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清野江紀と薬師寺咲那(第16話)
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ーー江紀視点ーー
亜人種型との死闘を終え、その後、薬師寺の体力の回復を待ってから、オレたちは廃墟を後にした。周囲はもう日が暮れ始めていた。
手を貸してやろうかと思ったが、あちこち傷ついてはいるものの、薬師寺はまだ十分動けるようだった。
「あれが亜人種型か・・・大型のやつらと違って確かにやりにくい相手だった」
確かにそうだろう。大型の蟲とは異なり、亜人種型はなまじ知性を備えているので、戦いの中に「知恵比べ」の要素が混じる。要は、戦略性必須の相手ということだ。
今まで薬師寺が相手にしてきたのはもっぱら大型の個体のみだった。まあ、オレがやらせなかったというのも確かにある。まだ彼女には早いと思っていたからだ。
しかし、今日の戦果を見る限りでは、今後も薬師寺に任せてもよさそうだ。
「亜人種型をやれればもう一人前だよ。よく頑張ったな、薬師寺」
オレは、妹ー早苗に対してよくやるように、ついつい薬師寺の頭を撫でてしまった。
「おい、江紀。あたしは子供じゃねえぞ」
当然、薬師寺から抗議の声が上がる。
「ったく、そういうのは早苗に対してやりゃあいいだろ」
「すまん」
不貞腐れたように顔を背けられる。おかげでその表情を窺うことはできなかった。
「しっかし」
薬師寺がふいに伸びをしながら、
「やはり目標達成というのは気持ちがいいねえ。亜人種型打倒が当面の目標だったからな」
薬師寺がこちらを振り向く。その表情は笑顔に彩られていた。夕陽の影響もあってか、笑顔がまぶしく見えたりする。
「次の目標は決まったか」
そんな彼女に何気なく尋ねてみた。
「これで終わりなわけはないだろ」
「当然だ」
薬師寺がオレの前に躍り出る。疲れを感じさせない自然な動きに見えた。
「次の目標は、江紀、お前を超えることだよ」
ほほう、大きく出たもんだ。今まで何度も稽古に付き合ってやったが、まだ一度も彼女に敗れたことはなかった。
「ずいぶん大きく出たな薬師寺。なら、まずはオレから一本取らないとな」
「当たり前だ」
薬師寺がオレに人差し指を突きつけて、
「すぐに追い抜いてやるよ、江紀」
高らかに宣言した。
「いいだろう、勝負は受けて立つ」
そして、本当に彼女がオレを超える日が来るかもしれない。
それはそれで楽しみだ。
オレと薬師寺はその後、何気ない会話を交わしながら、《ユグドラシル》のメンバーが住んでいる「日向荘」へと帰還したー。
亜人種型との死闘を終え、その後、薬師寺の体力の回復を待ってから、オレたちは廃墟を後にした。周囲はもう日が暮れ始めていた。
手を貸してやろうかと思ったが、あちこち傷ついてはいるものの、薬師寺はまだ十分動けるようだった。
「あれが亜人種型か・・・大型のやつらと違って確かにやりにくい相手だった」
確かにそうだろう。大型の蟲とは異なり、亜人種型はなまじ知性を備えているので、戦いの中に「知恵比べ」の要素が混じる。要は、戦略性必須の相手ということだ。
今まで薬師寺が相手にしてきたのはもっぱら大型の個体のみだった。まあ、オレがやらせなかったというのも確かにある。まだ彼女には早いと思っていたからだ。
しかし、今日の戦果を見る限りでは、今後も薬師寺に任せてもよさそうだ。
「亜人種型をやれればもう一人前だよ。よく頑張ったな、薬師寺」
オレは、妹ー早苗に対してよくやるように、ついつい薬師寺の頭を撫でてしまった。
「おい、江紀。あたしは子供じゃねえぞ」
当然、薬師寺から抗議の声が上がる。
「ったく、そういうのは早苗に対してやりゃあいいだろ」
「すまん」
不貞腐れたように顔を背けられる。おかげでその表情を窺うことはできなかった。
「しっかし」
薬師寺がふいに伸びをしながら、
「やはり目標達成というのは気持ちがいいねえ。亜人種型打倒が当面の目標だったからな」
薬師寺がこちらを振り向く。その表情は笑顔に彩られていた。夕陽の影響もあってか、笑顔がまぶしく見えたりする。
「次の目標は決まったか」
そんな彼女に何気なく尋ねてみた。
「これで終わりなわけはないだろ」
「当然だ」
薬師寺がオレの前に躍り出る。疲れを感じさせない自然な動きに見えた。
「次の目標は、江紀、お前を超えることだよ」
ほほう、大きく出たもんだ。今まで何度も稽古に付き合ってやったが、まだ一度も彼女に敗れたことはなかった。
「ずいぶん大きく出たな薬師寺。なら、まずはオレから一本取らないとな」
「当たり前だ」
薬師寺がオレに人差し指を突きつけて、
「すぐに追い抜いてやるよ、江紀」
高らかに宣言した。
「いいだろう、勝負は受けて立つ」
そして、本当に彼女がオレを超える日が来るかもしれない。
それはそれで楽しみだ。
オレと薬師寺はその後、何気ない会話を交わしながら、《ユグドラシル》のメンバーが住んでいる「日向荘」へと帰還したー。
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