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017:勇者の墓・2 勇者フンメル
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待ての勇者と急ぎの姫騎士
017:勇者の墓・2 勇者フンメル
「僕の墓をきれいにしてくれたのかい?」
声に振り返ると、子どもぐらいの背丈の爺さんが立っている。
煮干しを人間にしたらこんな感じだろう、ほとんどミイラ。意表を突かれて、瞬間声も出ない。
「アンデッド……いや、この墓の主なのか?」
ようやくヒルデが穏やかに尋ねる。
「ああ、そうだよ。めったに訪れる者もいないけどね」
「あの、勝手に触ってすみませんでした。墓碑銘が読めなかったものですから」
エマが恐縮して頭を下げる。
「墓碑銘を読みたかったのは、ボクなんだ。あ、ボクは勇者スグル。こちらは、戦乙女のブリュンヒルデとメイドのエマだ」
「うんうん、ぜんぜん構わないよ」
それでも、軽くカーテーシでお辞儀するエマ。行き届いたメイドだ。
「ところで、あなたは、勇者〇ンメルなのか?」
「あぁ……ちょっとちがう。勇者フンメル……ここね……擦り切れちゃってるけど、I(アイ)じゃなくてUなの」
「〇ンメルなら、空とか天国という意味だが、フンメルは……たしか、マルハナバチだぞ」
ヒルデはドイツ語にも詳しいみたいだ。さすが北欧の戦乙女。
「うん、ちっちゃくてずんぐりしてて可愛い。まぁ、よくある名前だけどね」
「ボクたちは、北に向かって旅の途中なんだけど、北門が封鎖されていてね、西門から迂回して、とりあえずズィッヒャー川まで行くところなんだ」
「ああ、それで、この墓地と森に阻まれているところなんだね」
「通れるとは思うんだけどね、あまり時間がかかたら日のあるうちに川を渡れなくなってしまうからね」
「この森は抜けられないよ」
え?
たしかに鬱陶しい森だが、ボクらのスキルなら問題ないはずだ。
「この森には呪いがかかっているんだ」
「「「呪い!?」」」
「うん。僕は、魔王を倒しちゃったからね。その配下とか生き残った眷属たちが、ここを狙ってくるんだよ。それで、パーティーの魔法使いがね、北の方からは誰も来られないように呪いをかけちゃった」
よせつけないためなら、結界だろう。
「そう、最初は結界だったんだけどね。アップデート繰り返してるうちに呪いっぽくなっちゃって。今じゃ、森どころか、この墓地に踏み込む者も稀になっちゃってね」
「「「ああ……(-_-;)」」」
「きみたち、もし、魔王城まで行くんだったらさ。その魔法使い、カルマっていうエルフなんだけどね、もし、生きて会えるようなら、この呪いを解いてくれるように言ってくれないか?」
「えと……どんなエルフなんですか?」
言葉が丁寧になってくる。営業で周っていると、お年寄りの守衛さんとかには、こういう具合になってしまう(^_^;)。
「こんな感じ」
フンメルが指を振ると、あの魔法使いによく似たツィンテールの3D映像が浮かび上がる。
「まあ、かわいい(^▽^)」
「昔の画像だからね、この通りじゃないかもしれないけどね」
「エルフは歳をとらないんじゃないんですか?」
「……もう一万年もたつからねえ」
「「「一万年(@_@)!?」」」
「さすがに、歳をとってる……か、あるいは、もう亡くなっているかもしれないけどね……まあ、生きていたらってことで」
「ふうむ……」
「なんだい、ブァルキリーの戦乙女?」
「結界を解いてしまったら、その……フンメル殿も危ういのではないのか?」
「さあ……でも、変化が無いよりは百倍マシな気がするんでね。あ、もし、そうなったら、ここで、シェイクスピアのハムレットとかやってもらおうと思うんだ」
「ハムレット?」
「うん、第五幕、ラストシーン。よかったら、通し狂言で全編やってもらいたいんだけど、ま、それで長すぎた勇者の物語も千秋楽ってことでさ」
「分かった、姿形は変わろうともオーラは変わらんだろうからな、目に焼き付けておく」
ヒルデは目に焼き付け、エマはメモ帳に特徴を書き留め、オレは写真を撮った。
「さて、それじゃ、そろそろお暇します。勇者フンメル」
「だな、残念だが、今夜は街でもう一泊だな。クエストを二三件こなせば、レベルも上がるだろう」
「僕が送ってあげよう、ズィッヒャー川までは僕のテリトリーだからね」
「「「え!?」」」
「そうなんですか……(^_^;)」
「うん、ちょっと目をつぶって」
フワ……
言われた通り目をつぶると、一瞬、風が吹いて体が浮いた。
☆彡 主な登場人物
・鈴木 秀(すずきすぐる) 三十路目前のフリーター
・ブリュンヒルデ ブァルキリーの戦乙女
・エマ バンシーのメイド
・女神 異世界転生の境に立つ正体不明の女神
・ハンス・バウマン ズィッヒャーブルグのギルドマスター
・フンメル 西の墓地に葬られている一万年前の勇者
・カルマ フンメルとパーティーを組んでいたエルフの魔法使い
・秀の友人たち アキ 田中
017:勇者の墓・2 勇者フンメル
「僕の墓をきれいにしてくれたのかい?」
声に振り返ると、子どもぐらいの背丈の爺さんが立っている。
煮干しを人間にしたらこんな感じだろう、ほとんどミイラ。意表を突かれて、瞬間声も出ない。
「アンデッド……いや、この墓の主なのか?」
ようやくヒルデが穏やかに尋ねる。
「ああ、そうだよ。めったに訪れる者もいないけどね」
「あの、勝手に触ってすみませんでした。墓碑銘が読めなかったものですから」
エマが恐縮して頭を下げる。
「墓碑銘を読みたかったのは、ボクなんだ。あ、ボクは勇者スグル。こちらは、戦乙女のブリュンヒルデとメイドのエマだ」
「うんうん、ぜんぜん構わないよ」
それでも、軽くカーテーシでお辞儀するエマ。行き届いたメイドだ。
「ところで、あなたは、勇者〇ンメルなのか?」
「あぁ……ちょっとちがう。勇者フンメル……ここね……擦り切れちゃってるけど、I(アイ)じゃなくてUなの」
「〇ンメルなら、空とか天国という意味だが、フンメルは……たしか、マルハナバチだぞ」
ヒルデはドイツ語にも詳しいみたいだ。さすが北欧の戦乙女。
「うん、ちっちゃくてずんぐりしてて可愛い。まぁ、よくある名前だけどね」
「ボクたちは、北に向かって旅の途中なんだけど、北門が封鎖されていてね、西門から迂回して、とりあえずズィッヒャー川まで行くところなんだ」
「ああ、それで、この墓地と森に阻まれているところなんだね」
「通れるとは思うんだけどね、あまり時間がかかたら日のあるうちに川を渡れなくなってしまうからね」
「この森は抜けられないよ」
え?
たしかに鬱陶しい森だが、ボクらのスキルなら問題ないはずだ。
「この森には呪いがかかっているんだ」
「「「呪い!?」」」
「うん。僕は、魔王を倒しちゃったからね。その配下とか生き残った眷属たちが、ここを狙ってくるんだよ。それで、パーティーの魔法使いがね、北の方からは誰も来られないように呪いをかけちゃった」
よせつけないためなら、結界だろう。
「そう、最初は結界だったんだけどね。アップデート繰り返してるうちに呪いっぽくなっちゃって。今じゃ、森どころか、この墓地に踏み込む者も稀になっちゃってね」
「「「ああ……(-_-;)」」」
「きみたち、もし、魔王城まで行くんだったらさ。その魔法使い、カルマっていうエルフなんだけどね、もし、生きて会えるようなら、この呪いを解いてくれるように言ってくれないか?」
「えと……どんなエルフなんですか?」
言葉が丁寧になってくる。営業で周っていると、お年寄りの守衛さんとかには、こういう具合になってしまう(^_^;)。
「こんな感じ」
フンメルが指を振ると、あの魔法使いによく似たツィンテールの3D映像が浮かび上がる。
「まあ、かわいい(^▽^)」
「昔の画像だからね、この通りじゃないかもしれないけどね」
「エルフは歳をとらないんじゃないんですか?」
「……もう一万年もたつからねえ」
「「「一万年(@_@)!?」」」
「さすがに、歳をとってる……か、あるいは、もう亡くなっているかもしれないけどね……まあ、生きていたらってことで」
「ふうむ……」
「なんだい、ブァルキリーの戦乙女?」
「結界を解いてしまったら、その……フンメル殿も危ういのではないのか?」
「さあ……でも、変化が無いよりは百倍マシな気がするんでね。あ、もし、そうなったら、ここで、シェイクスピアのハムレットとかやってもらおうと思うんだ」
「ハムレット?」
「うん、第五幕、ラストシーン。よかったら、通し狂言で全編やってもらいたいんだけど、ま、それで長すぎた勇者の物語も千秋楽ってことでさ」
「分かった、姿形は変わろうともオーラは変わらんだろうからな、目に焼き付けておく」
ヒルデは目に焼き付け、エマはメモ帳に特徴を書き留め、オレは写真を撮った。
「さて、それじゃ、そろそろお暇します。勇者フンメル」
「だな、残念だが、今夜は街でもう一泊だな。クエストを二三件こなせば、レベルも上がるだろう」
「僕が送ってあげよう、ズィッヒャー川までは僕のテリトリーだからね」
「「「え!?」」」
「そうなんですか……(^_^;)」
「うん、ちょっと目をつぶって」
フワ……
言われた通り目をつぶると、一瞬、風が吹いて体が浮いた。
☆彡 主な登場人物
・鈴木 秀(すずきすぐる) 三十路目前のフリーター
・ブリュンヒルデ ブァルキリーの戦乙女
・エマ バンシーのメイド
・女神 異世界転生の境に立つ正体不明の女神
・ハンス・バウマン ズィッヒャーブルグのギルドマスター
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