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第4章 更なる戦い
第332話 小川明子12
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というわけで、穂乃果、看守トリオ、そして自らが探し求めている小川明子が一時的に宿泊しているこのビジネスホテルに泊まることにした藤原優里。
ホテルの玄関の自動扉をくぐり、中を覗き込む。
「・・・至って普通のホテルですね」
アルカディア島の建物は、今回の大会対象者がみな日本人なのを受けてか、日本風に設計されている。したがって、中の作りは見慣れたものなのは当然だった。
見たところは、特に豪華ということもなく、普通のビジネスホテルーただし、従業員などは一切おらず、大会参加者には自由に解放されている点が大きく異なる。
「・・・お金のいらない世界に迷い込んだ気分ですね」
施設、公共交通機関、あらゆる商店は、無料で使いたい放題ーそのくせ、ちゃっかり「料金表」が掲示されていたりするのはご愛嬌というところだろう。必要性の有無ではなく、単に日本に似せた作りだから掲示しているのだろうが、それでも見ていると笑みがこみあげてくる。
「さて・・・」
とりあえず、あの看守たちがどの部屋に行ったかだけでも確認しておきたい。幸いにして、このホテルは、客室は3階までとなっており、部屋数もそんなに多くはないので、探すのはそんなに骨を折る作業というわけでもないだろうーが。
「今日のところは、私も部屋で体を休めたいところです」
せっかくホテルに入ったのだ。気分転換するのもいいかもしれない。
「何日宿泊しても無料、チェックアウトも気にしなくてもいいだなんて、活動拠点とするにはちょうどいいかもしれませんね」
しばらくの間は、この辺りで活動しようかと考えていたところだ。
「・・・」
気配がするーあの看守たち以外にも、どうやら誰かが寝泊まりしているようだ。
2階だろうか。
「2階に行ってみますか」
誰にでもなく独り言ちながら、付近の階段を上る優里。
2階の廊下には誰もいないが、210室付近から誰かの気配を感じる。
誰かがいるのは間違いない。
だが、まさかその誰かが、まさに自分が探し求めている人物であろうとは、この時の優里には知る由もなかった。
「・・・探るのは、明日でもいいでしょう。それより」
2階から感じられる気配は1人だけーおそらく、先ほどの看守たちはこの上の階に部屋をとっているのだろう。
そして、その部屋に穂乃果という少女もいるはずだ。
「3階に行ってみましょうか・・・」
3階に行こうかと思った優里だがー
「・・・今日は疲れたので、明日にしましょうか」
今日は、さんざん明子を追い掛け回していたのだ。それなりに体はつかれており、休息を欲していた。早く体を洗ってベッドに潜りたいという気持ちの方が勝っていた。
「それでは、私は202室に」
気配がするのは210室だが、あまりに近くの部屋を取ると、210室の人間に勘づかれる可能性もある。今日は202室で体を休めることにしよう。
ホテルの玄関の自動扉をくぐり、中を覗き込む。
「・・・至って普通のホテルですね」
アルカディア島の建物は、今回の大会対象者がみな日本人なのを受けてか、日本風に設計されている。したがって、中の作りは見慣れたものなのは当然だった。
見たところは、特に豪華ということもなく、普通のビジネスホテルーただし、従業員などは一切おらず、大会参加者には自由に解放されている点が大きく異なる。
「・・・お金のいらない世界に迷い込んだ気分ですね」
施設、公共交通機関、あらゆる商店は、無料で使いたい放題ーそのくせ、ちゃっかり「料金表」が掲示されていたりするのはご愛嬌というところだろう。必要性の有無ではなく、単に日本に似せた作りだから掲示しているのだろうが、それでも見ていると笑みがこみあげてくる。
「さて・・・」
とりあえず、あの看守たちがどの部屋に行ったかだけでも確認しておきたい。幸いにして、このホテルは、客室は3階までとなっており、部屋数もそんなに多くはないので、探すのはそんなに骨を折る作業というわけでもないだろうーが。
「今日のところは、私も部屋で体を休めたいところです」
せっかくホテルに入ったのだ。気分転換するのもいいかもしれない。
「何日宿泊しても無料、チェックアウトも気にしなくてもいいだなんて、活動拠点とするにはちょうどいいかもしれませんね」
しばらくの間は、この辺りで活動しようかと考えていたところだ。
「・・・」
気配がするーあの看守たち以外にも、どうやら誰かが寝泊まりしているようだ。
2階だろうか。
「2階に行ってみますか」
誰にでもなく独り言ちながら、付近の階段を上る優里。
2階の廊下には誰もいないが、210室付近から誰かの気配を感じる。
誰かがいるのは間違いない。
だが、まさかその誰かが、まさに自分が探し求めている人物であろうとは、この時の優里には知る由もなかった。
「・・・探るのは、明日でもいいでしょう。それより」
2階から感じられる気配は1人だけーおそらく、先ほどの看守たちはこの上の階に部屋をとっているのだろう。
そして、その部屋に穂乃果という少女もいるはずだ。
「3階に行ってみましょうか・・・」
3階に行こうかと思った優里だがー
「・・・今日は疲れたので、明日にしましょうか」
今日は、さんざん明子を追い掛け回していたのだ。それなりに体はつかれており、休息を欲していた。早く体を洗ってベッドに潜りたいという気持ちの方が勝っていた。
「それでは、私は202室に」
気配がするのは210室だが、あまりに近くの部屋を取ると、210室の人間に勘づかれる可能性もある。今日は202室で体を休めることにしよう。
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