私には、大切な人がいます。でも、この想いは告げないつもりです。――そのつもりだったのですが……まさかの展開です。

間瀬

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 私の頭の中を、まるで映画のフィルムみたいに高速で、彼との思い出が回っている。

「え、と」

 混乱する中、私は口を開いた。
 そのとき、日向も何か言おうとした。

「あ、ごめん。先にどうぞ」

 ううん、舞白から言って、と、彼は微笑む。
 その、いつもと同じさりげない優しさに感謝しつつ。
 ずっと諦めていた言葉を、幾度もつまりながら、声にのせようとする。

「私は」

 あなたは昔から暖かくて、人気者で、私には到底手が届くとは思っていなかった。
 でも――

「私も……日向のことが、好き」

 小さく、笑ってみせる。

「ずっと前から、日向のこと、好き……だったんだよ?」

 次の瞬間、私は、大好きな幼馴染の腕の中に、居た。

 昨日と同じ頃、私と日向は手を振ってそれぞれの家に戻った。
 幸せをかみしめながら。

 彼は、高校は欧州に留学する予定らしい。
 驚いたけど、それ以上に嬉しかった。
 もしそうなれば、欧州が拠点の私でも、もっと彼と会えるだろうから。
 ――それから、あんなに苦手だった世界史を頑張ってた理由もわかったし。
 夕焼け色に染まった帰り道、私は一人で小さく笑ったのだった。

 ◇◇◇◇◇

 いつもより心なしか赤みを帯びた頬をおさえ、呼吸を整える。
 そして、よしっ、と気合を入れてからドアノブに手をかけた。

「ただいま~!」
「おかえりなさい、ちゃんと靴脱いでから入ってきてね~」

 気のせいじゃない。
 今度こそ、確かに赤面したと思う。
 昨日、ほかでもないこの私が、靴を履いたまま家に入ってしまったことをお母さんはからかってるんだから。
 でも、ちょっと言い訳させてほしい。
 私は普段欧州で生活してるから、あっちの文化に慣れちゃうのは仕方ないと思う。

 ――とまぁ、こんなことは置いといて。
 やっぱり、家族って大事だと思う。
 向こう欧州に拠点移動した当初は、ホームシックで結構泣いてた覚えがある。
 もう5年も経ったからそんなことはもう無いけど、それでも家庭の暖かさっていうのは心を温めてくれるなって感じる。
 会える機会が少ないからこそここまで実感してるのかもしれないけど、だからこそ私は家族を一生大切にしていきたい。
 逸る気持ちを抑え、今度こそ靴を揃えると、もうすでに家族が揃っているであろうリビングへとつながるドアに手を伸ばした。
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