賢者様が大好きだからお役に立ちたい〜俺の探査スキルが割と便利だった〜

柴花李

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第四十七話 甲冑師の訪問

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 白の巨星の夕食会ではブーファンでのヤトロファ遺跡やスフマカンゴーレムの話に花が咲き、思わぬ量を飲んで騒いだ。オリンドがゴーレムを倒したことがバレてしまっては隠していても仕方ないと、遺跡を空にしたことも明かすとデチモが腹も裂けんばかりに笑い転がった件は傑作だった。大いに壷にはまったらしく転がり過ぎて廊下まで出ていった彼を酒のせいばかりでなく大層冷めた…いや、眇めた目で一瞥したムーツィオが廊下への出入り口まで歩み寄り、何事も無かったように扉を閉めたものだからオリンドまでもが堪えきれず酒を吹き出した。
 おかげさまで始終笑い過ぎて自分たちの拠点に戻ってきた今もまだ腹筋と表情筋が痛む。
 深夜にも関わらずホットミルクを用意してくれたアルベロスパツィアレに縋り付くような礼をしてから例のごとく居間に集まった。外気に冷えた体を温め、眠気が訪れるまで束の間を憩うアレグたちの話題は一色だ。
「いやはや…。それにしてもまさか、かのケスネに盾を作っていただけるかもしれないとは…」
 よくよく聞けばムーツィオは幼い頃にケスネに拾われ、育てる合間に鎚の扱いを習ったのだという。そんな親子のような絆に割って入るわけにはいかないと遠慮したが、是非にと強く言うので、ならば他の製作の邪魔にならないような物をと希望すれば盾などどうかと勧められた。
「ほんとよね。持つべきものは友…っていうかこの場合はコネだけど。なんにしても置いてきたスフマカン鉱石とかだけじゃ謝礼に足りなくない?」
 それならイドリックとオリンドでお揃いなど仲間の気分も高まって良いのではないかと提案したのはウェンシェスランだ。
「よせよせ。礼の応酬になるぞ」
 お揃いの案はありがたく受けるとして、しかしこれ以上の礼を重ねるのはお互いにやめ時を失うとイドリックがやんわり釘を刺す。
「おそらくそうなるでしょうね…。ふむ…。製作が本決まりになったら、ケスネのほうになにか別の形で謝礼をしますか」
「それがいいかもしれんな。わざわざ向こうから出向いてくれるという話だし。…っうお。口にすると寒気がするな、おい。甲冑師の最高峰を呼び付けるってか」
「…ええっ!?そういう話だったっけ!?」
 イドリックの話にオリンドは驚いてソファから飛び上がり身を乗り出した。弾みで落ちかけた体を支えたエウフェリオが、アレグも驚いた顔でこちらを凝視しているのに気付くと苦笑して軽い説明を入れる。
「そういう推測のなされる話、ですね。できすぎじゃあないですか、数日中には用事でこちらを訪れるだなんて」
「そうそう。しかも、俺たちが行って帰ってくるんじゃどうしたってクラッスラの調査再開に間に合わん、と嘆いた途端だろ?勘繰りたい訳じゃ無いが気にはなるだろ」
 グラプトベリアからケスネの住まうパキフィツム国ディオスコレア領の鉱山地帯までは、専用馬車の健脚な馬を頼んでも二日三日はかかる道のりだ。旅程的にどうしたってクラッスラ調査再開までは間に合わないと残念に思いつつ辞退の意を示したところ、ならば、ちょうど、折よく、たまさか、用事があって数日中には師がグラプトベリアを訪れると重ねてムーツィオは打診してきた。
「へああ…なるほど…。えっ、でも呼び付けるって言ったって、どうするの?伝書鳥?」
「いえ、おそらく通信の魔道具を持ってみえるんだと思いますよ」
 伝書鳥ではお互い示し合わせて行動するための対話性にいまいち欠ける。ムーツィオがケスネの呼び出しにどのような話をするのかは不明だが、多少の説得は必要になるだろう。だとすれば通信具を使って会話をするのではないかとエウフェリオは考えていた。
「通信の魔道具…って、水晶に金属結晶の入ってるやつ?」
 カロジェロの執務机にあった物と、それからアレグの持つ水晶玉を思い出したオリンドは、あれか、と頷いたがエウフェリオは首を振った。
「ああ、いえ。あれは魔力不要の道具です。ですから魔道具ではありませんよ。それに、実のところ登録された職員や冒険者と、ギルドとの間でなければ使えないんです」
「そうなの?…あっ、それでムーツィオさんたちに連絡するのに、ギルドで通信器借りたのか!」
 鑑定に魔法陣を提出ついでに借りたのだと思っていたが、そういうことだったのかとオリンドは手を打つ。
「そうなのよ。通信器持ってるからって、あたしたちの器具とムズちゃんやフィロちゃんたちの器具とは繋がんないわけ」
「そうかあ。…んん?なんで連絡できないの?仕組みはよくわかんないけど、登録したらできそうな気がするのに」
 カロジェロの持つ通信器は職員や四翼竜に白の巨星など、様々な相手と繋がっている。ならば登録なり何なりすれば職員や冒険者たちの持つ通信器も同じように使えるのではないか、というのは当然持つ疑問だろう。
 しかしそれにはアレグが渋い顔をして首を振った。
「それがさあ、通信器が出回り始めた頃に自由に連絡取らせてたら、結託して悪巧みする連中が続出したんだと。だから今じゃ国が管理してて、器具自体に、持ち主かパーティメンバーでなきゃ使えないだとか、通信は組織とそこに属してる奴の間でだけとか、めっちゃ制限がかけられたってわけ。ふはっ、その制限かけるのには魔法が使われてんだから馬鹿みてえな話だよな」
「ええ…。色々と勿体無い。そんな人たちが居なかったら、誰とでもすぐ連絡取れてすごく便利だっただろうに」
「フェリとデート中に逸れた時なんか、か?」
「…っ!い、イドリックは!そのへん揶揄いすぎだと思うっ!」
 残念ながらテーブルを挟んでいるためべちべち叩くことは叶わず、真っ赤になって両手を振り地団駄を踏むオリンドに、全員が表情を崩した。
 そんな可愛い反応をするから揶揄われる。
 今や四人の心中は完全に一致した。
「っもう!もうっ!話逸れたっ!…なんだっけ!?…ええと、だから…そう!その、フェリの言う通信の魔道具って!?」
「んっ、ふ、ふふっ!…そう、その話でしたねっ」
「フェリまで笑うぅ!」
 隣に座っているからには容赦しない。オリンドはエウフェリオの二の腕をべちべちと叩いた。
「っふふふ!これこれ、あんまり叩くとお手手が痛くなってしまいますよ。それで通信器の話ですが、彼らが持っているのはクラッスラで見付けた魔道具です。一組あったそうで、確かムゥズの知己に送ったと聞いた記憶があるんですよ」
 お手手に反応する前に通信器の話を差し込んで突っ込みを回避したエウフェリオは、その知己というのがケスネのことではないかと考えていると説明した。
「ほぁあ…そうか、ムーツィオさんのお師匠さんが」
「なるほどねえ。まあ、でもそうよね。お師匠さまを呼び出すんなら伝書鳥で一方的になんてことは無いか。通信器を渡してあるからこその打診だったってわけね。…ねえねえ、ところで本当に作ってもらえるとなったら、リッちゃんリンちゃんは今使ってる盾どうするの?」
 それぞれ思い入れがあるだろうにとウェンシェスランが水を向けると、イドリックのほうは少々複雑な表情をした。
「ああ。俺のは新しい方に強化石を流用してもらって…、ああー…、売りに出すのもなあ。竜鱗鎧の前の鎧みてえになっちまうと…」
「あっ。アレグの最初の鎧、国が買い取っていずれ展示するとかって聞いたことある」
 確か売却のはずが競売になってしまい、行き過ぎた連中が阿呆のような値段を付け始めたものだから、騒ぎを収めるためにもレウクテン国が動いたと吟遊詩人が歌っていた。それを受けて次に使用していた竜鱗鎧は倉庫に仕舞われたのだが、雑多に物を積み過ぎてどこかに紛れてしまっている。
「おまえさん本当に事情通だな。まあ、そんなわけだ。倉庫にでも片付けておくさ」
 言えばオリンドは勿体無いというような寂しそうな顔をする。
「…それか、おまえさんにやろうか?使い道っても、飾るなりするくらいになるだろうが…」
「い…いいの!?…だっ、大事に飾る!!」
「はっはっは。フェリが妬くぞ」
「ですから。そんなことでいちいち妬きません。憧れは憧れでしょうが。…そうしたら、リンドが今使っている盾も並べて飾り付けますか」
「うんっ!ありがとうフェリ」
 子犬のような顔をして喜ぶオリンドにエウフェリオばかりかイドリックまでもヤニ下がった。教え子が自分の使っている物を欲しがるだなんて教える者としてこれほど嬉しいことがあろうか。しかしこうなるとちょっと面白く無いのがアレグだ。
「ちぇーっ。なんだよイドばっかりさあ。俺だってオーリンに剣とかあげたい」
 ずるい。と拗ねるアレグにウェンシェスランは小さく吹き出し、それから頭を軽く叩いて宥める。
「あんたの剣は唯一無二でしょうが」
「うう…。…くそう、二本目が来い」
 この世に聖剣は一本しか無いと伝承にはあるが二本目が無いとは誰も言ってない。などと謎理屈を捏ね始めたアレグが相当眠たそうなことに気付いた面々は、顔を見合わせて静かに笑うとお開きを決めた。
 居間から出た廊下で軽くおやすみの挨拶をして、まだ白の巨星のところで飲んだ酒に浮かされふわふわした足取りのままそれぞれの部屋へ向かう。
 二人の部屋の前に辿り着いたエウフェリオもオリンドも、ドアを開けたところで昨夜の情事をがっつりと思い出し酒の熱以上に体温が跳ね上がったが、かなり酔っているし明日も日常が待っているし、下世話な話、飲み過ぎて勃ちそうにも無いし。今夜のところは自重するべく頭を振って追い払った。
「…ふう。貴方のお披露目前夜以来ですね、こんなに飲んだのは」
 二人してどうにか情欲を抑えてベッドまで向かい、先に身を横たえたエウフェリオが楽しそうに囁いた。
「うん。あの時のお酒も美味しいのばっかりだったけど、今日のお酒は格別美味しかった」
 またいつか、今度はじっくり飲んでみたいな。と、オリンドは思いを馳せる。持ち込んだ酒も出された酒も上等のもので、デチモが酒に合わせて作る即興の肴もこれまた美味く、気付けば七人で十本ほど空にしていた。
 そうだ、俺もひと瓶近く飲んじゃったんだっけ。
「ふへぇ、明日起きられるかな」
 明日は朝からアレグと鍛錬の予定だ。オリンドはちょっぴり頭を抱えた。数日ぶりの鍛錬が楽しみでもあるが、飲み過ぎた体がきちんと動いてくれるか心配でもある。
「ふふ。少しくらい遅刻しても大丈夫ですよ」
「うん…。でも、なるべく頑張る」
 呟いたオリンドはエウフェリオから差し出された腕に頭を乗せた。すっかり体に染み付いたおやすみの合図に急速な眠気を覚える。仕上げに軽く口付けを交わせば伏せた瞼はもう持ち上がりそうにない。
「あまり無理はしないでくださいね。…おやすみなさい」
「ありがと…う。…おやすみ…」
 くたりと力の抜けたオリンドを愛おしく抱き寄せ、新調する運びになったらどんな盾が似合うだろうかと寝顔を堪能しつつ考えたエウフェリオも、しばしの後にゆっくりと眠りについた。
 その盾を作ってくれるかもしれない甲冑師は、確か、数日の内にグラプトベリアを訪れると、数日かかると、ニ日三日はかかると、そういう話だったではないか。
「おーっす!昨日ぶりだな賢者様!」
 十五時の鐘が鳴る三十分ほど前に拠点の周辺に張られた結界を足蹴にする者が現れ、何事かと確認しに外へ出たエウフェリオの目に映ったのは白の巨星の二人と中老と思しき見知らぬ男性だった。
 まさかという思いに瞠目して固まる前にデチモの元気な挨拶を食らって目が眩む。
「…あー、…ええ。…はい。こんにちは。今解きますので少々お待ちください」
 軽い頭痛を感じながら徐ろに結界へ手を翳したエウフェリオは部分的に解除させ、見た目でわかるよう出入り口と化した境界を淡く光らせた。
「ぅおいおい、しれっと超高等魔術を披露してくれんじゃんよ…」
 なんだよ魔法の部分操作って。
 結界内へ進みながらデチモが感嘆の口笛を吹く。
「さすがですね。…この技術を重力魔法の一極集中に応用できないものか…」
 感心した後にしげしげと境界付近を眺めてムーツィオは考え込み始めた。
「いや、そういうのは後にしろって。ジジィを紹介しに来たんだろが」
 やはりその人がケスネか。デチモの言に確信を持ったエウフェリオの頭痛がいよいよこめかみに差し込む。
「わざわざご足労いただいて恐縮です。どうぞ中へお入りください」
 酷い隈を作りむっすりと黙り込んだままのケスネに機嫌が悪いと見て取り、丁寧に入室を促し居間へ案内したエウフェリオはその足でアルベロスパツィアレに茶と菓子の用意を頼みに向かった。次いで、自室で午後の勉強会の用意をしていたウェンシェスランに声を掛けて客人の相手を頼むと、防御術の鍛錬に励んでいたイドリックとオリンド、それから聖剣の手入れをしながら二人の鍛錬を見物していたアレグとを呼びに地下へ下りた。
 当然のことながら居間に集まった面々は誰もが顎を落とす勢いで口を開け、説明を求めてエウフェリオを見たが彼にしたって青天の霹靂だ。知る由もないと首を振って、とりあえずソファに腰掛ける。
 そうして全員が揃ったところでムーツィオは徐ろに切り出した。
「突然押しかけてしまい申し訳ありません。予定が少々早まったもので。こちらが我が師ケスネです。…師匠、こちらが」
「いらん。私とて勇者一行の顔と名ぐらい知っておるわ。そこな賢者の隣におる子犬っぽいのだけ紹介せい」
「子犬…!?」
 威厳と横柄の間くらいの態度でケスネに子犬と呼ばわれたオリンドは、絡めていた指を解き目を丸めて自分を指さした。
「あー!子犬!子犬か!言われてみりゃあ確かに!なんかに似てると思ってたんだよ。そうか、子犬かあ!」
「黙れデチモ。失礼だろう。…すみませんみなさん。躾のなっていない男どもで」
「ああいえ。…え?」
 男、、と言ったか?
 いち早く応対したエウフェリオは引っ掛かりを感じた部分を聞き返しかけたが、にこりと笑ったムーツィオは更に素早くオリンドへ手のひらを差し出しケスネに半身を向けて躱す。
「彼はオリンドと言いまして、素晴らしい探査スキルの持ち主です。少し前に勇者パーティに新規加入をされたのですが、目覚ましい活躍をされていますよ」
 紹介されたオリンドは褒め言葉に照れて所在を無くし、絡め直した指の動きを早めて足元をもじもじと見つめた。
「…オリンド…?」
 対してケスネはどこか記憶を探るような顔付きでそんな彼をしげしげと眺める。
「おん?知ってんのかジィさん」
「…いや…見目に覚えは無いが…。はて、どこかで聞いたような…」
「耄碌されたんじゃないですか?先月も通信器を壊してくださって…」
「耄碌などしておらんわ!あれは構造を見ようとしてうっかり手が滑ったと…ええい、だからこうして馳せ参じておろうが!どれだけ苦労して飛竜ひりゅう便を使うたと思うておる!?」
 ああー。
 聞いたエウフェリオとイドリックとウェンシェスランはほとんど理解して額に手を当てた。
 やはりクラッスラから出土した魔道具はケスネに贈られたのだ。しかしながらそれを、構造を見ようとしたと言うことは分解しようとしたのだろう、言わば壊され、腹に据えかねたムーツィオがこうして意趣返しも兼ね紹介と称して呼びつけたということなのだろう。なるほどやけに推し進めてきたわけだ。ということは伝書鳥を使って一方的に『来い』と送り付けたに違いない。それでまさに飛竜便、相乗るには相当のツテとコネと金が無ければ不可能な王宮専用の亜竜を利用した郵便急使、を使うとはもしかすると他にも何事か、もしかしなくとも温厚で柔和な男を激怒させるだけ、やらかしているのかもしれないが。
「しかしてほんにどこで…。うん?…探査スキル持ちと言うたか?」
 そんな見た目の麗しさとは裏腹にやらかし屋かもしれない老人は、次の瞬間にはどこ吹く風で首を傾げた。
「おう!そいつの探査スキルはすげえぞ。なんたって地上からクラッスラを全部見通しちまったってんだからな!」
 デチモが我が事のように胸を張る。我が事どころか仲間ですら無かったはずだがこの入れ込みよう、調査団に入って目の当たりにしたスキルの片鱗によほど心を掴まれたようだ。
「それは…、破格も破格な…。信じられん」
 瞠目してオリンドを見るケスネの思わず漏らした言葉に、この人も探査スキルを馬鹿にするのかと瞬時に沸騰したアレグは膝に拳を打ち付けた。
「本当だって!オーリンは俺らの前で百八階層全部見て、地図だって描いたんだからな!」
「おお。いや、これはすまん。嘘だと言ったわけではない。驚きのあまり出た言葉だ、許せ。…ところで、地図も描くとな?」
「お?…おう。…ああ、ごめん。俺また早とちりやっちゃった…。おー…、地図は、み、見せる、わけにはいかないよな?」
 なんだそうか。と収まったアレグはバツの悪さも全開に、主にエウフェリオを見ながら頭を掻く。まるで悪ガキのようなその姿にケスネは吹き出した。
「ふっはは。よいよい、確認を取っただけだ。しかし類稀なる探査スキルに地図も描けるときて、ようも今まで無事におったものだ」
「ええ。そこはそれ、世間の探査スキルに対する認識と、彼の人見知りの激しさが功を奏したようです」
 オリンドの背を撫でながらエウフェリオが言うと、ケスネは見つめる目元に哀愁を漂わせた。
「…ぁ、ぅ、…あ、あと、その、俺…、あの、も、文字、文字読めない…、よ、読めなかった、から、書けもし、しなくて、その、自分にだけわか、わかる、記号、使って、描いてた、から、わかん、なかったんじゃ、ないかなって…」
 自分に視線が集中していることが堪らなく恥ずかしくて、絡めて回転させる指の順番も破茶滅茶にさせながらオリンドは辛うじて声を絞り出す。
「なるほどのう…。…うむ?…独自の地図記号…?…おお!なんと!お主、ブローに地図を売った冒険者か!」
「…ぇえっ!?…ブローって、あの…」
 ケスネの問いかけにオリンドは思わず伸び上がった。
「ぇっ、…誰…?」
 ちょうど紅茶のお代わりを差し入れに来たアルベロスパツィアレが見たのは、首を傾げたオリンドを除き床に落ちる直前の面々だった。
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