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本編93
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シャンシャンと金属の音をさせながら荒い息遣いとつい今朝方まで聞いた肉のぶつかる音がしている。
中でなにが行われているのか、分かりきっている。早く閉めなければと思いながら、ソーマは身体が動かなかった。
「コルネリウス……ぁっ」
「まだ達かせはしないっ! まだ私の怒りは治まっていないんだ」
「ぁぁっ……分かってる、から……ぁぁぁっ」
ユリウスとコルネリウスの交情だ。音だけでもその激しさがわかる程に二人は交わり、苦しそうなユリウスの喘ぎは、かなりの時間が経っていることを物語っている。
ねっとりとした隠微な空気が、薄く開けた扉の向こうに広がり、流れ出してきそうだ。
誰かの交情を初めて目の当たりにしたソーマは、音を聞いているだけなのに身体の奥が熱くなるのを感じた。
(父さんたち、してるんだ……)
ショックだった。両親がしているところなんて、前世でだって目の当たりにしたことはない。いや、自分以外のなんて、本の中でしか知らない。
これほどに生々しく、淫猥なものなのか。
だか、漏れ聞こえてくる言葉はとても愛し合う二人のものではなかった。
一方的に責めるコルネリウスに、ただただ許しを乞うユリウスの言葉が続いている。
(父さん、なにかしたの?)
ユリウスが悲痛な喘ぎを漏らすたびに金属音がしている。
(まさか、SM? でもなんか違う)
違和感を覚えながらも、ソーマは淫らな音に体温がどんどん上がっていく。
これ以上はダメだと思いながら、ゆっくりと、気づかれないように扉を閉めた。
初めて垣間見た濃厚な交情に、ソーマの分身は形を変えてしまった。
早く部屋に戻ろう。
扉をいくつか開けようやく見つけた自分用の寝台に潜り込むと、ギュッと身体を丸めた。
散々ゲオルクとしたのに、もうなにも出ないほどに犯されたのに、それでも熱くなった身体は分身へと熱を貯めていく。
あの苦しそうな声はなんだったのだろう。
ユリウスだけではない、犯してるはずのコルネリウスまでもが、喉から絞り出すような、苦しく悲しい声をしていた。二人の間になにがあったのだろう。不安と熱に、そこからソーマはなかなか寝付くことが出来ず、そうなるとずっと逃げていたことに向き合うしかなかった。
この世界に逃避のための道具がなさすぎる。前世だったらアニメやゲームをして自分の気持ちと向き合わないようにしていたこの時間、灯りすら淡く光るのみの世界ではどうしようもない。
「僕、どうしたいんだろう」
ゲオルクとザームエルの二人にどう向き合えばいいのかが分からない。
なぜ自分はこんな状態になってしまったのだろう。
(僕が望んだんだ……最低)
よくある萌え系アニメで主人公を複数の女性が取り合うシチュエーションに憧れて願ったからだ。あんな風に求められたら幸せだと。
どの子と結ばれるか悩む主人公の幸せすぎる悩みを味わいたいと思った、軽い気持ちで。
実際その立場になってどうだろう。
なにも楽しくない。
むしろ辛いだけだ。
自分を好きだと言う二人の顔が交互に浮かび、心が揺れてしまう。
幼い頃から一緒のゲオルク、今まで知らなかった甘い世界を作り出すザームエル。
どちらかを選ばなければならないのだろうか。
でも思い浮かぶのは、ソーマに対して苦しそうな悲しそうな顔だ。
中でなにが行われているのか、分かりきっている。早く閉めなければと思いながら、ソーマは身体が動かなかった。
「コルネリウス……ぁっ」
「まだ達かせはしないっ! まだ私の怒りは治まっていないんだ」
「ぁぁっ……分かってる、から……ぁぁぁっ」
ユリウスとコルネリウスの交情だ。音だけでもその激しさがわかる程に二人は交わり、苦しそうなユリウスの喘ぎは、かなりの時間が経っていることを物語っている。
ねっとりとした隠微な空気が、薄く開けた扉の向こうに広がり、流れ出してきそうだ。
誰かの交情を初めて目の当たりにしたソーマは、音を聞いているだけなのに身体の奥が熱くなるのを感じた。
(父さんたち、してるんだ……)
ショックだった。両親がしているところなんて、前世でだって目の当たりにしたことはない。いや、自分以外のなんて、本の中でしか知らない。
これほどに生々しく、淫猥なものなのか。
だか、漏れ聞こえてくる言葉はとても愛し合う二人のものではなかった。
一方的に責めるコルネリウスに、ただただ許しを乞うユリウスの言葉が続いている。
(父さん、なにかしたの?)
ユリウスが悲痛な喘ぎを漏らすたびに金属音がしている。
(まさか、SM? でもなんか違う)
違和感を覚えながらも、ソーマは淫らな音に体温がどんどん上がっていく。
これ以上はダメだと思いながら、ゆっくりと、気づかれないように扉を閉めた。
初めて垣間見た濃厚な交情に、ソーマの分身は形を変えてしまった。
早く部屋に戻ろう。
扉をいくつか開けようやく見つけた自分用の寝台に潜り込むと、ギュッと身体を丸めた。
散々ゲオルクとしたのに、もうなにも出ないほどに犯されたのに、それでも熱くなった身体は分身へと熱を貯めていく。
あの苦しそうな声はなんだったのだろう。
ユリウスだけではない、犯してるはずのコルネリウスまでもが、喉から絞り出すような、苦しく悲しい声をしていた。二人の間になにがあったのだろう。不安と熱に、そこからソーマはなかなか寝付くことが出来ず、そうなるとずっと逃げていたことに向き合うしかなかった。
この世界に逃避のための道具がなさすぎる。前世だったらアニメやゲームをして自分の気持ちと向き合わないようにしていたこの時間、灯りすら淡く光るのみの世界ではどうしようもない。
「僕、どうしたいんだろう」
ゲオルクとザームエルの二人にどう向き合えばいいのかが分からない。
なぜ自分はこんな状態になってしまったのだろう。
(僕が望んだんだ……最低)
よくある萌え系アニメで主人公を複数の女性が取り合うシチュエーションに憧れて願ったからだ。あんな風に求められたら幸せだと。
どの子と結ばれるか悩む主人公の幸せすぎる悩みを味わいたいと思った、軽い気持ちで。
実際その立場になってどうだろう。
なにも楽しくない。
むしろ辛いだけだ。
自分を好きだと言う二人の顔が交互に浮かび、心が揺れてしまう。
幼い頃から一緒のゲオルク、今まで知らなかった甘い世界を作り出すザームエル。
どちらかを選ばなければならないのだろうか。
でも思い浮かぶのは、ソーマに対して苦しそうな悲しそうな顔だ。
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