10 / 15
【ミゲルside①】
しおりを挟む『ミゲル王子、わたし貴方ことが…好きです。』
先ほどのあの言葉。
あのあとすぐ意識がなくなったアナを病院へと連れていった。
治療中の彼女を待っている間、心配が勝ってスルーしていた先ほどの言葉がよみがえる。
途端に鼓動が早くなる。
やっと、両思いになれた。
きっかけは姉からの依頼だった。
まさか姉が探していた縫い物職人が、隣国の公爵令嬢だったのには驚きを隠せなかった。
それから彼女に興味をもって調べていくと色々なことが分かった。
彼女は、公爵令嬢でありながら苦労人だった。
両親にあまり可愛がられて育ったわけではなかった。
両親の愛情は養子である妹に全て注がれていた。
最初はそんな境遇に同情した。
それなら、もっと何か別の一面があるだろう。
僕はそう思っていた。
将来、隣国の皇后になる人物を知っておかなければいけない。
僕は彼女の身辺調査へと乗り出した。
しかし何一つボロが出なかった。
彼女の噂の一つに『出来の悪い皇太子の婚約者』というものがあった。
その噂の真意は、彼女が学問をできないというものからきていた。
しかしよく調べてみると、驚くべき事実が分かった。
テスト中の彼女の回答を偵察させた。
テスト結果はほぼ満点で、成績優秀だった。
しかし、学園で掲示される点数上位表に彼女の名前はなかった。
反対に彼女と同じ点数で、義理の妹ナタリーの名があった。
実は学園の教師がアナとナタリーの答案用紙を意図的にすり替えていた。
そしてその裏には、2人の両親が絡んでいた。
おそらく、アナもそのことに気付いていた。
だけどなにもしなかった。
まるで当たり前というような態度だった、そう偵察者から聞いたとき私は興味を持った。
どうして彼女はこんなにも強いのか。
こんな酷い境遇にいるのに、どうして無表情を貫くのか。
いや、彼女が無表情を貫くまでにどんな辛い日々を経験したのか…
調べれば調べるほど彼女が気になっていた。
そして次第にアナを守りたいと思うようになった。
でも彼女は隣国の次期皇后、諦めなくてはならない葛藤もあった。
そんな時、チャンスが舞い降りた。
どうやら次期国王である婚約者ハンクに追放されたらしい。
理由は、予想がついた。
きっとアナの義理の妹に絆されたんだろう、と。
私にとっては大チャンスだった。
追放された彼女が隣国に来た情報を聞き彼女のいる町に急いだ。
求婚は断られてしまったが、諦めるわけなかった。
それからは時間が開けばアナの元に出向いた。
最初は無表情に突き放していたアナも、次第に心を開いて笑顔を見せることが増えた。
私はそんな彼女の態度の変化に嬉しくなった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
107
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる