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第3章 虚ろなる人形
第81話 明菜の首を
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ついに、小坂明菜の首に両手をかけた勅使河原ー
あの絵が完成して、さらにその翌日。勅使河原は明菜を自宅の応接間へと呼び、渡辺真理同様に眠らせて、蔵へと運んだ。もちろん、彼女も真理と同様に椅子に拘束するという形をとった。
明菜も、蔵に無言で入ってきた勅使河原の姿に言い知れぬ恐怖を感じたようだ。それは、先に殺された真理がそうだったのと同じことだったように。
椅子をガタガタと揺らしつつ、何とか拘束から逃れようとする明菜を、うっとりとした表情で見つめる勅使河原。思い返せば、殺される直前の真理も、やはり同様だった。
なぜ・・・と問いかける姿も、やはり真理同様だ。
ーその問いかけを私にすること自体が、あなたたちが私のことを表面的に捉えていないといういい証拠ではなくてー
結局、私の周りの子たちは、私のことをうわべだけでしか理解していないーだからこそ、あっさりと騙され、そして死に至ることになる。
「勅使河原さん・・・お願い、離して!」
「怖がることはないわ・・・小坂さん。これからあなたは、真理のところに行くのだから」
「・・・え?」
そう、これから明菜は、真理の後を追う形で自分に殺されることになる。殺し方も同じ、そして、殺した後に、首だけとなり私と共にあり続けるのもまた同じ。
結局、私に見初められた者は、同じ末路を迎えることになるのだ。
「真理は、私が殺したわ」
「・・・!」
勅使河原のあまりにもあっさりとした告白に、明菜が目を見開き息を呑んだ。
「・・・殺したって・・・嘘」
「いいえ、本当のことよ、小坂さん、いえ、明菜」
勅使河原は、自分の獲物となる少女のことを、最後には名前で呼んであげることに決めていた。
「私が、殺したのよ。真理の首を絞めて」
「・・・そんな」
明菜は、言葉にもならないといった面持ちで、ただ勅使河原を見つめ返していた。真理だけでなく、私自身も尊敬していた勅使河原さんが、まさかそんなことをするなんてーと、顔に書いてあるようだった。
ーまさに、うわべだけの理解よねー
これが、あの川澄という少女だったら、どんな反応をするのだろう。あの少女は、いつも勅使河原のことを訝し気な目で見ていた。ひょっとしたら、既に勅使河原が真理の「失踪」に関わっているのではないかとさえ、思っているのではないか。
なら、もし彼女もここに連れてきて、今の明菜と同じ目に遭わせてやれば、果たしてどんな反応をするのか、それはそれで面白そうではある。
何よりも、あのボーイッシュな雰囲気がそそられた。明菜の次のターゲットは、やはり彼女しかいないだろう。
「・・・私、とても信じられません」
明菜が、涙ぐみながら、勅使河原に必死に問いかける。何かの間違いであると、彼女自身の願いも込めてー
「勅使河原さんは、今までいろんなことで相談に乗ってくださいましたし、私には、そんなこと、とても信じられないです!あなたは・・・あなたはそんなことなんてしない・・・」
「・・・そう、それがあなたの、私に対する見立て・・・なのね」
勅使河原は、明菜の首に両手を描けた。そして、恐怖に歪む明菜に、優し気な声で語り掛ける。
「私は、こういう女なのよ」
勅使河原の瞳が胡乱な輝きを帯び始めたー
あの絵が完成して、さらにその翌日。勅使河原は明菜を自宅の応接間へと呼び、渡辺真理同様に眠らせて、蔵へと運んだ。もちろん、彼女も真理と同様に椅子に拘束するという形をとった。
明菜も、蔵に無言で入ってきた勅使河原の姿に言い知れぬ恐怖を感じたようだ。それは、先に殺された真理がそうだったのと同じことだったように。
椅子をガタガタと揺らしつつ、何とか拘束から逃れようとする明菜を、うっとりとした表情で見つめる勅使河原。思い返せば、殺される直前の真理も、やはり同様だった。
なぜ・・・と問いかける姿も、やはり真理同様だ。
ーその問いかけを私にすること自体が、あなたたちが私のことを表面的に捉えていないといういい証拠ではなくてー
結局、私の周りの子たちは、私のことをうわべだけでしか理解していないーだからこそ、あっさりと騙され、そして死に至ることになる。
「勅使河原さん・・・お願い、離して!」
「怖がることはないわ・・・小坂さん。これからあなたは、真理のところに行くのだから」
「・・・え?」
そう、これから明菜は、真理の後を追う形で自分に殺されることになる。殺し方も同じ、そして、殺した後に、首だけとなり私と共にあり続けるのもまた同じ。
結局、私に見初められた者は、同じ末路を迎えることになるのだ。
「真理は、私が殺したわ」
「・・・!」
勅使河原のあまりにもあっさりとした告白に、明菜が目を見開き息を呑んだ。
「・・・殺したって・・・嘘」
「いいえ、本当のことよ、小坂さん、いえ、明菜」
勅使河原は、自分の獲物となる少女のことを、最後には名前で呼んであげることに決めていた。
「私が、殺したのよ。真理の首を絞めて」
「・・・そんな」
明菜は、言葉にもならないといった面持ちで、ただ勅使河原を見つめ返していた。真理だけでなく、私自身も尊敬していた勅使河原さんが、まさかそんなことをするなんてーと、顔に書いてあるようだった。
ーまさに、うわべだけの理解よねー
これが、あの川澄という少女だったら、どんな反応をするのだろう。あの少女は、いつも勅使河原のことを訝し気な目で見ていた。ひょっとしたら、既に勅使河原が真理の「失踪」に関わっているのではないかとさえ、思っているのではないか。
なら、もし彼女もここに連れてきて、今の明菜と同じ目に遭わせてやれば、果たしてどんな反応をするのか、それはそれで面白そうではある。
何よりも、あのボーイッシュな雰囲気がそそられた。明菜の次のターゲットは、やはり彼女しかいないだろう。
「・・・私、とても信じられません」
明菜が、涙ぐみながら、勅使河原に必死に問いかける。何かの間違いであると、彼女自身の願いも込めてー
「勅使河原さんは、今までいろんなことで相談に乗ってくださいましたし、私には、そんなこと、とても信じられないです!あなたは・・・あなたはそんなことなんてしない・・・」
「・・・そう、それがあなたの、私に対する見立て・・・なのね」
勅使河原は、明菜の首に両手を描けた。そして、恐怖に歪む明菜に、優し気な声で語り掛ける。
「私は、こういう女なのよ」
勅使河原の瞳が胡乱な輝きを帯び始めたー
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