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呪われた子 21
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「もう大丈夫だ」
聞きなれない声に目を開くと、白い服を着た初老の男が側に座っていた。落ちかけるまぶたに抵抗して、左右を見れば、サアラとガリウスが覗き込んでいる。
「少し、血を流しすぎたせいで、具合は悪いかもしれないけど、命には別状はないってさ。良かったね」
「まったく、しぶといわね」
再び、まぶたが落ちる。
真っ暗な穴の中に落ちていく。深い竪穴だった。
「早く来いよ」
暗闇の中で声が聞こえる。セヴルには聞き覚えのある声だった。
「俺と一緒に行く気になったんだろう?」
若い男がセヴルに背を向けて立っている。落下はいつの間にか止まっていた。
「レハ?」
「世界を旅して回ろうぜ」
レハは暗闇の奥に向かって歩き出す。セヴルはレハを追いかける。セヴルが走ってもその距離は縮まらない。
「早く来いよ」
レハは時々振り返ってセヴルを手招きする。
「待てよ」
セヴルは懸命に後を追った。それでも距離は離れていく。
「マムルに殺されたんじゃ……」
レハが立ち止まった。
「何、言ってるんだよ。夢でも見てたんじゃねえのか?」
「そうか、良かった」
「お前の右手のせいで俺の首は、こんなんだけどな」
振り返ったレハの首が真横に切り裂かれている。セヴルの右手にはいつの間にか、血塗られた魔晶石が握られている。
「返せよ。俺の石。返せよ、俺の人生を……」
レハの手がセヴルの肩をつかむ。セヴルは、レハの腕を振り払う。
「俺じゃない!」
「お前はひどい奴だ。お前は人殺しだ」
「離せよ!」
振り上げた右手の魔晶石がレハの腕を切り飛ばし宙を舞わせる。
「腕まで奪うなんて……」
レハの落ち窪んだ目から泥の涙が零れ落ちる。
「!」
飛び起きると、そこは木の部屋の中だった。部屋の中は薄暗く、セヴルの寝ているベッドが部屋の半分程度を占めていた。
周りを見れば、ドアが一つあるだけで、窓はなかった。セヴルのほかに誰もいない。
「足が、痛くない……」
起き上がって足を見てみる。包帯が巻かれている。軽く触ってみる。
「治ってるみたいだな」
ゆっくりとベットから起き上がると、ドアへ向かって歩いていく。ドアを開けると、暗い廊下が続いている。廊下を覗き見るが、静けさに包まれていた。
「どこだ?」
部屋に戻りドアを閉める。ゆっくりとベットの上に寝転がった。
「もう少し眠ってからにしよう」
天井には、暗闇がどこまでも広がっている。
セヴルは起き上がると部屋の中を歩き出す。床がかすかにきしむ。
「蟲は、飛び掛ってくる」
身をよじり、見えない何かを避ける。
「避けたら、すぐに斬る。こうかな?」
ゆっくりと右手を振るう。
「斬ったら移動する」
ベットの上に飛び乗り、すぐに床に向かって飛び降りる。
「蟲は直線的な動きで来るから、同じように直線で動かないようにする」
部屋の中を駆け回るセヴル。徐々にそれが早くなっていく。それと共に、部屋の中に響く音も大きくなる。
突如、ドアが開き、サアラが怒鳴る。
「ドタバタうるさい! 今は真夜中なのよ!」
怒鳴り声に負けないくらい大きな音で、ドアは閉じられる。
「……」
セヴルはベットの上に座る。
「寝るか」
そのまま横になると目を瞑る。何度も寝返りを打つ。
「足長の奴だったら、足を切って動けなくしてから斬る方がいいのか」
セヴルはもう一度起き上がる。静かにベットから下りると、部屋の中を動き回る。
「あれ?」
セヴルは動きを止める。ドアが開いて、ガリウスが顔を覗かせる。セヴルが手を上げて応える。
「良かった。治ったんだね」
「ああ」
「でも、そろそろ限界みたいだから、おとなしく寝た方がいいよ」
「限界?」
「彼女、メイスを握ってたよ」
「おっかね」
セヴルは、ベットに戻っていく。横になる前に振り返る。
「ここはどこ?」
「どこまで覚えてるの?」
「わかんない」
「そっか。ここはプロウダーの町で、ミルズの宿だよ」
「草原は越えたんだ」
セヴルはベッドに腰を下ろす。
「あとは朝になったら話そう」
「わかった。ありがとう」
「おやすみ」
ガリウスは笑顔でドアを閉めた。セヴルはすぐにベットに横になる。目を閉じずに、壁を眺め続けた。
「もう大丈夫だ」
聞きなれない声に目を開くと、白い服を着た初老の男が側に座っていた。落ちかけるまぶたに抵抗して、左右を見れば、サアラとガリウスが覗き込んでいる。
「少し、血を流しすぎたせいで、具合は悪いかもしれないけど、命には別状はないってさ。良かったね」
「まったく、しぶといわね」
再び、まぶたが落ちる。
真っ暗な穴の中に落ちていく。深い竪穴だった。
「早く来いよ」
暗闇の中で声が聞こえる。セヴルには聞き覚えのある声だった。
「俺と一緒に行く気になったんだろう?」
若い男がセヴルに背を向けて立っている。落下はいつの間にか止まっていた。
「レハ?」
「世界を旅して回ろうぜ」
レハは暗闇の奥に向かって歩き出す。セヴルはレハを追いかける。セヴルが走ってもその距離は縮まらない。
「早く来いよ」
レハは時々振り返ってセヴルを手招きする。
「待てよ」
セヴルは懸命に後を追った。それでも距離は離れていく。
「マムルに殺されたんじゃ……」
レハが立ち止まった。
「何、言ってるんだよ。夢でも見てたんじゃねえのか?」
「そうか、良かった」
「お前の右手のせいで俺の首は、こんなんだけどな」
振り返ったレハの首が真横に切り裂かれている。セヴルの右手にはいつの間にか、血塗られた魔晶石が握られている。
「返せよ。俺の石。返せよ、俺の人生を……」
レハの手がセヴルの肩をつかむ。セヴルは、レハの腕を振り払う。
「俺じゃない!」
「お前はひどい奴だ。お前は人殺しだ」
「離せよ!」
振り上げた右手の魔晶石がレハの腕を切り飛ばし宙を舞わせる。
「腕まで奪うなんて……」
レハの落ち窪んだ目から泥の涙が零れ落ちる。
「!」
飛び起きると、そこは木の部屋の中だった。部屋の中は薄暗く、セヴルの寝ているベッドが部屋の半分程度を占めていた。
周りを見れば、ドアが一つあるだけで、窓はなかった。セヴルのほかに誰もいない。
「足が、痛くない……」
起き上がって足を見てみる。包帯が巻かれている。軽く触ってみる。
「治ってるみたいだな」
ゆっくりとベットから起き上がると、ドアへ向かって歩いていく。ドアを開けると、暗い廊下が続いている。廊下を覗き見るが、静けさに包まれていた。
「どこだ?」
部屋に戻りドアを閉める。ゆっくりとベットの上に寝転がった。
「もう少し眠ってからにしよう」
天井には、暗闇がどこまでも広がっている。
セヴルは起き上がると部屋の中を歩き出す。床がかすかにきしむ。
「蟲は、飛び掛ってくる」
身をよじり、見えない何かを避ける。
「避けたら、すぐに斬る。こうかな?」
ゆっくりと右手を振るう。
「斬ったら移動する」
ベットの上に飛び乗り、すぐに床に向かって飛び降りる。
「蟲は直線的な動きで来るから、同じように直線で動かないようにする」
部屋の中を駆け回るセヴル。徐々にそれが早くなっていく。それと共に、部屋の中に響く音も大きくなる。
突如、ドアが開き、サアラが怒鳴る。
「ドタバタうるさい! 今は真夜中なのよ!」
怒鳴り声に負けないくらい大きな音で、ドアは閉じられる。
「……」
セヴルはベットの上に座る。
「寝るか」
そのまま横になると目を瞑る。何度も寝返りを打つ。
「足長の奴だったら、足を切って動けなくしてから斬る方がいいのか」
セヴルはもう一度起き上がる。静かにベットから下りると、部屋の中を動き回る。
「あれ?」
セヴルは動きを止める。ドアが開いて、ガリウスが顔を覗かせる。セヴルが手を上げて応える。
「良かった。治ったんだね」
「ああ」
「でも、そろそろ限界みたいだから、おとなしく寝た方がいいよ」
「限界?」
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「おっかね」
セヴルは、ベットに戻っていく。横になる前に振り返る。
「ここはどこ?」
「どこまで覚えてるの?」
「わかんない」
「そっか。ここはプロウダーの町で、ミルズの宿だよ」
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セヴルはベッドに腰を下ろす。
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