夢の中の女性

あやこ

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昨夜の夢が気になり今日は缶ビールを2本買って、直ぐに布団に入った。何故か早く夢の続きを見なければいけない様な気がしたからだ。

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 臨月近い女性が海岸に敷物を敷いて座っていた。
夏先なのか周りには殆ど人はいない。

彼女のそばには【〇〇海水浴場】と看板が出ている。

《あの女性だ・・・・・・。以前よりもっとお腹が大きくなってる。》

「ごめんね。みんなに愛されて産んであげられなくて。でもお母さんが命をかけて育てるからね。」

彼女は涙をぬぐいながら大きなお腹に話しかけていた。

「お母さんは辛い時はいつも、この海岸に来るんだよ。この石を見て!ぜーんぶ丸いでしょ?これは荒波を渡ってきて角が取れて丸くなったんだよ。お母さんも辛い荒波を超えて、丸く暖かい家族を作るからね。私たちは二人っきりじゃないよ。ここに沢山のまるい家族がいっぱいいるから!」

その女性は一つ石を手に取るとお腹に当てて

「この石はあなたを守ってくれるよ!」

そう言うと彼女はその石に笑っている顔を油性ペンで書き、カバンの中にしまった。

《あの石は・・・・箱に入ってたものと同じだ。》


突然場面が変わり今度は出産シーンになった。

「はぁ、はぁ、はぁ、・・・うーうァァああああ」

大きな叫び声と同時に赤ちゃんの鳴き声が響く。
助産婦から祝福の言葉があり、女性は感動のあまり涙を流し赤ちゃんを胸に抱いた。

赤ちゃんは助産師さんに、連れていかれ処置をする為部屋を出て行った。

《産まれたんだ・・・。》

《可愛い。やっぱりこの赤ちゃんって私なのかしら?だけど私は捨てられたのよ。このお母さんは子供事を本当に愛してる様に見えるわ。》

出産から退院して家路に着く場面に変わった。その時マスクをした若い男が女性を押し倒し赤ちゃんを連れ去ったのだ。

《う、嘘でしょ!どう言う事!誘拐されたの!?ちょっと!》


ジリリリリリリリリリリリリリ

目覚ましの音が鳴り響いた。

どう言う事?私は誘拐されたの?気になって仕事なんて行けないわ!

彼女は電話を取ると病気だと嘘をつき休んだ。そして冷蔵庫にあった缶ビールを三本飲み干し、ベッドに入る。

----------------------------------- - - - - - 

「おい連れてきたぜ。この赤ん坊がこの石を離そうとしないからそのまま持ってきた。別にいいだろう?」

若い男がマスクを外し、赤ちゃんを男に渡した。そしてこの男は彼に金を与えると赤ん坊を連れて去っていった。

《例のゲス野郎だ・・・・・。じゃこいつが誘拐したの?自分の子供を・・・・なんて酷い男。》

男は小刻みに震えながら赤ちゃんを抱き寄せると

「す、すまん。お前が生きていたら・・。」

そう言うと刃物を振り下ろした。しかし胸部を外れ刃物は腕を掠めた。

「む、無理だ。お、俺には殺せない・・。」

又、目の前が反転し場面が変わった。

そこには二人の男が立っていた。一人はあのゲス男。もう一人は施設の理事長だ。

「施設を運営していくにはお金が必要だと言ってたよな。頼む一生の頼みだ。この子を預かってくれ!そうしてくれたら何百人という施設の子供達が助かるんだぞ!頼む!」

理事長は俯きながら金と赤ちゃんを受け取った。

《この赤ちゃんは、私だ。私は誘拐されたんだ。でも今となっては理事長も責めたくない。あの時代は経営が本当に大変だったと聞いた。もし寄付がこの時になかったら、沢山の子供達が住み慣れた施設を出て行かなければならなかっただろう。理事長は本当に私のためにも良くやってくれてた。》


又、目の前が反転し場面が変わった。

夕暮れの海岸に一人の年老いた女性がいた。
海岸に立て看板があり。前と同じ【〇〇海水浴場】と書かれている。

「おばあちゃん!こんな石を見つけたよ!」

孫と思われる子供がその女性に駆け寄り石を渡した。
女性はカバンから油性ペンを取り出すとその石に笑っている顔を書いた。

「おばあちゃん、これは何?」

子供がその女性に訊ねた。

「これはおばあちゃんの大切な人のお守りだよ。」

子供は自分のシャツに書かれてる、漫画のTシャツ指差すと、僕にとってのスーパーレンジャーみたいなもの?と訊ねた。

《スーパーレンジャー?!え、これって今、流行ってる漫画だよね?これ、今の話なの?ちょっと待って?え?》


そのまま小百合は目を覚ました。時刻は夕方・・・。
彼女は飛び起きると石を握りしめて海水浴場にタクシーを飛ばした。
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