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本編1
06.ぎこちない日常04
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我慢が過ぎた結果が先の入院だとわかっていても、根っこまで行き渡った考えを早々に覆すことはできない。
耀一郞が用意してくれたことがとても嬉しくて、感謝しかない。ベッドも寝心地がいいし、ふわふわの羽毛布団は軽いのに本当に暖かい。
実家の自分の部屋とは比べものにならないくらいの環境は、贅沢すぎて少し気が引けるが、あまりにも快適で……だから余計に離婚されて実家に帰るのが怖くなる。
「そうですか、良かったですね。こんなに寒いと風邪を引きますからね。僕は雪が多い地域で生まれ育ったので、子供の頃はよく雪遊びをした後に風邪を引きました。雪遊び、したことはありますか?」
「都内はあまり雪が降らないから……でも昔、小学校の頃かな、一回だけ……」
そうして昔の話を始めると、安井は笑顔で頷きながら聞き始めるのだ。細めた目の奥が鋭くなるのを、樟が気付くことはなかった。
どさりと皮椅子の背もたれに身体を預け、眉間を揉む。
今日も今日とて多忙だ。
耀一郞はなんとか週末と終業後の時間を確保するために、会社にいる時間はずっと休みなく働いて、六時が過ぎた今になって疲労が一気に襲ってきた。目を閉じればじんわりと眼窩が熱くなるのを感じる。
「今日は一段と集中されてますね」
秘書がすかさずコーヒーが入ったカップをデスクに置く。
「ありがとうございます。濃いコーヒーは助かります」
「いえ。樟様が無事退院されてようございました。まだ病み上がりでしょうから社長が気になるのも致し方ありません」
にこやかに笑い、どうにかこうにか樟の情報を引き出そうとしている。
(どうせ父の命令だろう。あいつはオメガに目がないからな)
家に連れてこいとせっついているのをのらりくらりと躱し、けれど絶対に樟には会わせないと決意を固くする。
入院も退院も、固辞するのに好都合な理由だった。
だが秘書が樟の話を持ち出すたびに耀一郞は落ち着かなくなる。胸の奥がざわめいて、奥底が激しく揺すぶられるのを感じる。
罪悪感。
自己嫌悪。
きっとそんなものだろう。
「今日も早く帰ります。申し訳ありませんが、あと一時間は付き合ってください」
「どのような書類をお持ちしましょうか」
年末商戦が終われば次にやってくるのが四半期決算書の作成と最終決算期のためのバーゲンに向けた最終調整だ。各家電量販店やネット通販会社との調整は終わったはずだが、報告が上がっていない部門があり、それを待っている。
「営業三課と五課に資料の催促を」
その時、ポケットに入った電話が振動を始めた。
秘書は耀一郞に一つ頷くと、変わらない笑顔で営業部に向かうため、退室をした。扉がしっかりと閉まるのを待って電話を取る。
「どうした」
『やはり件の部品が故障の原因でした。こちらの実証実験でも同様のエラーを確認しました』
「そうか……」
耀一郞はまた眉間を揉んだ。11月から原因不明の不具合が出ているとクレームが上がっている商品があり、カスタマーから報告を受けた段階で嫌な予感を抱き、秘かに原因の究明を行っていた。
『いかがなさいましょうか』
「同じチップを使っている商品すべての調査を頼む。各工場に製造のストップをかけ、すぐに小池電機の製品と交換だ。話は付けてある。絶対に出荷を途切れさせるな」
『かしこまりました』
電話を切ると深い溜め息を吐き出した。
(なぜこのタイミングで……)
苛立ちを覚えて机を殴った。重厚なオークのデスクは振動を受け止め、何事もなかったように静かになる。
耀一郞はすぐさま携帯に登録してある番号にかけた。三コールで相手は電話に出た。
『これはこれは小野社長』
マイク越しにもニヤけた顔が一層だらしなく脂下がっているのが手に取るようにわかる声に眉間の皺を深くした。
「年末にお願いしましたこと、どうなってますか」
『私に似た優秀な長男に任せてますので大丈夫ですよ。御社には色々とお世話になっておりますので、そこはお任せ下さい』
また始まった。根拠のない長男自慢。なによりも「大丈夫だ問題ない」を繰り返す口に砂を詰めて塞ぎたくなる。このままでは……。最悪のシナリオを頭に浮かべ、それも致し方ないと経営者の目線で判断を下す。
多少コストは上がるが、このまま任せてクレームを量産するわけにはいかない。今はまだ日に一件の割合だが、これから上がっていくだろう。その前に……。
損害賠償の概算を頭で弾く。
『ところであれはご迷惑をおかけしてませんよね』
「どういう意味だ」
不穏な言葉に低い声が出る。
『いや……あれがご迷惑を掛けているのであれば、こちらで躾けなければと思いましてですね……いやいや、ははは』
耀一郞の反応が想像と異なったのか、次第に誤魔化し始める。
光る頭皮に今頃汗を浮かべていることだろう。
躾け直しとはどういう意味だ。
――俺がここで仕事を始めてから見た、一番酷い虐待の跡だ。
井ノ瀬の言葉が頭に蘇る。
医師で第二性専門医として様々な症例を見ている彼ですら目を覆いたくなるような虐待を、再びあの細い身体にするつもりなのか。
――いいじゃないか、オメガなんか。どうせ頃合いが来たら捨てるつもりだったんだろう。
どこかから声がする。蔑む言葉は電話相手の声と重なり、次第に音が変わり自分の声になる。
(そうだ、少し前まで私が考えていたことだ)
樟が入院するまで、その考えが当たり前だった。
劣等種なんだから目の前に現れるなと怒声を浴びせても問題ない人種だと決めつけていた。
いつから考えが変わったのか。
グッと奥歯を噛み締め、電話の相手に怒りをぶつけようとして自分を抑えた。
「大事な仕事の話だ、茶化さないでいただきたい。きちんと規格通りの製品を納入してください。でなければこれから先の取引は考えさせてもらう」
すぐに電話を切れば、今までの疲労と相まってどっと疲れが身体にのしかかる。
もう一度背もたれに身体を預け、目を閉じた。
考えることが多すぎる。
すべてを放棄したい瞬間はいつだって耀一郞を弱気にさせる。だがここで踏みとどまらなければ、小野電機工業が抱えている何万もの従業員とその家族の生活に関わる。
「どうしろと言うんだ……」
今日も帰ってあいつがちゃんと食事をしているかを監視しなければ。それだけではない、病院でどのような話をしたかを聞き出して……。プライベートでもやることは多く耀一郞を疲弊させた。
退院の日、迎えに行ったときの樟の顔を思い出す。
自分の声に振り向いた瞬間の樟は……耀一郞の知らない顔をしていた。頭の中にあったのとは違う顔をしていたのだ。
小さな顔には胡桃型の黒目の大きな目が配され、小ぶりな鼻と同じく小さな唇がチョコンと乗り、目を伏せると長い睫毛が影を作る。精巧な人形のような容姿は中性的で、僅かに上向きの唇は赤く、紅を刺したかのようだ。
自分が知っている……いや、こうだと思い込んでいる顔とは似ても似つかないものだった。
これが自分の配偶者なのかと驚き、全体の線の細さに驚愕した。
半年も一緒に住んでいるはずなのに、初めて会った人物のように思えたあの瞬間、耀一郞の中で知らない衝動が湧きあがった。
――閉じ込めろ。
命令する声はなんだったのか。
怯えて揺らぐ目、僅か後ろを無言で付いてくる様や俯く時に醸し出される儚さは、アルファやベータからは想像もできないほどの幽玄さと儚さを纏っていた。
僅かでも触れたら毀れてしまいそうで、怖くて指先を向けることができない。声をかけて僅かに微笑まれると胸が苦しくなる。
この感情をなんと表するのか、耀一郞にはわからなかった。
「井ノ瀬との約束だ……気に掛けているのはそれだけだ」
樟が作るご飯は美味しく、彼との食事は不快ではなかった。
それだけだ。
自分に言い聞かせて、眼球に力を入れて涙を強制的に出させる。
樟を気に掛けるのは、これ以上井ノ瀬を失望させたくないからだ。それが言い訳だと気付かず、耀一郞は怜悧な目を開くと、再びパソコンに向き合い、速いスピードでキーボードを打ち始めた。
耀一郞が用意してくれたことがとても嬉しくて、感謝しかない。ベッドも寝心地がいいし、ふわふわの羽毛布団は軽いのに本当に暖かい。
実家の自分の部屋とは比べものにならないくらいの環境は、贅沢すぎて少し気が引けるが、あまりにも快適で……だから余計に離婚されて実家に帰るのが怖くなる。
「そうですか、良かったですね。こんなに寒いと風邪を引きますからね。僕は雪が多い地域で生まれ育ったので、子供の頃はよく雪遊びをした後に風邪を引きました。雪遊び、したことはありますか?」
「都内はあまり雪が降らないから……でも昔、小学校の頃かな、一回だけ……」
そうして昔の話を始めると、安井は笑顔で頷きながら聞き始めるのだ。細めた目の奥が鋭くなるのを、樟が気付くことはなかった。
どさりと皮椅子の背もたれに身体を預け、眉間を揉む。
今日も今日とて多忙だ。
耀一郞はなんとか週末と終業後の時間を確保するために、会社にいる時間はずっと休みなく働いて、六時が過ぎた今になって疲労が一気に襲ってきた。目を閉じればじんわりと眼窩が熱くなるのを感じる。
「今日は一段と集中されてますね」
秘書がすかさずコーヒーが入ったカップをデスクに置く。
「ありがとうございます。濃いコーヒーは助かります」
「いえ。樟様が無事退院されてようございました。まだ病み上がりでしょうから社長が気になるのも致し方ありません」
にこやかに笑い、どうにかこうにか樟の情報を引き出そうとしている。
(どうせ父の命令だろう。あいつはオメガに目がないからな)
家に連れてこいとせっついているのをのらりくらりと躱し、けれど絶対に樟には会わせないと決意を固くする。
入院も退院も、固辞するのに好都合な理由だった。
だが秘書が樟の話を持ち出すたびに耀一郞は落ち着かなくなる。胸の奥がざわめいて、奥底が激しく揺すぶられるのを感じる。
罪悪感。
自己嫌悪。
きっとそんなものだろう。
「今日も早く帰ります。申し訳ありませんが、あと一時間は付き合ってください」
「どのような書類をお持ちしましょうか」
年末商戦が終われば次にやってくるのが四半期決算書の作成と最終決算期のためのバーゲンに向けた最終調整だ。各家電量販店やネット通販会社との調整は終わったはずだが、報告が上がっていない部門があり、それを待っている。
「営業三課と五課に資料の催促を」
その時、ポケットに入った電話が振動を始めた。
秘書は耀一郞に一つ頷くと、変わらない笑顔で営業部に向かうため、退室をした。扉がしっかりと閉まるのを待って電話を取る。
「どうした」
『やはり件の部品が故障の原因でした。こちらの実証実験でも同様のエラーを確認しました』
「そうか……」
耀一郞はまた眉間を揉んだ。11月から原因不明の不具合が出ているとクレームが上がっている商品があり、カスタマーから報告を受けた段階で嫌な予感を抱き、秘かに原因の究明を行っていた。
『いかがなさいましょうか』
「同じチップを使っている商品すべての調査を頼む。各工場に製造のストップをかけ、すぐに小池電機の製品と交換だ。話は付けてある。絶対に出荷を途切れさせるな」
『かしこまりました』
電話を切ると深い溜め息を吐き出した。
(なぜこのタイミングで……)
苛立ちを覚えて机を殴った。重厚なオークのデスクは振動を受け止め、何事もなかったように静かになる。
耀一郞はすぐさま携帯に登録してある番号にかけた。三コールで相手は電話に出た。
『これはこれは小野社長』
マイク越しにもニヤけた顔が一層だらしなく脂下がっているのが手に取るようにわかる声に眉間の皺を深くした。
「年末にお願いしましたこと、どうなってますか」
『私に似た優秀な長男に任せてますので大丈夫ですよ。御社には色々とお世話になっておりますので、そこはお任せ下さい』
また始まった。根拠のない長男自慢。なによりも「大丈夫だ問題ない」を繰り返す口に砂を詰めて塞ぎたくなる。このままでは……。最悪のシナリオを頭に浮かべ、それも致し方ないと経営者の目線で判断を下す。
多少コストは上がるが、このまま任せてクレームを量産するわけにはいかない。今はまだ日に一件の割合だが、これから上がっていくだろう。その前に……。
損害賠償の概算を頭で弾く。
『ところであれはご迷惑をおかけしてませんよね』
「どういう意味だ」
不穏な言葉に低い声が出る。
『いや……あれがご迷惑を掛けているのであれば、こちらで躾けなければと思いましてですね……いやいや、ははは』
耀一郞の反応が想像と異なったのか、次第に誤魔化し始める。
光る頭皮に今頃汗を浮かべていることだろう。
躾け直しとはどういう意味だ。
――俺がここで仕事を始めてから見た、一番酷い虐待の跡だ。
井ノ瀬の言葉が頭に蘇る。
医師で第二性専門医として様々な症例を見ている彼ですら目を覆いたくなるような虐待を、再びあの細い身体にするつもりなのか。
――いいじゃないか、オメガなんか。どうせ頃合いが来たら捨てるつもりだったんだろう。
どこかから声がする。蔑む言葉は電話相手の声と重なり、次第に音が変わり自分の声になる。
(そうだ、少し前まで私が考えていたことだ)
樟が入院するまで、その考えが当たり前だった。
劣等種なんだから目の前に現れるなと怒声を浴びせても問題ない人種だと決めつけていた。
いつから考えが変わったのか。
グッと奥歯を噛み締め、電話の相手に怒りをぶつけようとして自分を抑えた。
「大事な仕事の話だ、茶化さないでいただきたい。きちんと規格通りの製品を納入してください。でなければこれから先の取引は考えさせてもらう」
すぐに電話を切れば、今までの疲労と相まってどっと疲れが身体にのしかかる。
もう一度背もたれに身体を預け、目を閉じた。
考えることが多すぎる。
すべてを放棄したい瞬間はいつだって耀一郞を弱気にさせる。だがここで踏みとどまらなければ、小野電機工業が抱えている何万もの従業員とその家族の生活に関わる。
「どうしろと言うんだ……」
今日も帰ってあいつがちゃんと食事をしているかを監視しなければ。それだけではない、病院でどのような話をしたかを聞き出して……。プライベートでもやることは多く耀一郞を疲弊させた。
退院の日、迎えに行ったときの樟の顔を思い出す。
自分の声に振り向いた瞬間の樟は……耀一郞の知らない顔をしていた。頭の中にあったのとは違う顔をしていたのだ。
小さな顔には胡桃型の黒目の大きな目が配され、小ぶりな鼻と同じく小さな唇がチョコンと乗り、目を伏せると長い睫毛が影を作る。精巧な人形のような容姿は中性的で、僅かに上向きの唇は赤く、紅を刺したかのようだ。
自分が知っている……いや、こうだと思い込んでいる顔とは似ても似つかないものだった。
これが自分の配偶者なのかと驚き、全体の線の細さに驚愕した。
半年も一緒に住んでいるはずなのに、初めて会った人物のように思えたあの瞬間、耀一郞の中で知らない衝動が湧きあがった。
――閉じ込めろ。
命令する声はなんだったのか。
怯えて揺らぐ目、僅か後ろを無言で付いてくる様や俯く時に醸し出される儚さは、アルファやベータからは想像もできないほどの幽玄さと儚さを纏っていた。
僅かでも触れたら毀れてしまいそうで、怖くて指先を向けることができない。声をかけて僅かに微笑まれると胸が苦しくなる。
この感情をなんと表するのか、耀一郞にはわからなかった。
「井ノ瀬との約束だ……気に掛けているのはそれだけだ」
樟が作るご飯は美味しく、彼との食事は不快ではなかった。
それだけだ。
自分に言い聞かせて、眼球に力を入れて涙を強制的に出させる。
樟を気に掛けるのは、これ以上井ノ瀬を失望させたくないからだ。それが言い訳だと気付かず、耀一郞は怜悧な目を開くと、再びパソコンに向き合い、速いスピードでキーボードを打ち始めた。
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