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ユグドラシルの双子の主・プロローグ(完)

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 和泉奏多と吾妻晶は、何とか蟲を退治することに成功した。晶がかなり念入りに結界を張っていたため、周囲のコミュニティには被害もなく、それ以外の被害らしい被害といっても、せいぜいがこの屋敷に置いてあった魔導書以外の書物から文字が失われたくらいのものだった。もっとも、読書家一家である吾妻家の人間にとってはかなりの損害ではあったのだが・・・。

 今回の一件を解決した後、晶の能力に着目した奏多が彼を自チームにスカウトし、それにより晶が正式に害蟲駆除チーム《ユグドラシル》の一員として加入することになる。

 晶は、屋敷に自分の姉と祖父を呼び戻すと、自分は奏多についていくことを説明し、二人が了承したため。奏多と共に《ユグドラシル》の活動の拠点である「日向荘」へと赴くことになった。

 一方、もう一人の「双子の王」である和泉鏡香も、夜の領域で出会った魔女モリガンを連れ、一旦「日向荘」へと帰還することとなった。

 この世界には複数のチームと名乗る集団が存在する。《ユグドラシル》の他にも空賊から空の特急便業者へと転身した《ラピュタ》や社会の秩序維持を目的とする《ゼクリスティン》などが該当する。「マスター」と呼ばれるカリスマ的存在がそれぞれのチームを率い、自分たちの属領のほか、前文明時代の国家組織亡き後の世界において、それぞれの目的のために活動を行っている。

 この物語は、その中で、害蟲駆除を専門としているチーム《ユグドラシル》のメンバーに焦点を当てていくこととするー。
 
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