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第4章 更なる戦い
第399話 ゲーム会場へようこそ39
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御堂たち4人が魔物ヴェリエルを見事撃破した同時刻、小川明子たちも魔物の群れを掃討していた。
「や、やった・・・」
初めての戦いで、極度の緊張を強いられていた明子だったが、最後の1匹を何とか始末して、そのまま地面へとへたり込んだ。
「よおっし、これでここの魔物たちはあらかた片付いたわね」
「お疲れさまでした、お二人とも」
茂みの中から現れた魔物の群れを一掃し、一息入れる優菜と美羽。もっとも、このゲーム3回目の挑戦となる彼女たちにとっては、この程度のやつら等さして障害にはならなかった。
ただ、明子にとっては初陣ーやはり、体は正直なもので、一度地面へとへたり込んでしまうとなかなか起き上がれなくなるものである。
「初めてにしてはよく頑張ったじゃない、明子」
優菜が、地面に座り込む明子に手を貸そうとする。
明子は、ぎこちなくその手を取り、何とか立ち上がった。
「ふう・・・生きた心地がしなかったよ」
明子は、生前は陸上部にいたので体力には自信があったが、さすがに部活の短距離走をやるのと魔物退治では勝手が違いすぎる。ただただ、体力だけあれば何とかなるというものではないということを十分思い知らされた形となった。
「あらあら、これから先、まだまだこんな戦いはありますよ」
美羽が悪戯めかした表情で告げる。美羽の言葉に、露骨に顔をしかめる明子だったが、
「大丈夫、あたしらだって、最初は今の明子みたいにクタクタだったから。戦いを何度も繰り返していけば、そのうち順応できるようになるわよ」
明子を引っ張り上げて、何とか立ち上がらせた後、優菜は軽く周囲を見まわした。この周辺の魔物たちは全て仕留めたはずだが、一応周囲は警戒しておくに越したことはない。魔物ばかりではなく、何らかのトラップが働くこともあるからだ。
「まあ、今の魔物たちは比較的弱い部類でしょうから、今のうちに戦い慣れしておくといいでしょう」
ー戦い慣れ、かー
そもそも、自分が戦闘を行うということさえ、生前では考えもしなかったことである。それが、まるでアニメやゲームの主人公のように武器を振り回して魔物とこうしてやり合っているのだ。明子の中に不思議な感慨が湧いてきた。
「よし、周囲には魔物はもういないし、見たところ、トラップらしいものも無いようね」
「とか言って、地雷とか埋まっていたらいやですけどね」
「地雷なら、あたしらじゃあ確認のしようがないわよ・・・おとなしくやられて擬体破損率100%確定コースって感じね」
「せめて、地雷探知機みたいなものがあればいいんですけどね」
優菜と美羽の会話の中にたびたび出てくる地雷という単語を聞いて、明子が焦ったように問いただした。
「地雷って・・・このゲームそう言うの当たり前にあるの?」
明子の尤もな疑問に、優菜はうーんと軽く唸ってから、
「まあ、その時々にもよるんだけど・・・少なくとも、あたしたちは2度目のゲームの時に地雷地帯を経験してるから」
「あれは・・・最悪でしたねえ・・・よく実際の戦場では戦争捕虜を地雷地帯に行かせたりしてますよね。アレと似たようなことが前回おきましたからね」
2人の会話に、ただただ戦慄を覚える明子であった。
「や、やった・・・」
初めての戦いで、極度の緊張を強いられていた明子だったが、最後の1匹を何とか始末して、そのまま地面へとへたり込んだ。
「よおっし、これでここの魔物たちはあらかた片付いたわね」
「お疲れさまでした、お二人とも」
茂みの中から現れた魔物の群れを一掃し、一息入れる優菜と美羽。もっとも、このゲーム3回目の挑戦となる彼女たちにとっては、この程度のやつら等さして障害にはならなかった。
ただ、明子にとっては初陣ーやはり、体は正直なもので、一度地面へとへたり込んでしまうとなかなか起き上がれなくなるものである。
「初めてにしてはよく頑張ったじゃない、明子」
優菜が、地面に座り込む明子に手を貸そうとする。
明子は、ぎこちなくその手を取り、何とか立ち上がった。
「ふう・・・生きた心地がしなかったよ」
明子は、生前は陸上部にいたので体力には自信があったが、さすがに部活の短距離走をやるのと魔物退治では勝手が違いすぎる。ただただ、体力だけあれば何とかなるというものではないということを十分思い知らされた形となった。
「あらあら、これから先、まだまだこんな戦いはありますよ」
美羽が悪戯めかした表情で告げる。美羽の言葉に、露骨に顔をしかめる明子だったが、
「大丈夫、あたしらだって、最初は今の明子みたいにクタクタだったから。戦いを何度も繰り返していけば、そのうち順応できるようになるわよ」
明子を引っ張り上げて、何とか立ち上がらせた後、優菜は軽く周囲を見まわした。この周辺の魔物たちは全て仕留めたはずだが、一応周囲は警戒しておくに越したことはない。魔物ばかりではなく、何らかのトラップが働くこともあるからだ。
「まあ、今の魔物たちは比較的弱い部類でしょうから、今のうちに戦い慣れしておくといいでしょう」
ー戦い慣れ、かー
そもそも、自分が戦闘を行うということさえ、生前では考えもしなかったことである。それが、まるでアニメやゲームの主人公のように武器を振り回して魔物とこうしてやり合っているのだ。明子の中に不思議な感慨が湧いてきた。
「よし、周囲には魔物はもういないし、見たところ、トラップらしいものも無いようね」
「とか言って、地雷とか埋まっていたらいやですけどね」
「地雷なら、あたしらじゃあ確認のしようがないわよ・・・おとなしくやられて擬体破損率100%確定コースって感じね」
「せめて、地雷探知機みたいなものがあればいいんですけどね」
優菜と美羽の会話の中にたびたび出てくる地雷という単語を聞いて、明子が焦ったように問いただした。
「地雷って・・・このゲームそう言うの当たり前にあるの?」
明子の尤もな疑問に、優菜はうーんと軽く唸ってから、
「まあ、その時々にもよるんだけど・・・少なくとも、あたしたちは2度目のゲームの時に地雷地帯を経験してるから」
「あれは・・・最悪でしたねえ・・・よく実際の戦場では戦争捕虜を地雷地帯に行かせたりしてますよね。アレと似たようなことが前回おきましたからね」
2人の会話に、ただただ戦慄を覚える明子であった。
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