ここは世田谷豪徳寺

武者走走九郎or大橋むつお

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74『領海線上の大捕り物』

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ここは世田谷豪徳寺 (三訂版)

第74話《領海線上の大捕り物》惣一 





 吉本艦隊が回頭運動を終えて巡視船らと交代したときには、領海まで1・5海里に接近していた。


「状況報告」

 艦長は、小学生に窓から見える空模様を聞くように確認した。

「警告は10回目。揚陸艦は相変わらず漁船群に帰港を促しています」

「なんや、パペットの人形劇みたいやなあ」

 俺は、またミニライブを思い出した。

 俺は見ていないがロボットを相手に演奏したり芝居をするというものだった。あれに似ている。あらかじめプログラムされたロボットの台詞や動きに人の役者が合わせて、あたかも人間同士のように見せるもので、見世物としては面白かったらしく、妹たちはグッズを買って喜んでいた。

「やしま、放水を始めました」

「セオリー通りやなあ」

 やしまには漁船がドローンであることは伝達してある。いわばロボットなのだから警告も放水による妨害も無意味なのだが、ドローン相手の対応規定が無いので有人船に対するのと同じになってしまう。ロボット芝居のように滑稽だ。

 これは有害漂流物同様なのだから撃沈しても構わない、やしまには40ミリ、あわしま・みしまには30ミリの機関砲が付いている。

 やしまは発砲する代わりに、ブリッジ横の電光掲示板に『領海侵入の恐れあり進路変更してください』をC国語で繰り返し、同じことを大音量のスピーカーで流している。

 そうこうしているうちに限界を超えた。

「領海に入りました」

「あわしま・みしま漁船を挟みます」

 小型の二隻は、漁船群の両脇に周って距離を縮める。

「ちょっとだけ本気になったかなぁ……」

 先頭の漁船をあわしま・みしまで挟んで、物理的に停船させる。

 連携が取れないと大事故に繋がりかねない難しい阻止行動だ。

 ガツン

 接触の音はたかやすのブリッジに居ても聞こえた。

「うまいことやりよったみたいやなあ」

 普通の漁船なら、これで降参だ。

 巡視船は電光掲示板とスピーカーで停船を命じ、大勢が出てきて、漁船めがけてロープを投げている。まだロボット芝居に付き合うつもりのようだ。

「巡視船に離れろて言……」

 ドン!

 艦長が叫んだ次の瞬間、漁船は爆発した!

 大爆発では無いが、機関室あたりのハッチが吹き飛び、吸気口から猛烈な炎と煙が立ち始めた。火はみるみるうちに船体を覆いつくし、巡視船はロープを断ち切って離れていく。

 C国艦たちは微速で領海の縁に留まっている。艦同士発光信号を盛んにしているが内容までは分からない。

「他のやつを捕まえるぞ!」

 たかやすは後続の漁船に近づき、手すきの者が甲板に出た。

「衝撃を加えると爆発の恐れがある、ぜったい艦には接触させるな! スクリューと舵を殺してしまえ!」

 俺は、とっさに消火用のホースを掴まえると、ノズルの方をブンブン回してから漁船の船尾に向けて投げた!

 ガクン!

 手応えがあって、漁船は急速に速力を失っていった。

 

☆彡 主な登場人物

佐倉  さくら       帝都女学院高校1年生
佐倉  さつき       さくらの姉
佐倉  惣次郎       さくらの父
佐倉  由紀子       さくらの母 ペンネーム釈迦堂一葉(しゃかどういちは)
佐倉  惣一        さくらとさつきの兄 海上自衛隊員
佐久間 まくさ       さくらのクラスメート
山口  えりな       さくらのクラスメート バレー部のセッター
米井  由美        さくらのクラスメート 委員長
白石  優奈        帝都の同学年生 自分を八百比丘尼の生まれ変わりだと思っている
原   鈴奈        帝都の二年生 おもいろタンポポのメンバー
坂東 はるか        さくらの先輩女優
氷室  聡子        さつきのバイト仲間の女子高生 サトちゃん
秋元            さつきのバイト仲間
四ノ宮 忠八        道路工事のガードマン
四ノ宮 篤子        忠八の妹
明菜            惣一の女友達
香取            北町警察の巡査
クロウド          Claude Leotard  陸自隊員 
 
 
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