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第2章 確かなもの
第33話 小用・・・
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紗耶香と葉月の「お散歩」はまだまだ続くー。
さすがに、葉月もこれ以上喚いてもどうにもならないと諦めたのか、先ほどまでよりは静かになり、黙々と紗耶香の後ろを四つ足で歩いていた。
「うう・・・」
とはいえ、相変わらずの表情ではあったが。
紗耶香は相変わらずのルンルン気分で首輪のリールを引き続ける。まだまだ道半ばーいくらでも葉月をいじれるチャンスはある。
学校周辺は閑静な住宅街といったところで、もちろん人は住んでいないはずなのだが、それでもその光景は普通の日本の街並みとはほとんど変わらないように見受けられた。
「あの家の窓から誰か覗いてたりして・・・」
「ひゃう・・・って、先輩!」
紗耶香が葉月をからかう。もちろん、周辺の民家からは人の気配はしない。ただ日本の街並みをまねて作られただけの箱庭。住人だけがいないゴーストタウン。閑静すぎる閑静な住宅街ー。
ただ、この大会の参加者がまれに住宅に潜んでいることはよくあることだ。大抵の場合、一人ではなく2~3人くらいが同じ住宅に隠れて生活していたりする。一応、当面の間は協力関係にある連中が身を寄せ合って暮らしているというわけだ。
少なくとも、今の「お散歩コース」には人はいないのは気配のなさからわかる。ただ、それでも誰かが監視している可能性は十二分にあるのだが。
「先輩って、時々マジで鬼畜っすよね」
不貞腐れた表情を浮かべて葉月が文句を言いだす。
「おいおい、お前みたいな可愛い犬にお散歩と躾をしてやる慈しみ深い飼い主様のどこが鬼畜だってんだ?」
「先輩・・・そういうところがもろに鬼畜っす」
歩くこと既に40分ほどー残り半分くらいの位置までは、何とか順調(最初のうちは葉月が盛大に騒いでいたが、さすがにもう落ち着いた)に「お散歩」していた二人だったが・・・。
「あ、あれ・・・?」
突然、葉月の体に異変が起こった。
「どうした、葉月?」
彼女の異変に気が付いた紗耶香が声をかける。
「あ、あの・・・先輩?」
葉月がその場で動きを止める。紗耶香もリールを引くのをやめて、葉月の方を見やった。
ーもっとも、紗耶香はなぜ彼女が歩みを止めたか、その理由は見当がついていたのだがー
「この近くの家に入っちゃだめっすか?」
「ああ?」
紗耶香は、わかっているのにわからないふりを装って葉月に尋ねた。
「あ、あの、あたし・・・」
葉月が、今まで以上に顔を紅潮させ、下唇を噛みしめながら、何かを言おうとしている。何かを「耐えている」ような表情だった。
そして、何に耐えているのか、紗耶香にはわかっている。
「ワンコ連れて他人の家に上がれと?」
わかっているが、敢えて突き放すような口ぶりで問いかける紗耶香。ここからが楽しいひと時となりそうだ。
「お、お散歩中なのはわかりますが、その、あの・・・うう」
葉月がやたらともじもじし始める。今まで以上に目が泳いでおり、これはあることの「タイムリミット」が近いことを意味していた。
「はっきり言え、天内葉月・・・お前は何がしたいんだ?天内葉月!そうじゃないと、あたしもお前の要望に応えられないだろ、天内葉月~!」
「ああああ!なんで今だけあたしの本名連呼するんすか!!しかも、わざとらしく大きな声で!」
葉月は絶叫しながらも、しかし一方で不自然に自らの股の間を意識していたりする。そんな彼女の様子を見て、紗耶香が口の端を歪めた。
先ほど飲ませておいたアレが効いてきた頃合だ。葉月の慌てぶりを見ても、それは一目瞭然だった。
「せ、先輩・・・あの、あたし・・・」
「ほら、さっさと言え。言えばすっきりするぞ・・・多分な」
紗耶香が酷薄な笑みを浮かべて続きを促す。
この人は、今日はマジで鬼畜っす・・・。
葉月は、恥ずかしがりながらも、ついにその言葉を口にしたー。
さすがに、葉月もこれ以上喚いてもどうにもならないと諦めたのか、先ほどまでよりは静かになり、黙々と紗耶香の後ろを四つ足で歩いていた。
「うう・・・」
とはいえ、相変わらずの表情ではあったが。
紗耶香は相変わらずのルンルン気分で首輪のリールを引き続ける。まだまだ道半ばーいくらでも葉月をいじれるチャンスはある。
学校周辺は閑静な住宅街といったところで、もちろん人は住んでいないはずなのだが、それでもその光景は普通の日本の街並みとはほとんど変わらないように見受けられた。
「あの家の窓から誰か覗いてたりして・・・」
「ひゃう・・・って、先輩!」
紗耶香が葉月をからかう。もちろん、周辺の民家からは人の気配はしない。ただ日本の街並みをまねて作られただけの箱庭。住人だけがいないゴーストタウン。閑静すぎる閑静な住宅街ー。
ただ、この大会の参加者がまれに住宅に潜んでいることはよくあることだ。大抵の場合、一人ではなく2~3人くらいが同じ住宅に隠れて生活していたりする。一応、当面の間は協力関係にある連中が身を寄せ合って暮らしているというわけだ。
少なくとも、今の「お散歩コース」には人はいないのは気配のなさからわかる。ただ、それでも誰かが監視している可能性は十二分にあるのだが。
「先輩って、時々マジで鬼畜っすよね」
不貞腐れた表情を浮かべて葉月が文句を言いだす。
「おいおい、お前みたいな可愛い犬にお散歩と躾をしてやる慈しみ深い飼い主様のどこが鬼畜だってんだ?」
「先輩・・・そういうところがもろに鬼畜っす」
歩くこと既に40分ほどー残り半分くらいの位置までは、何とか順調(最初のうちは葉月が盛大に騒いでいたが、さすがにもう落ち着いた)に「お散歩」していた二人だったが・・・。
「あ、あれ・・・?」
突然、葉月の体に異変が起こった。
「どうした、葉月?」
彼女の異変に気が付いた紗耶香が声をかける。
「あ、あの・・・先輩?」
葉月がその場で動きを止める。紗耶香もリールを引くのをやめて、葉月の方を見やった。
ーもっとも、紗耶香はなぜ彼女が歩みを止めたか、その理由は見当がついていたのだがー
「この近くの家に入っちゃだめっすか?」
「ああ?」
紗耶香は、わかっているのにわからないふりを装って葉月に尋ねた。
「あ、あの、あたし・・・」
葉月が、今まで以上に顔を紅潮させ、下唇を噛みしめながら、何かを言おうとしている。何かを「耐えている」ような表情だった。
そして、何に耐えているのか、紗耶香にはわかっている。
「ワンコ連れて他人の家に上がれと?」
わかっているが、敢えて突き放すような口ぶりで問いかける紗耶香。ここからが楽しいひと時となりそうだ。
「お、お散歩中なのはわかりますが、その、あの・・・うう」
葉月がやたらともじもじし始める。今まで以上に目が泳いでおり、これはあることの「タイムリミット」が近いことを意味していた。
「はっきり言え、天内葉月・・・お前は何がしたいんだ?天内葉月!そうじゃないと、あたしもお前の要望に応えられないだろ、天内葉月~!」
「ああああ!なんで今だけあたしの本名連呼するんすか!!しかも、わざとらしく大きな声で!」
葉月は絶叫しながらも、しかし一方で不自然に自らの股の間を意識していたりする。そんな彼女の様子を見て、紗耶香が口の端を歪めた。
先ほど飲ませておいたアレが効いてきた頃合だ。葉月の慌てぶりを見ても、それは一目瞭然だった。
「せ、先輩・・・あの、あたし・・・」
「ほら、さっさと言え。言えばすっきりするぞ・・・多分な」
紗耶香が酷薄な笑みを浮かべて続きを促す。
この人は、今日はマジで鬼畜っす・・・。
葉月は、恥ずかしがりながらも、ついにその言葉を口にしたー。
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