71 / 464
スライ蟲退治(第10話)
しおりを挟む
早苗の力で突風が巻き起こり、それと共に、霧が晴れていく・・・。
「うまくいったよ、晶君」
「ああ、よくやった、清野」
早苗は、魔法により風を巻き起こしたが、風そのものは魔法ではない・・・よって、その突風の物理的な力によって無理やり霧が晴らされたーこんなところだろう。
魔法を防ぐ霧さえなくなってしまえば、あとはモリガンが思うように攻撃できる。実際、モリガンは素早く反応し、スライ蟲・ボス(仮)に攻撃を開始した。
「あっはっはー!これなら攻撃も当て放題じゃー!」
「相手の図体もでかいからな。的が大きければそれだけ当てやすい」
「その通りじゃ」
モリガンの攻撃は、今のところ全て相手に命中している。これだけ攻撃を食らえば、いくら強敵とは言えども少なからぬダメージを受けているはずだ。弱ったところを晶と早苗が攻撃すれば、何とか仕留めることができるだろう。
「・・・む?」
しかし、そう簡単には事が運ばないようだ。モリガンの顔に疑問の色が浮かぶ。
「攻撃は当たっておるのじゃが・・・あまり効いておらなんだ?」
「どういうことだ、モリガン」
モリガンはかぶりを振ると、
「いや、どうやら、相手がこちらの魔法のダメージそのものを吸収しておるらしい」
思った以上に厄介な相手だ。最初こそダメージを受けていたものの、ある段階から、まるで体質変化でも起こしたかのように、逆にこちらの攻撃を吸収するようになったのだという。
「これぞ、属性チェンジニャ!」
少し離れたところで(酒を飲みながら)様子を窺っていたミケさんが、珍しくシリアスな表情で説明し始めた。
「相手ニョ属性が変わったということニャ!したがって、相手ニョ属性を見極めニャがら攻撃しニャいと、全て吸収されてしまいますニャー!」
「そういうことか・・・っていうか、てめえ人が戦っている最中に酒飲んでんじゃねえ!」
どこまでもマイペースなニャンコである。シリアスな表情も、当然ながら台無しであった・・・。
でもまあ、ミケさんからもたらされた情報は有益である。どうやら、ミケさんもたまには役に立つようだ。
「ということは、相手の属性を見極めながら攻撃し続ける必要があるわけか・・・ならばオレの出番かな」
晶は、笛の先端から出てきた光の刀を収納すると、笛を唇に当てた。
「要するに、相手がどのタイミングでどの属性に変化するかさえわかればいいんだろ。なら、この曲で」
蟲笛と呼ばれる専用の魔具を使い、蟲の波動を探る曲を奏でる。相手の魔力の波動を感知できれば、今敵がどの属性を纏っており、それに伴い弱点も判別できるようになる。
蟲笛の能力ー蟲流れー。
笛の音が辺りを包み込む。意外と優し気な音色だった。戦いでなければ思わず聞き入ってしまいそうな音色である。
そして、晶が笛を吹き始めてからしばらくして、敵の体に異変が起こり始めたー。
「うまくいったよ、晶君」
「ああ、よくやった、清野」
早苗は、魔法により風を巻き起こしたが、風そのものは魔法ではない・・・よって、その突風の物理的な力によって無理やり霧が晴らされたーこんなところだろう。
魔法を防ぐ霧さえなくなってしまえば、あとはモリガンが思うように攻撃できる。実際、モリガンは素早く反応し、スライ蟲・ボス(仮)に攻撃を開始した。
「あっはっはー!これなら攻撃も当て放題じゃー!」
「相手の図体もでかいからな。的が大きければそれだけ当てやすい」
「その通りじゃ」
モリガンの攻撃は、今のところ全て相手に命中している。これだけ攻撃を食らえば、いくら強敵とは言えども少なからぬダメージを受けているはずだ。弱ったところを晶と早苗が攻撃すれば、何とか仕留めることができるだろう。
「・・・む?」
しかし、そう簡単には事が運ばないようだ。モリガンの顔に疑問の色が浮かぶ。
「攻撃は当たっておるのじゃが・・・あまり効いておらなんだ?」
「どういうことだ、モリガン」
モリガンはかぶりを振ると、
「いや、どうやら、相手がこちらの魔法のダメージそのものを吸収しておるらしい」
思った以上に厄介な相手だ。最初こそダメージを受けていたものの、ある段階から、まるで体質変化でも起こしたかのように、逆にこちらの攻撃を吸収するようになったのだという。
「これぞ、属性チェンジニャ!」
少し離れたところで(酒を飲みながら)様子を窺っていたミケさんが、珍しくシリアスな表情で説明し始めた。
「相手ニョ属性が変わったということニャ!したがって、相手ニョ属性を見極めニャがら攻撃しニャいと、全て吸収されてしまいますニャー!」
「そういうことか・・・っていうか、てめえ人が戦っている最中に酒飲んでんじゃねえ!」
どこまでもマイペースなニャンコである。シリアスな表情も、当然ながら台無しであった・・・。
でもまあ、ミケさんからもたらされた情報は有益である。どうやら、ミケさんもたまには役に立つようだ。
「ということは、相手の属性を見極めながら攻撃し続ける必要があるわけか・・・ならばオレの出番かな」
晶は、笛の先端から出てきた光の刀を収納すると、笛を唇に当てた。
「要するに、相手がどのタイミングでどの属性に変化するかさえわかればいいんだろ。なら、この曲で」
蟲笛と呼ばれる専用の魔具を使い、蟲の波動を探る曲を奏でる。相手の魔力の波動を感知できれば、今敵がどの属性を纏っており、それに伴い弱点も判別できるようになる。
蟲笛の能力ー蟲流れー。
笛の音が辺りを包み込む。意外と優し気な音色だった。戦いでなければ思わず聞き入ってしまいそうな音色である。
そして、晶が笛を吹き始めてからしばらくして、敵の体に異変が起こり始めたー。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる