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カルミナとブラーナ(第21話)
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「おらあ、行くぜ!!」
先陣を切ったのは翔だった。両手に装着したツメに魔力を「付与」し、気合と共に親玉クラスの害蟲に挑みかかる。
「翔、迂闊に前に出るな!!相手はどんな攻撃をしてくるかわからないんだぞ」
勢いに任せて突撃する翔を、卓が諫める・・・が、翔はもはや止まらず、そのまま相手をツメで切り裂こうと間合いに入る。
「っ!・・・いけません、翔、下がってください!」
「・・・おわあぁ!」
翔の目の前を、親玉クラスの腕が掠めた。敵の腕は、片側にだけ3本もある。そのうちの一番下の腕が攻撃を仕掛けてきたのだ。おそらく、黒羽の声がなければ、そのまま翔は胴を薙ぎ払われていたに違いない。
さらに、今度は一番上の腕で翔を鷲掴みにしようと、その掌を叩きつけて来た。翔は、何とか寸前で腕をかわし、後方へと引き下がる。敵の掌が地面をしたたかに打ち付け、それにより土埃が舞い、さらには石や土の欠片がまき散らされる。
土埃が収まった後、地面が見事に抉られていたのが確認できた。クレーターと呼ぶほどではないものの、こんなものをまともに食らえば、人間などいともたやすくミンチになってしまうだろう。
「・・・」
勢いに任せて突撃した翔だったが、さすがに敵の一撃を見て、言葉を失う。危ないところであった・・・一歩間違えていれば、今頃ぺしゃんこになっていたかもしれないのだ。
「あの3本の腕は脅威だな・・・あんなのをまともに受けたら一発でお陀仏だぞ・・・」
棍を構え直しながら、卓は敵の腕の動きを何とか封じることができないものかと思案し始めた。
「私であれば、あの腕を斬り落とせますが・・・ただ、厄介なのは、腕だけはなさそうです」
黒羽が、人間なら右腕があるはずの部分に咲く害蟲の花弁を注視している。
「あそこにも、何やらあるようですね・・・一種の毒素のようなものが作られている気配があります」
卓は、黒羽の指さす部分を見て、そこから確かに紫色の気体が漏れているのを確認した。どうやら、あの花弁に当たる部分から、何かの毒をまき散らしているらしい。
「翔、もう少し下がれ!敵は、なんだかやばいものをまき散らしているようだぞ」
花弁から放たれている毒は、空気よりは重いのか、そのまま地面へと流れていき、そこから周辺に滞留していく。しかし、空気よりも重いとはいえ、やはり風が吹けばまき散らされることには違いない。ましてや、ここは空の上だ。突然の強風などありふれたことだった。
「くそ、思うように近づけねえのかよ!」
翔が憤然として叫ぶが、ここで下手に手を出してさっきの二の舞になるわけにもいかない。さらには、正体不明の毒のおまけつきともなれば、なおさらのことだろう。
「あの気体は・・・見覚えがありますね」
黒羽が少し目を細めて紫の気体を観察する。
「あれは・・・おそらく強い幻覚作用を引き起こす効果があるものです」
黒羽の指摘に、翔と卓が困惑の表情を浮かべたー。
先陣を切ったのは翔だった。両手に装着したツメに魔力を「付与」し、気合と共に親玉クラスの害蟲に挑みかかる。
「翔、迂闊に前に出るな!!相手はどんな攻撃をしてくるかわからないんだぞ」
勢いに任せて突撃する翔を、卓が諫める・・・が、翔はもはや止まらず、そのまま相手をツメで切り裂こうと間合いに入る。
「っ!・・・いけません、翔、下がってください!」
「・・・おわあぁ!」
翔の目の前を、親玉クラスの腕が掠めた。敵の腕は、片側にだけ3本もある。そのうちの一番下の腕が攻撃を仕掛けてきたのだ。おそらく、黒羽の声がなければ、そのまま翔は胴を薙ぎ払われていたに違いない。
さらに、今度は一番上の腕で翔を鷲掴みにしようと、その掌を叩きつけて来た。翔は、何とか寸前で腕をかわし、後方へと引き下がる。敵の掌が地面をしたたかに打ち付け、それにより土埃が舞い、さらには石や土の欠片がまき散らされる。
土埃が収まった後、地面が見事に抉られていたのが確認できた。クレーターと呼ぶほどではないものの、こんなものをまともに食らえば、人間などいともたやすくミンチになってしまうだろう。
「・・・」
勢いに任せて突撃した翔だったが、さすがに敵の一撃を見て、言葉を失う。危ないところであった・・・一歩間違えていれば、今頃ぺしゃんこになっていたかもしれないのだ。
「あの3本の腕は脅威だな・・・あんなのをまともに受けたら一発でお陀仏だぞ・・・」
棍を構え直しながら、卓は敵の腕の動きを何とか封じることができないものかと思案し始めた。
「私であれば、あの腕を斬り落とせますが・・・ただ、厄介なのは、腕だけはなさそうです」
黒羽が、人間なら右腕があるはずの部分に咲く害蟲の花弁を注視している。
「あそこにも、何やらあるようですね・・・一種の毒素のようなものが作られている気配があります」
卓は、黒羽の指さす部分を見て、そこから確かに紫色の気体が漏れているのを確認した。どうやら、あの花弁に当たる部分から、何かの毒をまき散らしているらしい。
「翔、もう少し下がれ!敵は、なんだかやばいものをまき散らしているようだぞ」
花弁から放たれている毒は、空気よりは重いのか、そのまま地面へと流れていき、そこから周辺に滞留していく。しかし、空気よりも重いとはいえ、やはり風が吹けばまき散らされることには違いない。ましてや、ここは空の上だ。突然の強風などありふれたことだった。
「くそ、思うように近づけねえのかよ!」
翔が憤然として叫ぶが、ここで下手に手を出してさっきの二の舞になるわけにもいかない。さらには、正体不明の毒のおまけつきともなれば、なおさらのことだろう。
「あの気体は・・・見覚えがありますね」
黒羽が少し目を細めて紫の気体を観察する。
「あれは・・・おそらく強い幻覚作用を引き起こす効果があるものです」
黒羽の指摘に、翔と卓が困惑の表情を浮かべたー。
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