百合斬首~晒しな日記~

ミケとポン太

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第4章 更なる戦い

第331話 小川明子11

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 看守姿の少女たちは、彩木穂乃果という少女について今後どうするかを話し合いながら、とあるビジネスホテルの前で立ち止まった。
「・・・?」
 2人に見つからないよう、少し離れた電信柱の影に隠れながら様子を窺う藤原優里。
 ーあそこが、あのお二人が宿泊している場所なのかしらー
 建物自体はそんなに大きなものではない。日本なら、よく駅前などで見かけるビジネスホテルの類だ。確かに、一時的に身を寄せるのが目的ならこの手の施設はうってつけだろう。
「さあて、餌も仕入れてきたし、さっさとお嬢様方が待つ部屋まで行きますかね」
 冗談めかしたような口調で、アエローが言った。
「お嬢様方って・・・まあ、穂乃果はそうかもしんないけど、ケライノーはあたしらと同じで当てはまらんだろう。あいつがお嬢様ならあたしらだって立派なお嬢様さ」
 苦笑しながら突っ込むオキュペテー。それに負けじと、アエローも返す。
「日本にいた頃、メイド喫茶に入ったら、お帰りなさいませ、お嬢様って言われたことがあるぞ」
「・・・お前ね」
 メイド喫茶や執事喫茶の定番挨拶を持ち出すアエローに呆れ顔で肩を竦めるオキュペテー。これ以上付き合うのもあほらしいと思ったのか、アエローを置いてホテルの中に入ろうとする。
「あ、おいおい、あたしを置いてくなって」
 アエローが買い物袋を揺らしながらあとを追いかける。
 彼女たちがビジネスホテルに入ったのを確認して、優里も電信柱の影から姿を現した。
「これは・・・決まりですね」
 どうやら、あの看守たちと、昼に取り逃がした少女の関係者と思しき穂乃果なる人物は、今はここに滞在しているようだった。
「あの看守たちはともかく・・・その穂乃果さんとやらには少しお話を伺いたいところですね」
 穂乃果という少女には興味が湧いてきた。
 昼に逃がしてしまった小川明子の言によれば、2人は懇意の関係であり、まだ再会を果たしてはいないようだ。
 だが、穂乃果を問い詰めることができれば、明子について何らかの情報を得られる可能性もある。
 ただ、問題なのはー
「できれば、その穂乃果さんがお一人というタイミングを狙いたいところですが・・・」
 おそらく、今夜は難しいだろう。あの2人の看守のほかに、もう1人、ケライノーなる人物も傍にいるようだ。その3人が近くにいる限り、手を出しにくい。
「必ず離れるタイミングはあるんでしょうけど・・・そうね、今夜は近くで様子見ってところかしら」
 幸い、ここはホテルである。さらに言えば、他に宿泊客がいそうな雰囲気もない。要は、使っていない部屋もたくさんあるわけで、ここアルカディア島ではお金を払わずともホテルを利用してもいい。
 それならー
「私も、このホテルのお世話になりますか」
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