【完結】となりに引っ越してきた年下イケメンの性癖は、絶対にヒミツです!?

高野百加

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亮介の秘密

亮介の秘密③

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「ごめんね、私もやりたいと思ったんだけど別件の担当にもなってるから、負担だろうってチーフに言われちゃって……」

「未央さまは言ってくださらなかったのですか。にやらせてほしいと」

「えっ、あー、うん。言いたかったけど、言えなかった」

「なぜ?」「たしかにかけ持ちは大変だし、他の人の勉強にもなるって言われたらちょっと言い出しにくくて……。それに郡司くんのことでやっかんでる人もいるんだよね。今回は遠慮しとくよ」

「未央さまのお気持ちはどうなるのですか?」

「かき乱したくないの。私が黙っていて、うまくいくのなら黙っていたいの……」

「無用な争いは避けたいと?」

うつむいたまま、コクリとうなづいた。

「未央さまがそれでよろしいのなら、かまいません。しかし自分の思いをとどめているのは、よろしくないのでは?」

未央はうつむいたまま返事ができなかった。

「メニュー開発の件は承知しました。残念ですが仕方ありません」

「ごめんね」

「未央さまが、自分らしく生きられることを切に希望いたします」

「……無理だよ、そんなの」

「なぜ?」

「私たちは、誰かと一緒に生きてるんだよ。自分の思いだけで生きてなんていけないよ」

「……未央さま、私はあなたの努力、museで毎朝見ておりました」

「え?」

うつむいていた顔を上げて、未央は亮介の顔を見た。穏やかで、温かい、やさしい笑顔だ。

「毎朝、カフェラテを飲みながら、手帳を広げて一生懸命なにか考えたり、悩んだり。私は素晴らしいなと思っておりました。未央さまは、それだけ努力されています。どうか、ご自身に自信をもってくださいませ。ご自分で作った、枠をはずして自由になってくださいませ」「自由」

「枠だらけになって身動きがとれないのでは? それではつまりません」

「はぁ……」

畳みかける亮介の圧に、だんだん推されてきた。苦しい、胸の奥が。

「……では、あすも仕事ですので、このあたりで失礼いたします」

「うん」

「未央さま最後に」

「え?」

「元に戻る練習がしたいのですが」

じっと見つめられて、どきっとするので目をそらす。その目はずるい。

「ああ、元に戻る練習ね。そうだなどうしたら戻れるかな? なにか手を叩くとか、膝を打つとか? 飲み物を飲むとかどう? それで無理やり戻す感じで」

「いやです」

「え? いや?」
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