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土竜の街は・・・?(第4話)

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 晶たちは、言葉が出なかったーあまりにも感覚が違いすぎて。

 ・・・そりゃ、確かに暗い場所と言ったらお化けだよな・・・だからお化けの形をしたドローンを飛ばせて・・・って!

「いくら何でも、そりゃ無理があるんじゃねえか?」

 晶が頭を抑えながらベンジャミンに尋ねる。

「よりにもよって、市民の憩いの場所でお化けを飛ばすなんて・・・お化け屋敷ならともかく」

「そうかぁ?おいらたちにとっては、ごく普通の光景だぞ。夜、天井の証明が落ちる時間帯が近くなれば空を飛行し始めるんだ。ああやって、公園の上空を飛び回りながら魔力指数の測定を行うんだぞ」

「・・・なんというか・・・」

「うーん、大樹の人たちと、ちょっと感じが違うのかなぁ?」

 いつもマイペースな早苗でさえ、さすがに夕暮れ(の時間帯に合わせて設定されている)に、公園の空をお化けが飛び交っている光景は、にわかには受け入れられないらしい・・・が。

「でも、確かに肝試しにはいいかもだよ、晶君!」

 どんな状況でもすぐに受け入れる環境適応能力の高さは、確かに早苗の長所でもある。

「・・・ここまで来て肝試しするつもりは全くないんだが・・・」

 このオドローンを見ていると、ひょっとしたら地下世界の住民たちは、オレたちとはかなり感覚がズレているのかもしれない・・・と思えて仕方がない。

 ちなみに、肝心のオドローンであるが、前文明時代にもあった典型的なデフォルメお化けの恰好で、両手をだらんと下げ、舌をだらしなく出しながら、飛行している。前文明時代に、「配管工が亀を踏んづけながらお姫様を助けに行くゲーム」があったが、その中にお化けの敵が出てくる。確か「テ〇サ」という名前だったと、晶は記憶しているが、姿はそいつによく似ていた・・・。

「晶君、今、亀をいじめる配管工のイタリアおじさんのゲームについて考えたね?」

 ずいっと、早苗が突然、真剣な顔つきで迫ってきた。いきなりのことに、思わず引いてしまう晶であった。

「駄目だよ、そんなことを考えちゃ~権利を守らないと」

「・・・いや、何のことだかさっぱり・・・というか、マジで怖いから離れてくれ、清野」

「しっかし、地底人の考えることはわからんのう・・・これでは、夜の公園でデートしようとかしているバカップルがいちゃつくこともできんのではないか・・・?」

 ・・・地下世界の住人たちの考えていることがいまいちよくわからんというモリガンの意見はもっともであるが、後半のバカップルの話は・・・まあ、確かに夜の公園でいちゃつくカップルはいるが・・・。

 いまいち、理解できない地下世界の住人の感覚についていけない晶であったー。
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