俺の萌ゲージの針は振りきれてしまいそうになった(#´∀`#)!
☆ 主な登場人物
修一 横須賀国際高校二年 艦長
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