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【シークside】
しおりを挟む妻のアリスがいなくなった。
帰ってくると、屋敷は騒然としていた。
彼女が出掛けると言ったきり帰ってこないらしい。
何か手がかりはないかと寝室に向かう。
そして机に置かれた離縁状を見つけ、私は愕然とした。
一体どうしてなんだ?
夫婦関係は良好だと思っていた。
彼女と過ごす時間はとても楽しかった。
「理由が分からない…」
僕はすぐ古くからの友人カイルを呼び寄せた。
「夜遅くに何かと思えば、奥さんに逃げられた?」
カイルは信じられないと驚くように言った。
「あのシークが…?」
そして次の瞬間、面白いというように笑い始めた。
「失礼だな、どうして笑うんだ。」
「あのモテる貴公子と呼ばれるお前が妻に逃げられるなんて、思ってもみなかったよ。」
独身時代、私はそんな風に呼ばれていた。
だがそれは今、関係ないだろう。
「心当たりはないのか?」
笑い終えたカイルにそう聞かれ、考える。
「独占欲が強すぎたんじゃないか?
友人の俺にも会わせないようにしてたんだから。
まぁ、でも遠目から見たことあったけど…奥さん綺麗だよな。
誰にも見せたくないって気持ちも分かる気はする。」
私はカイルに妻アリスを紹介したことがなかった。
その理由はカイルが節操なしの女好きだったからに他ならない。
僕の独占欲に気付いたのはその時だったか。
カイルにアリスを取られたくないと思ったのだ。
今まではそんふうに誰かを思ったことがなかった。
「お前は奥手過ぎなんだよ。
そもそも求婚するまで面識も持てなかったなんて、モテる貴公子にあるまじきじゃないか。」
カイルが言うように、僕はアリスにだけ奥手だった。
社交界でアリスに一目惚れをした。
しかし緊張で話す機会を作れなかった。
結局、求婚するまで面識をもてなかった。
「でも結婚してからは良好な関係を…」
「ちゃんとコミュニケーションをとっていたか?」
「コミュニケーション?」
「ちゃんと話せていたのか?」
話?
それは…
「できていなかった…」
「それ、だよ。
きっと奥さんは不安になったんじゃないのか?」
「それで…」
「探して誤解を解くしかない。」
僕は、アリスを不安にさせていたのか。
早くその誤解を解かなければ…
───────────
しかし半年経ってもアリスは見つからなかった。
しっかり話をしていたら…
後悔が募る。
「シーク、大変だ。」
そんな時、顔面蒼白といった様子でカイルがやってきた。
僕は胸騒ぎがした。
「君の奥さんが…」
カイルの口から出たその言葉に、僕は衝撃を覚えた。
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