テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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カルミナとブラーナ(第16話)

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 害蟲の群れが、カルミナ達がいる衛星めがけて飛来してきたー。

「おお、雑魚蟲どもが群れてきやがったぜ」

 翔は、恐れるどころかむしろ待ちかねたと言わんばかりに自身の武器であるツメを振りかざした。

「・・・思ったよりも数は多くはないな・・・群れであることには違いないようだが」

 卓も、相棒とともに自身の武器を構える。彼の武器は棍だ。

「だけど、確かに動きは速いし、雑魚って言っても、ひょっとしたらC級クラスの実力はあるかもしれないわよ、こいつら」

 ブラーナの指摘通りだ。雑魚とは言え、C級クラスともなれば油断はできない連中である。

「おそらく、元々の能力はD級以下だと思われますが」

 黒羽は、相変わらずの半眼状態で迫りくる害蟲を観察しながら、自身が持っている何かの柄のようなものに魔力を送り始めた。

「・・・やはりB級クラスが1体いるようですね・・・その影響で、この集団全体の能力も向上しているのでしょう」

「親玉ね」

 B級クラスの相手は男どもと、場合によっては黒羽の仕事となる。カルミナとブラーナは、主に周りの露払いだ。群れにしては数は少ない・・・とはいえ、個体としての能力は「支援効果」により増幅されているので、例え露払い役であったとしても、決して油断できるような状況にはない。

「あたしたちが周りの連中を引き付けている間に、アンタたちは親玉を仕留めて!」

「あいよ」

「任された」

 翔と卓が威勢よく応えた。

「私も、いざという時のために準備しておきます」

 黒羽が持っていた何かの柄が、魔力を帯びて黒く輝きだす。すると、辺り一面に黒い羽根が舞い、その柄から、巨大で不吉な形状の武器が現れた。だがそれは、およそ、まだあどけなさが残る少女が持つような武器ではなかった。

 例えるなら、それは「死神の鎌」と形容すべきものであった。そして、全身黒ずくめの彼女のいで立ちも相まって、ますます不吉さを強調させていた。

 大鎌だ。彼女の武器ーデスサイズは、あらゆる存在の命の根源を元から断つことができる。それは、怪異が起源である害蟲達とて、決して例外ではなかった。

 ブラーナが一瞬眉を顰めるが、すぐにカルミナの方に向き直った。黒羽のことは、まだカルミナに悟られるべきではない。ただ、彼女がカルミナに対して、「本人に悪意があろうがなかろうが」害をなすようなことがあれば、遠慮なく斬り捨てるーその決意は変わらない。

「どうやら、黒羽もやる気満々のようね」

 彼女のことをよく知らないカルミナが、黒羽の武器を見てもある意味能天気なのは、幸か不幸かー。

「私たちも準備しようか」

 そういって、ブラーナは背後からカルミナにもたれかかる。そう、を、今こそ発揮する時だ。

「ええ、行くわよ、ブラーナ」

 背後にブラーナの息吹を感じながら、二人は同時に叫んだ。

命を共にライフ・リンク!」

 

 
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