【完結】となりに引っ越してきた年下イケメンの性癖は、絶対にヒミツです!?

高野百加

文字の大きさ
94 / 97
王子様のプロポーズ

王子様のプロポーズ③

しおりを挟む
顔が真っ赤になって、手がカタカタと震える。亮介はそのままひざまづいた。

「結婚してください、お姫さま」

まっすぐな目でそう言われる。未央は涙を浮かべながら、しゃがみ込んで亮介と目線を合わせた。

「ありがとうございます、ひとつだけお願いがあります」

亮介はなに? と笑顔でこたえる。

「いつも笑顔じゃなくてもいい。悲しいときは悲しんで、辛いときはつらいと言ってください。そのままのあなたが、ぜんぶ好きだから」

「……はい。承知しましたお姫さま」

図ったように、スマホから流れる曲がサビを迎えていた。すっと立ち上がってキスをしてぎゅっと抱きしめあった。

「亮介、ありがとう」

「ずっと一緒にいようね……。さあ姫、もう我慢の限界です。きょうは寝かせませんよ」

何度も聞いたそのセリフ。心臓がばくんと跳ねる。確かに、きょう寝るのはもったいなさすぎる。

「ベッドへ行きましょう。一晩中かわいがってさしあげますよ」

手をひかれて、寝室へ向かう。何度このシチュエーションを経験してもまったく慣れない。心臓が飛び出しそうだ。「姫、服を脱ぎましょう。レンタルなんで汚れるといけませんから」

えーっ、もう脱ぐの? もうちょっと着ていたかったのに……。ちょっと残念だったけど、亮介のファスナーを下ろす手がぎこちないのがかわいいくて、まあいいかと思った。

ドレスとマントをそっと片付けて、お互い下着だけになってベッドになだれこむ。

布団のなかで、何度も名前を呼び合いながらキスをする。上になったり下になったり、猫みたいにじゃれあった。

一回戦目が終わって、休憩中に、ふと気になったことを聞いてみる。

「亮介、ちょっと聞いてもいい?」
「はい、なんでも? お姫さま」
「あの……、サプライズいつから用意してくれてたの? ここ……すぐ予約できるような部屋じゃないよね?」

亮介は、ん? と笑って未央の髪を撫でた。

「さぁ? 魔法でも使ったんじゃないですか」

なにそれ? ナイショってことなのかな。もっと聞きたかったけど、塞ぐようにキスされてそれ以上は聞けなかった。

──ハッと目が覚めると、窓の外が少し明るくなってきていた。コートを羽織ってバルコニーへ出てみる。

さすがにキーンと寒い空気にぶるぶるっと体が震えた。朝もやから少しだけ見えているお城は幻想的だ。

毎日亮介と一緒ということは、毎日幸せがアップデートされてくってことだよね。こんなに幸せになれるなんて、夢みたい。

おばあちゃんが死んだときは、ひとりになってしまった悲しみで、何も考えられなかった。自分の境遇を恨み、生きる気力すら無くしていた。それでも、サクラがいたから、なんとかしなくちゃって必死になってペット可物件をさがして、あの借家に引っ越した。

バタバタと手続きを終えて、久しぶりにmuseに行ったとき、亮介は心配して声をかけてくれた。

『久しぶりですね。どうしたのかなって心配してました。未央さんにまた会えてうれしいです』

営業スマイルというのは分かりきっていたが、まんまとその笑顔にやられた。あの笑顔は罪だ。

あの穏やかですてきな笑顔に救われたのは間違いない。亮介と付き合いたいとか、どうにかなりたいなんて思えるような関係じゃないのは知ってたけど、毎日お店に寄って、少ししゃべるだけでも心は満たされた。

それがいまや、こうして亮介の奥さんになろうとしている。そういわれれば昨日は結婚前夜だったんだ。独身最後の夜。

きょうはこのあと婚姻届を出しに行く。紙ペラ1枚で結婚できるのだからふしぎ。

結婚生活がうまくいくかなんて、わからないけど、なんでもやってみる。亮介がいたから、そう思えるようになった。

自分ひとりだったら、無難に、目立たないように、他人の目におびえた人生だったのかもしれない。お互いを大切にするとか、尊重するとか、よくわかんないけど、話し合うことはできる。

いままでみたいに、なんでも話し合えたり、辛いときは甘えられたり、そんなふたりでいれたらいいな。

そう考えているうちに夜が明けてきた。
きょうが結婚初夜。初夜か……。

未央はいかがわしい妄想を首を振ってすっ飛ばし、部屋へ戻った。

亮介はかわいい寝息をたてていた。あれだけしたら、疲れるわね。未央は亮介の頬をそっと撫でた。
むにゃむにゃっとする亮介のきれいな顔に悶える。幸せすぎだ。

ゆっくりホテルで過ごしてチェックアウトし、役所で婚姻届を提出する。
天気は快晴。すごくきれいな青空だった。

遅めの昼食を済ませると、誕生日プレゼントがあると言われて、電車に乗った。

あれ、この景色……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

オオカミ課長は、部下のウサギちゃんを溺愛したくてたまらない

若松だんご
恋愛
 ――俺には、将来を誓った相手がいるんです。  お昼休み。通りがかった一階ロビーで繰り広げられてた修羅場。あ~課長だあ~、大変だな~、女性の方、とっても美人だな~、ぐらいで通り過ぎようと思ってたのに。  ――この人です! この人と結婚を前提につき合ってるんです。  ほげええっ!?  ちょっ、ちょっと待ってください、課長!  あたしと課長って、ただの上司と部下ですよねっ!? いつから本人の了承もなく、そういう関係になったんですかっ!? あたし、おっそろしいオオカミ課長とそんな未来は予定しておりませんがっ!?  課長が、専務の令嬢とのおつき合いを断るネタにされてしまったあたし。それだけでも大変なのに、あたしの住むアパートの部屋が、上の住人の失態で水浸しになって引っ越しを余儀なくされて。  ――俺のところに来い。  オオカミ課長に、強引に同居させられた。  ――この方が、恋人らしいだろ。  うん。そうなんだけど。そうなんですけど。  気分は、オオカミの巣穴に連れ込まれたウサギ。  イケメンだけどおっかないオオカミ課長と、どんくさくって天然の部下ウサギ。  (仮)の恋人なのに、どうやらオオカミ課長は、ウサギをかまいたくてしかたないようで――???  すれ違いと勘違いと溺愛がすぎる二人の物語。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

網代さんを怒らせたい

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「なあ。僕たち、付き合わないか?」 彼がなにを言っているのかわからなかった。 たったいま、私たちは恋愛できない体質かもしれないと告白しあったばかりなのに。 しかし彼曰く、これは練習なのらしい。 それっぽいことをしてみれば、恋がわかるかもしれない。 それでもダメなら、本当にそういう体質だったのだと諦めがつく。 それはそうかもしれないと、私は彼と付き合いはじめたのだけれど……。 和倉千代子(わくらちよこ) 23 建築デザイン会社『SkyEnd』勤務 デザイナー 黒髪パッツン前髪、おかっぱ頭であだ名は〝市松〟 ただし、そう呼ぶのは網代のみ なんでもすぐに信じてしまい、いつも網代に騙されている 仕事も頑張る努力家 × 網代立生(あじろたつき) 28 建築デザイン会社『SkyEnd』勤務 営業兼事務 背が高く、一見優しげ しかしけっこう慇懃無礼に毒を吐く 人の好き嫌いが激しい 常識の通じないヤツが大嫌い 恋愛のできないふたりの関係は恋に発展するのか……!?

処理中です...