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咲那・全裸の逃避行(第24話)
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明日、咲那へ合流しなければならないので、早めに布団に入る鏡香ー。
部屋の明かりを消し、瞼を閉じると、すぐにでも眠気が襲ってきたー。
「体は正直ですね・・・慣れない旅で、思いのほか疲れが出ているのかも」
しばらくは空の旅なんてしたことはない。知らず知らずのうちに、体に疲れがたまっていたのだろう。
「まあ、そんなことを言ったら、咲那さんだって今大変な状況なのだけれど」
咲那は、チームメイトである以前に、親友でもある。付き合いは、彼女がこのチームに入ってからだから、せいぜい2~3年くらいのものだが、それでも長く一緒にいるような錯覚に陥る。
「・・・チームメイトというよりも、ほとんど家族同然ですよね」
咲那に限らず、江紀や晶、早苗、モリガンも、もはや奏多と同じ「家族の一員」だ。
当然ながら、誰一人欠けるようなことがあってはならない。
「もっとも、私たちは幼い頃に「家族」というものをほとんど経験していないのですが・・・」
奏多も鏡香も、両親の顔を知らない。ある組織の中で、とある目的のために育てられた。
今、世間を騒がせている不死者の集団ー悠久王国に。
そう、世羅姫と敵対している組織で、その実態は、数名の不死者と、その下に幹部クラスの不老の戦士たち、さらには末端の兵隊と、大樹だけでなく、甲虫都市や浮遊大陸の多くにおいて、非合法とされる存在ー。
王国とは名乗っているものの、別に特定の領土を持つわけでもなく、その詳しい所在などは一切不明。実は、ある年齢になるまでそこにいた奏多や鏡香でさえ、その実態についてはほとんど知らない。
ある目的とは、強い駒の創出ーつまり、泉姉弟は、その戦士として見込まれ、鍛え上げられた過去を持つ。元々孤児だったらしく、両親のいない二人を来栖忍と名乗る不死者の青年が引き取り、育て上げたのだ。
来栖は、二人にとっては父であり、兄でありそして師でもあった・・・とはいっても、この3つのうちのどれが当てはまるのかは、鏡香自身にもよくわからない。家族と言っても、双子の弟の奏多くらいしかおらず、そういう家庭的なぬくもりの中で育ったわけではないからだ。
ちなみに、鏡香の高い戦闘技能も、そこで仕込まれたものだ。それも主に来栖が担当した。
「いつか、来栖さんとも戦うことになる日が来るのかしら・・・?」
彼に、家族として愛されていたのかーは、よくわからない。単に、彼が二人を引き取ったのも「戯れ」であった可能性もある。世羅姫曰く、
「不死者は、永遠なる時に耐えられないー最後には生き続ける肉体に耐えられず、精神が病んでいき、やがて廃人と化すか、発狂するか・・・皮肉にも、不老不死など幻想であるということは、やつら自身がよく身に染みて知っている。それゆえに、刹那的な快楽に溺れるようになる・・・他者を顧みることのない、刹那的な欲望の充足こそ、絶対的な真理となる」
昔、前文明時代の古代哲学者にエピクロスという快楽主義を唱えた者がいると聞く。だが、エピクロスのそれは、まだ節度というものをわきまえた快楽主義だった。世羅姫が言うには、それ以下の単なる「享楽主義」なのだと。
自らの慰みのために蟲をまき散らし、世間を混乱させ、自分は隠れた「王国」に引きこもる彼らの姿は、世羅姫から見れば堕落した人間の極限の姿なのだろう。
「・・・いつの日か、戦う日が・・・」
意識は既に微睡みかけている・・・いずれ訪れるであろう育ての親との戦いの予感を感じながら、鏡香は深い眠りに落ちたー。
部屋の明かりを消し、瞼を閉じると、すぐにでも眠気が襲ってきたー。
「体は正直ですね・・・慣れない旅で、思いのほか疲れが出ているのかも」
しばらくは空の旅なんてしたことはない。知らず知らずのうちに、体に疲れがたまっていたのだろう。
「まあ、そんなことを言ったら、咲那さんだって今大変な状況なのだけれど」
咲那は、チームメイトである以前に、親友でもある。付き合いは、彼女がこのチームに入ってからだから、せいぜい2~3年くらいのものだが、それでも長く一緒にいるような錯覚に陥る。
「・・・チームメイトというよりも、ほとんど家族同然ですよね」
咲那に限らず、江紀や晶、早苗、モリガンも、もはや奏多と同じ「家族の一員」だ。
当然ながら、誰一人欠けるようなことがあってはならない。
「もっとも、私たちは幼い頃に「家族」というものをほとんど経験していないのですが・・・」
奏多も鏡香も、両親の顔を知らない。ある組織の中で、とある目的のために育てられた。
今、世間を騒がせている不死者の集団ー悠久王国に。
そう、世羅姫と敵対している組織で、その実態は、数名の不死者と、その下に幹部クラスの不老の戦士たち、さらには末端の兵隊と、大樹だけでなく、甲虫都市や浮遊大陸の多くにおいて、非合法とされる存在ー。
王国とは名乗っているものの、別に特定の領土を持つわけでもなく、その詳しい所在などは一切不明。実は、ある年齢になるまでそこにいた奏多や鏡香でさえ、その実態についてはほとんど知らない。
ある目的とは、強い駒の創出ーつまり、泉姉弟は、その戦士として見込まれ、鍛え上げられた過去を持つ。元々孤児だったらしく、両親のいない二人を来栖忍と名乗る不死者の青年が引き取り、育て上げたのだ。
来栖は、二人にとっては父であり、兄でありそして師でもあった・・・とはいっても、この3つのうちのどれが当てはまるのかは、鏡香自身にもよくわからない。家族と言っても、双子の弟の奏多くらいしかおらず、そういう家庭的なぬくもりの中で育ったわけではないからだ。
ちなみに、鏡香の高い戦闘技能も、そこで仕込まれたものだ。それも主に来栖が担当した。
「いつか、来栖さんとも戦うことになる日が来るのかしら・・・?」
彼に、家族として愛されていたのかーは、よくわからない。単に、彼が二人を引き取ったのも「戯れ」であった可能性もある。世羅姫曰く、
「不死者は、永遠なる時に耐えられないー最後には生き続ける肉体に耐えられず、精神が病んでいき、やがて廃人と化すか、発狂するか・・・皮肉にも、不老不死など幻想であるということは、やつら自身がよく身に染みて知っている。それゆえに、刹那的な快楽に溺れるようになる・・・他者を顧みることのない、刹那的な欲望の充足こそ、絶対的な真理となる」
昔、前文明時代の古代哲学者にエピクロスという快楽主義を唱えた者がいると聞く。だが、エピクロスのそれは、まだ節度というものをわきまえた快楽主義だった。世羅姫が言うには、それ以下の単なる「享楽主義」なのだと。
自らの慰みのために蟲をまき散らし、世間を混乱させ、自分は隠れた「王国」に引きこもる彼らの姿は、世羅姫から見れば堕落した人間の極限の姿なのだろう。
「・・・いつの日か、戦う日が・・・」
意識は既に微睡みかけている・・・いずれ訪れるであろう育ての親との戦いの予感を感じながら、鏡香は深い眠りに落ちたー。
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