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004: 始まりの草原 始まりの木
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待ての勇者と急ぎの姫騎士
004: 始まりの草原 始まりの木
チチチ ピピピ チュンチュン
小鳥の声で目覚めると草の中。
取りあえず、身体が無事なのを確認する。
確認すると言っても、わずかに体を動かすだけ……あちこち痛い……女神やヒルデと話していた時は気づかなかったが……痛い。
でも、この痛みは、この草原に落ちた時の痛みではないだろう。ろくに準備運動もしないで耐寒マラソンをやらされて、意地になって上位に食い込んだのはいいんだけど、あくる日にあちこち痛くなった高校生の時の、あの時の痛み。
中央通りでセダンに撥ねられた時の痛みがやってきてるんだ。
ということは、落ちたような気はしているけど、これは女神と話していた時の霧の中ではなくて、本格的に…………異世界?
草は腰の高さほどもあって、上体を起こしただけでは周囲の確認はできないだろう。
膝立ちになってみれば、辺りの様子を窺えるんだろう……けれど、物憂い。
異世界転生というのは、望むと望ままざるにかかわらず……いや、知っている限りのアニメやラノベでは望んで転生した奴はいない。それでも、主人公たちは順応力が高くて、始まりの町とかで初期装備を買いそろえギルドに登録して冒険に出ていく。
あれは、相当に行動力が無ければできないことだ。ちょっと、いまの俺には厳しいかもな。
…………体感的には、まだ昼前の感じ。そう急ぐことも無いだろう、女神はレベル1だけども、全てのスキルを持たせてくれている。飢え死に野垂れ死にはしなくても済むだろう。
もう少しだけ、こうしていよう…………。
オーーイ オーーイ
あやうく眠りかけたところ、覚えのある声がして膝立ちした。
オーイ、スグル、ここだここだぁ……
最初に思った通り一面の草原。少し離れたところに神宮の森にでもありそうな巨木が仲間の木を従えて屹立し、そのワッサカした葉の茂みからオレを呼ぶ声がする。
逆光で、少し見にくかったが、小手をかざし目を細めてみると、茂みの中ほど、ヨガを思わせるような姿勢で枝に絡まっているヒルデが見えた。
「え、なんで……?」
「木の真上に落ちてしまったんだ。甲冑のあちこちが枝に引っかかって下りるに下りられぬ。悪いが手を貸してくれぬか!」
「ああ、ちょっと待って!」
木の根元に走ると靴と靴下を脱いで、まずは隣の低い木に登ってから巨木の枝に移り、足場を稼ぎながらヒルデに近づく。
「すまん、この肩鎧を……」
「少し上げて……こっちにやって、胴の下側を……」
「そうだ、そんな感じだ」
甲冑に触れてビックリした。よくできたコスだとは思っていたけど、所詮はコスプレ衣装、硬質プラスチックかせいぜいアルミ製だと思っていた。
「手が自由になった、前の胴を外す……」
「あ、オレが持つよ」
カチャ
「おお!?」
外した胴を受け止めると、予想していたよりも5キロ以上は重い。鉄板の厚みもすごく、そう、こいつは紛れもなく鋼鉄。まるで戦車の装甲板だ!
「オリハルコンの玉鋼でできている。そのまま落としてくれればいい」
ガチャガチャ!
胴鎧と肩鎧を下に落として、いよいよ、ヒルデ自身を下ろす。
「こっちの腕が外れれば……すまん、少し支えてくれ」
「分かった……!?」
グニュ
「ご、ごめん(;'∀'#)」
「かまわん、わざとじゃないのだからな」
「も、もちろん!」
手の位置を変えて腋の下、腹筋のあたり、自分自身も少し下がって太もものあたりを支えて、ヒルデの足が下の枝を確保するまで介助する。
最初に触れたところは「触っていいですよ、先輩」と言われて触れたそれのようだったし、腹筋や太ももは女子レスリングかと思うほどに鍛えられて、それに……いや(^_^;)、なんというか、本物のブリュンヒルデ。
「あ、オレが先に下りて……」
「いや、この高さなら……セイ!」
クルン ズチャ!
まだ5メートルはあるだろう高さから、一回転して飛び降りた!
「スグル、おまえも飛び降りろ!」
「いや、オレは……」
「だいじょうぶ、受け止めてやるからぁ!」
「い、いや……」
ボキ!
「うわぁぁぁ(≧◇≦)!」
ガシ!
慣れた手つき、身のこなしで受け止めてくれ、オレはほとんど確信した。
こいつは、本物のブリュンヒルデ……控え目に考えても、真正の戦乙女だ!
☆彡 主な登場人物
・鈴木 秀(すずきすぐる) 三十路目前のフリーター
・ブリュンヒルデ ブァルキリーの戦乙女
・女神 異世界転生の境に立つ正体不明の女神
・秀の友人たち アキ 田中
004: 始まりの草原 始まりの木
チチチ ピピピ チュンチュン
小鳥の声で目覚めると草の中。
取りあえず、身体が無事なのを確認する。
確認すると言っても、わずかに体を動かすだけ……あちこち痛い……女神やヒルデと話していた時は気づかなかったが……痛い。
でも、この痛みは、この草原に落ちた時の痛みではないだろう。ろくに準備運動もしないで耐寒マラソンをやらされて、意地になって上位に食い込んだのはいいんだけど、あくる日にあちこち痛くなった高校生の時の、あの時の痛み。
中央通りでセダンに撥ねられた時の痛みがやってきてるんだ。
ということは、落ちたような気はしているけど、これは女神と話していた時の霧の中ではなくて、本格的に…………異世界?
草は腰の高さほどもあって、上体を起こしただけでは周囲の確認はできないだろう。
膝立ちになってみれば、辺りの様子を窺えるんだろう……けれど、物憂い。
異世界転生というのは、望むと望ままざるにかかわらず……いや、知っている限りのアニメやラノベでは望んで転生した奴はいない。それでも、主人公たちは順応力が高くて、始まりの町とかで初期装備を買いそろえギルドに登録して冒険に出ていく。
あれは、相当に行動力が無ければできないことだ。ちょっと、いまの俺には厳しいかもな。
…………体感的には、まだ昼前の感じ。そう急ぐことも無いだろう、女神はレベル1だけども、全てのスキルを持たせてくれている。飢え死に野垂れ死にはしなくても済むだろう。
もう少しだけ、こうしていよう…………。
オーーイ オーーイ
あやうく眠りかけたところ、覚えのある声がして膝立ちした。
オーイ、スグル、ここだここだぁ……
最初に思った通り一面の草原。少し離れたところに神宮の森にでもありそうな巨木が仲間の木を従えて屹立し、そのワッサカした葉の茂みからオレを呼ぶ声がする。
逆光で、少し見にくかったが、小手をかざし目を細めてみると、茂みの中ほど、ヨガを思わせるような姿勢で枝に絡まっているヒルデが見えた。
「え、なんで……?」
「木の真上に落ちてしまったんだ。甲冑のあちこちが枝に引っかかって下りるに下りられぬ。悪いが手を貸してくれぬか!」
「ああ、ちょっと待って!」
木の根元に走ると靴と靴下を脱いで、まずは隣の低い木に登ってから巨木の枝に移り、足場を稼ぎながらヒルデに近づく。
「すまん、この肩鎧を……」
「少し上げて……こっちにやって、胴の下側を……」
「そうだ、そんな感じだ」
甲冑に触れてビックリした。よくできたコスだとは思っていたけど、所詮はコスプレ衣装、硬質プラスチックかせいぜいアルミ製だと思っていた。
「手が自由になった、前の胴を外す……」
「あ、オレが持つよ」
カチャ
「おお!?」
外した胴を受け止めると、予想していたよりも5キロ以上は重い。鉄板の厚みもすごく、そう、こいつは紛れもなく鋼鉄。まるで戦車の装甲板だ!
「オリハルコンの玉鋼でできている。そのまま落としてくれればいい」
ガチャガチャ!
胴鎧と肩鎧を下に落として、いよいよ、ヒルデ自身を下ろす。
「こっちの腕が外れれば……すまん、少し支えてくれ」
「分かった……!?」
グニュ
「ご、ごめん(;'∀'#)」
「かまわん、わざとじゃないのだからな」
「も、もちろん!」
手の位置を変えて腋の下、腹筋のあたり、自分自身も少し下がって太もものあたりを支えて、ヒルデの足が下の枝を確保するまで介助する。
最初に触れたところは「触っていいですよ、先輩」と言われて触れたそれのようだったし、腹筋や太ももは女子レスリングかと思うほどに鍛えられて、それに……いや(^_^;)、なんというか、本物のブリュンヒルデ。
「あ、オレが先に下りて……」
「いや、この高さなら……セイ!」
クルン ズチャ!
まだ5メートルはあるだろう高さから、一回転して飛び降りた!
「スグル、おまえも飛び降りろ!」
「いや、オレは……」
「だいじょうぶ、受け止めてやるからぁ!」
「い、いや……」
ボキ!
「うわぁぁぁ(≧◇≦)!」
ガシ!
慣れた手つき、身のこなしで受け止めてくれ、オレはほとんど確信した。
こいつは、本物のブリュンヒルデ……控え目に考えても、真正の戦乙女だ!
☆彡 主な登場人物
・鈴木 秀(すずきすぐる) 三十路目前のフリーター
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