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第4章 更なる戦い
第147話 湯に揺蕩うのは
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「ふうう~いい気持ち~」
アルカディア島に来てからというもの、ほとんどシャワーだけで済ませてきたヒナにとって、こうして広々とした浴場の湯に浸かるのはこの上なく至福であった。心なしか、ヒナの表情が普段よりもさらに締まりなく見えてしまう。
「やれやれ・・・子猫ちゃんの気持ちよさそうな顔を見てると、こっちまで気が緩んでしまうよ」
優華と静も湯壺に身を委ねてー静が隣でハアハア言っているような気もするが、これ以上突っ込むのも疲れるので、敢えて放っておくことにしたー朝風呂(といっても、もう昼間も近いのだが)を堪能した。
乳白色の湯が、少女たちのきめ細かな肌に浸透していく。このアルカディア島の施設は、元々日本にあるものをそっくりそのままの形で作られており、大会参加者以外には人は見当たらないものの、この旅館もきちんと「旅館」として稼働しているのだ。
「たっぷり堪能していきな、子猫ちゃん。ずっとシャワーだけだったんだろ?」
「うん」
半分以上とろけた様子で湯に浸かるヒナ。今の彼女の姿だけを見れば、とてもではないが自分たち以上に相手を殺しているようには見えないーが。
ー実際に、子猫ちゃんは3人以上は殺ってるはずだー
擬体の残り香でわかる。こう見えて、ヒナがかなりの使い手であることは、邂逅した直後のあのやり取りで優香自身も実感していた。
おそらくは、戦いが何度も続いて一か所に留まることもできなかったのだろう。落ち着く場所もなかったので、施設を転々としていたのではないだろうか。だから、きちんとした風呂にも浸かる余裕もなかったのだろう。
ーそれにしてもー
優華は、湯の上に浮かんで見えるヒナのソレに思わず息を呑んだ。
優華も静も、自分たちの体形にはそれなりに自身があるが、ヒナの場合は年下で、しかも背丈は低いのに、やたらと体の凹凸だけは大したものだなと改めて思い知らされる。
ーこれなら確かに・・・静でなくてもそそられる、かー
実際に、隣で静の息使いがさらに荒々しくなっている・・・ような気がする。
まあ、いつもことだし、静のことはとりあえず無視することにした。
ーそそられる・・・かー
もしかしたらだが、ヒナはこの体形ゆえに何度も性行為と戦いに巻き込まれてきたのではないか。その蠱惑的な肢体は、確かに相手の欲情を刺激するものがある。
ー昔のくのいちなんかは、自分の体そのものも武器にしていたって言うけれどー
ハニートラップは、古今東西で当たり前に行われていることだ。
だが、このアルカディアでは、ハニートラップで狙われる対象が異性ではなく同性であるという点が決定的に異なるのだがー
ー過去の歴史に、同性同士のハニートラップってあったのかなー
プカプカと浮いているようにも見えるヒナの乳房をじっくりと見つめながら、優香はどうでもいいことを考えていたことに気が付き、自嘲気味に苦笑する。
ー仮に、そういうのがあったとして、この子猫ちゃんならその役目を果たせそうだけどなー
先ほど、ヒナに対して言い放った言葉を思い出す。
ーもし、もっと早い段階で会っていれば、そのまま敵同士になっていたのかもしれないとー
実力的に言えば、まだ優香の方がヒナよりも上かもしれないが、例え実戦となったとしても、おそらく僅差の勝利にしかならないだろう。それは、昨日出会い頭に勝負したことでよくわかっている。
いずれは戦うことになる相手だが、できることなら戦いたくはないというのは、何もヒナに対しての感傷だけではない。実力の上でも苦戦は必至だからだ。
ヒナは相変わらず半分とろけている状態だったー自分の乳房を不躾に見つめ続ける優香にも気が付かないほどに、ヒナは風呂を満喫しきっている。
いつかは訪れるその時が、可能な限り遅く訪れてくれることを祈る優香だった。
アルカディア島に来てからというもの、ほとんどシャワーだけで済ませてきたヒナにとって、こうして広々とした浴場の湯に浸かるのはこの上なく至福であった。心なしか、ヒナの表情が普段よりもさらに締まりなく見えてしまう。
「やれやれ・・・子猫ちゃんの気持ちよさそうな顔を見てると、こっちまで気が緩んでしまうよ」
優華と静も湯壺に身を委ねてー静が隣でハアハア言っているような気もするが、これ以上突っ込むのも疲れるので、敢えて放っておくことにしたー朝風呂(といっても、もう昼間も近いのだが)を堪能した。
乳白色の湯が、少女たちのきめ細かな肌に浸透していく。このアルカディア島の施設は、元々日本にあるものをそっくりそのままの形で作られており、大会参加者以外には人は見当たらないものの、この旅館もきちんと「旅館」として稼働しているのだ。
「たっぷり堪能していきな、子猫ちゃん。ずっとシャワーだけだったんだろ?」
「うん」
半分以上とろけた様子で湯に浸かるヒナ。今の彼女の姿だけを見れば、とてもではないが自分たち以上に相手を殺しているようには見えないーが。
ー実際に、子猫ちゃんは3人以上は殺ってるはずだー
擬体の残り香でわかる。こう見えて、ヒナがかなりの使い手であることは、邂逅した直後のあのやり取りで優香自身も実感していた。
おそらくは、戦いが何度も続いて一か所に留まることもできなかったのだろう。落ち着く場所もなかったので、施設を転々としていたのではないだろうか。だから、きちんとした風呂にも浸かる余裕もなかったのだろう。
ーそれにしてもー
優華は、湯の上に浮かんで見えるヒナのソレに思わず息を呑んだ。
優華も静も、自分たちの体形にはそれなりに自身があるが、ヒナの場合は年下で、しかも背丈は低いのに、やたらと体の凹凸だけは大したものだなと改めて思い知らされる。
ーこれなら確かに・・・静でなくてもそそられる、かー
実際に、隣で静の息使いがさらに荒々しくなっている・・・ような気がする。
まあ、いつもことだし、静のことはとりあえず無視することにした。
ーそそられる・・・かー
もしかしたらだが、ヒナはこの体形ゆえに何度も性行為と戦いに巻き込まれてきたのではないか。その蠱惑的な肢体は、確かに相手の欲情を刺激するものがある。
ー昔のくのいちなんかは、自分の体そのものも武器にしていたって言うけれどー
ハニートラップは、古今東西で当たり前に行われていることだ。
だが、このアルカディアでは、ハニートラップで狙われる対象が異性ではなく同性であるという点が決定的に異なるのだがー
ー過去の歴史に、同性同士のハニートラップってあったのかなー
プカプカと浮いているようにも見えるヒナの乳房をじっくりと見つめながら、優香はどうでもいいことを考えていたことに気が付き、自嘲気味に苦笑する。
ー仮に、そういうのがあったとして、この子猫ちゃんならその役目を果たせそうだけどなー
先ほど、ヒナに対して言い放った言葉を思い出す。
ーもし、もっと早い段階で会っていれば、そのまま敵同士になっていたのかもしれないとー
実力的に言えば、まだ優香の方がヒナよりも上かもしれないが、例え実戦となったとしても、おそらく僅差の勝利にしかならないだろう。それは、昨日出会い頭に勝負したことでよくわかっている。
いずれは戦うことになる相手だが、できることなら戦いたくはないというのは、何もヒナに対しての感傷だけではない。実力の上でも苦戦は必至だからだ。
ヒナは相変わらず半分とろけている状態だったー自分の乳房を不躾に見つめ続ける優香にも気が付かないほどに、ヒナは風呂を満喫しきっている。
いつかは訪れるその時が、可能な限り遅く訪れてくれることを祈る優香だった。
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