テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

咲那・全裸の逃避行（第23話）

「さて、明日のために、早めに寝ましょうか」

　少しの間、心地よい天空の夜風に身を任せていた鏡香だったが、明日も早いことと、慣れない空の旅がこれからも続くことを考慮して、早めに就寝することにする。

「それにしても、久しぶりの長旅はやっぱり疲れるわね・・・」

　寝る前に、軽くシャワーを浴びることにする。シャワーを浴びつつ、自然に軽く鼻唄が出てしまう鏡香ー。

「疲れる・・・と言っても、やはり旅は旅でいいものですね・・・」

　本当なら、愛しい奏多君と一緒に来たかったのだけどー。

　今は別に行動している最愛の双子の弟のことを考えながら、そのしなやかで、そして艶めかしい肢体を濡らしていくー。

　いつだったか、日向荘の女の子全員で風呂に入った時、鏡香と咲那の胸はどちらが大きいかと、モリガンが騒いでいたのを思い出す。と言っても、どちらもほぼ同じ豊満さで、その時点では甲乙つけがたしだったのだが。

「きっと、モリガンちゃんもあと4～5年くらいすれば、大きくなりますよ」

　モリガンの髪をわしゃわしゃとシャンプーで洗ってやりながら、まるで子供のように（確かにモリガンはまだ13歳で子供ではあるのだが）遊んでやったのを思い出した。

「鏡香、そんときゃ、あたしらアラサー間近じゃねえか？」

　その時、咲那が苦笑しながら横やりを入れてきた。それを聞いて、わしはまだその時は17～18くらいじゃから、一番ピッチピチじゃわい！とモリガンがVサインを作って誇らしげに笑っていた。その隣で、早苗もまたうんうんと、楽しそうに笑っていたのだった。

　モリガンも早苗も、その容姿は整っている。4～5年もすれば、おそらく異性に言い寄られる機会も多かろう。まあ、ただ一つ難があるとすれば、基本的にうちのチームの男子はかなり鈍いというか、朴念仁が多く、江紀は咲那がそれとなくアプローチしていても（咲那本人はかたくなに否定しているが）全く気が付く気配もないし、晶は早苗やモリガンのことを基本妹くらいにしか思っていないだろう。双子の弟である奏多はーもちろん鏡香とは相思相愛の仲なので、他の女性に目移りされたら困るのだが・・・。

「・・・未来のことはわかりませんが、何年先でも、みんな仲良く暮らしたいですね・・・」

　そのためには、なんとしてもこのささやかな平和を守らなければならない。

「咲那さんは大丈夫そうですし、あとはモリガンちゃんですが・・・」

　彼女が、アトリエに戻っている時でも、最低1日に1回は連絡するようにと言いつけてある。害蟲という危険な存在に関わる以上、いつ何が起きてもおかしくはないからだ。

　そして、今までモリガンがその言いつけを破ったことはないー今回の件を除いては。

　まあ、いちいち連絡しなければならないことに文句を言うことはあったとしてもー。

「惑星Σ-11・・・浮遊大陸ではさほど大きなものではないと聞くけど」

　おそらく鏡香だけでなく咲那も訪れるのは今回が初めてのことになるはずだ。

「紫の飛空鎧のこともありますしね・・・モリガンちゃん、どうか無茶だけはしないでね」

　シャワーを浴び終え、バスタオルに身を包み、あとは、体を休めるだけだ。

　用意された浴衣に着替え、部屋の明かりを消し、明日に備えて早めに就寝することにしたー。