年下イケメンには気をつけろ!

あやこ

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プロローグ

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目が覚めると、そこは真っ白い世界だった。
キョウコは、ただ白い世界の中でボーゼンとしていた。

「こ、ここは何処なの?!」

彼女が声を発したと同時に、目の前に光が集まる。
余りの出来事にパニックになったが、光の中から声が聞こえて冷静を取り戻した。

「こんにちわ。どうもです。びっくりしましたよねぇ。死んじゃったんですよ、あなた。」

「ど、どういう事ですか?!私、死んだんですか?!」

「えぇ、死んじゃったんです。ごめんね。私の手違いで死んじゃいました。」

とても軽い感じで、光の中の声は話し始めた。

「まぁ、間違って連れてきたんで送り返そうと思ったら、あなたの肉体はもう焼かれちゃったんですよね。
だから死ぬ予定だった人の肉体探してあげるから、希望とかある?」

余りにも淡々と話すので、キョウコは驚きを超えてとても冷静に話を聞いていた。
どう返事していいかわからず、黙っていると声の主が勝手に話しを進めてきた。

「生きてる時は友達もいない孤独な人生だったみたいだねぇ。だったらイケメンにモテモテの女性の身体に入れてあげるねぇ。
お礼なんていいよ。じゃ、ちょうどいい身体が見つかったから今からそっちに送ってあげるねぇ!あ、そうだ年下にめちゃモテる身体みたいだよ。人生楽しんで!」

キョウコは何か話そうとしたが、そのまま記憶を失った。



---------------- - - - - 


「ちょっと待って下さい!!!」

大声を挙げると同時にベットの上から飛び起きる。

「ここは、何処??!!」

キョウコは木村花子として生まれ変わっていた。
周りを見渡すとシンプルなベットと小さなテーブルのある部屋にいる。

どういうこと・・・。

キョウコは近くにあった鏡で自分の顔を確認する。そこには見たこともない女性の姿が映っていた。

あれは夢じゃなかったんだ・・・。
じゃ、つまり声の主の通りなら私はイケメンからモテるとかいってたけど。

キョウコの人生は余りにもかわいそうだった。貧乏に加え美人でもなく、性格も内向的なため彼氏どころか友達さえもいなかった。
唯一自慢できることは真面目である事。
彼女は何事にも真面目に取り組んでいた心優しい女性であった。

キョウコはふと、あることに気づく。
声の主が死ぬ予定だった肉体を見つけたと、話していた事を思い出した。

彼女はどうして死ぬ予定だったのだろう。
テーブルに目を留めると、そこには一冊の日記が置いてあった。

----------- - - - - - - - 

○月×日

男にモテるのはもう懲り懲り。
断っても、断っても男達はいつまでも諦めない。
あいつらは付き合わなかったら、未成年の場合は俺を誘惑したと脅してきたり、監禁しようとしたり・・・。

何もしてないのに警察に捕まるかもしれない恐怖・・。
このままアイツらに監禁されるかもしれない恐怖・。

今では若いイケメンを見ただけで恐怖すらある。
絶世の美女でも無い私がなぜ年下ばかりにモテるのかわからない。
普通の人と穏やかに暮らしたい。

誰も知らない街に引っ越してきたが、昔のトラウマが私を縛り付ける。
生きてるのが辛い。
ごめんなさい・・・。

----------- - - - - - - - 

最後の日付の内容はまるで遺書のようだった。

「自、自殺・・・。嘘でしょ。彼女のモテ方って死を選ぶ程異常なの?!それに未成年とかにもモテてるわけ?!
私はできれば年上の人がいいのに。
これは、ちょっと喜んでる場合じゃ無いわ・・。」

誰も知らない街に引っ越してきたって書いてあるのを見てキョウコは少し安堵した。
直ぐに自分の事を好きになる人なんていないし、大丈夫だろう。
花子は美人ではあったが、そこまで垢抜けた感じでない外見がキョウコを安心させた。

机の下には通帳や携帯と身分証、あと書きかけの履歴書が落ちていた。

花子はそれらを掻き集めると、全て目を通し彼女の経歴を全て記憶していった。
履歴書から前職は大手のメーカーで事務職をしていた様だ。
履歴書を書いているという事は今は多分無職だろう。

キョウコも生前は事務職だったので好都合だった。
住んでいるアパートメントの住所、所持金を確認すると夜も遅いので今日は一先ず休むことにした。

なんだかとんでも無いことになった気がする。

ベットの中で花子は目を閉じながら、明日からの生活に不安を感じていた。
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