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空と大樹と(第3話)
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こうして、カイトと杏里は晶と早苗から独自に手ほどきを受けることになったーが。
「今日明日はさすがに休養が必要だ。特にカイト、気持ちはわかるが、焦りは禁物だぞ」
一刻も早く、先輩たちの仇を討ちたいカイトであったが、今の自分では実力不足なのも承知している。さらには、晶が言うように、転送魔法陣での慣れない移動や飛空鎧での激戦など、精神的にも体力的にも、お世辞にも余裕がある状態だとは言えなかった。
「うん、わかってるよ晶・・・無茶はしないつもりだ」
無茶をしないと語る、思いのほか冷静なカイトの姿を見て、ほっと胸を撫で下ろす杏里。モリガンや楓が説得する前は、すぐにでも仇に飛び掛らんばかりの勢いがあったからだ。
「よし、そうと決まれば、このまま部屋へ戻ろう」
「そうだね、晶君・・・ところで」
そこで、不意に思い出したかのように、早苗が、
「ミケさんのこと、さっそく明日様子を見に行ってみる?晶君・・・私、ミケさんがきちんとやれるのか心配だよぉ」
間延びした口調に眉根を寄せる早苗の表情は、年相応の少女らしく、可愛らしかった。その表情からはとてもわかりにくいのだが、これでもミケさんのことを心底心配しているらしい。
「って、おいおい、今日連れていかれたばかりだぜ・・・いくら何でも数日は様子を見た方がいいんじゃないか」
夕陽をバックに、ズルズルとポン太達に引きずられていくミケさんの姿を思い出すカイトと杏里・・・二人とも、なんとも微妙な表情になっている・・・。
「うーん、ミケさん無理してないといいけどなぁ~」
やはり、全く緊張感のない間延びした声で話す早苗ーこれでも、彼女はミケさんのことを心底心配しているのだ!!
・・・多分。
「まあ、とりあえず数日は様子を見ようぜ・・・何もずーっとほったらかしにしておこうとは思ってないよ」
すると、早苗が突然顔をドアップにして晶に詰め寄ってきた。
「本当に!?晶君・・・!」
いきなり顔を近づけられて、思わず後ずさる晶ー。
「ああ、いや・・・本当だって、清野・・・」
「私には、晶君が、ミケさんがいなくなってからやけにテンションが高くなっているように見えるんだけど!?」
ずんっと、さらに顔をドアップにして迫ってくる。
・・・こうなったら、正直に告白した方がよさそうだ・・・。
「う、じ、実は・・・少しばかり厄介払いができていいかなぁと」
「ほら、やっぱり!!」
早苗に迫られると、さすがの晶もたじたじである。実に、チーム《ユグドラシル》の女性陣はたくましく、しばしば男性陣が、頭が上がらなくなる時があるのだった。
「ええい、わかったわかった・・・とりあえず、明日の昼過ぎ辺り、一旦ミケさんの様子を見に行ってみるぞ・・・それでいいだろ、清野」
「うん!!」
先ほどまでのドアップ顔が一転、一瞬にして、いつもののほほんとしたマイペースでおとなしそうな表情に戻る早苗ーこの強引さには、つくづく勝てないと、ため息をつき頭を振る晶。
そんな二人の様子を、カイトは頬を引きつらせて苦笑いしつつ、杏里はくすくすとくすぐったそうな笑みを浮かべながら見守っていたのだったー。
「今日明日はさすがに休養が必要だ。特にカイト、気持ちはわかるが、焦りは禁物だぞ」
一刻も早く、先輩たちの仇を討ちたいカイトであったが、今の自分では実力不足なのも承知している。さらには、晶が言うように、転送魔法陣での慣れない移動や飛空鎧での激戦など、精神的にも体力的にも、お世辞にも余裕がある状態だとは言えなかった。
「うん、わかってるよ晶・・・無茶はしないつもりだ」
無茶をしないと語る、思いのほか冷静なカイトの姿を見て、ほっと胸を撫で下ろす杏里。モリガンや楓が説得する前は、すぐにでも仇に飛び掛らんばかりの勢いがあったからだ。
「よし、そうと決まれば、このまま部屋へ戻ろう」
「そうだね、晶君・・・ところで」
そこで、不意に思い出したかのように、早苗が、
「ミケさんのこと、さっそく明日様子を見に行ってみる?晶君・・・私、ミケさんがきちんとやれるのか心配だよぉ」
間延びした口調に眉根を寄せる早苗の表情は、年相応の少女らしく、可愛らしかった。その表情からはとてもわかりにくいのだが、これでもミケさんのことを心底心配しているらしい。
「って、おいおい、今日連れていかれたばかりだぜ・・・いくら何でも数日は様子を見た方がいいんじゃないか」
夕陽をバックに、ズルズルとポン太達に引きずられていくミケさんの姿を思い出すカイトと杏里・・・二人とも、なんとも微妙な表情になっている・・・。
「うーん、ミケさん無理してないといいけどなぁ~」
やはり、全く緊張感のない間延びした声で話す早苗ーこれでも、彼女はミケさんのことを心底心配しているのだ!!
・・・多分。
「まあ、とりあえず数日は様子を見ようぜ・・・何もずーっとほったらかしにしておこうとは思ってないよ」
すると、早苗が突然顔をドアップにして晶に詰め寄ってきた。
「本当に!?晶君・・・!」
いきなり顔を近づけられて、思わず後ずさる晶ー。
「ああ、いや・・・本当だって、清野・・・」
「私には、晶君が、ミケさんがいなくなってからやけにテンションが高くなっているように見えるんだけど!?」
ずんっと、さらに顔をドアップにして迫ってくる。
・・・こうなったら、正直に告白した方がよさそうだ・・・。
「う、じ、実は・・・少しばかり厄介払いができていいかなぁと」
「ほら、やっぱり!!」
早苗に迫られると、さすがの晶もたじたじである。実に、チーム《ユグドラシル》の女性陣はたくましく、しばしば男性陣が、頭が上がらなくなる時があるのだった。
「ええい、わかったわかった・・・とりあえず、明日の昼過ぎ辺り、一旦ミケさんの様子を見に行ってみるぞ・・・それでいいだろ、清野」
「うん!!」
先ほどまでのドアップ顔が一転、一瞬にして、いつもののほほんとしたマイペースでおとなしそうな表情に戻る早苗ーこの強引さには、つくづく勝てないと、ため息をつき頭を振る晶。
そんな二人の様子を、カイトは頬を引きつらせて苦笑いしつつ、杏里はくすくすとくすぐったそうな笑みを浮かべながら見守っていたのだったー。
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